Anesthetic
麻酔について

当院での歯科治療は、
- 01 病院での定期的な歯科検診
- 02 病院で麻酔をかけての口腔内検査と歯周病治療
- 03 ご自宅での歯磨きによる日常的なケア
これを繰り返すことで犬と猫の歯の健康維持を目指しています。
「麻酔に不安がある」「無麻酔で処置してくれる施設もあると聞いた」こういったご相談をよく受けますが、麻酔をかけることには理由があります。
Reason
麻酔をかける理由
適切な検査
歯周病は見ためと進行度が一致しません。見ためがきれいでも、歯周ポケットが深く形成され、細菌の塊である歯垢(プラーク)や歯石が蓄積し歯周組織の破壊が進行していることがよくあります。そのような状態を見逃さないためには、専用のセンサーを用いた歯科レントゲン検査による評価や、歯を1本ずつ触って歯周ポケットの深さを測定したり歯の揺れがないかなどを確認する必要があります。


適切な治療
表面に付着して見えている歯石は既に活性が失われている菌であり、それだけを取り除いても病気の進行は抑えられません。歯周病の本体は、歯と歯肉の間(歯肉溝)の表からは見えない部分に存在しているため、その部分の菌や不良組織を徹底的に、また歯自体を損傷させないように丁寧に取り除く必要があります。
動物の意識がある状態でこのような検査器具や治療器具を口に入れることは、動物にとって大きなストレスを与えることになります。炎症が起きている状態では触れられただけでも痛みを伴います。嫌がる動物を押さえつけて処置を行ったことで、その後よけいに口を触られることを嫌がるようになり歯磨きができなくなったり、処置中に顎の骨を骨折させてしまった事故も発生しています。そのため日本やアメリカの獣医歯科学会ではいわゆる「無麻酔での歯石取り」を禁止しています。
【参考】日本小動物歯科研究会
https://www.sadsj.jp/guideline
処置を安全確実かつ動物に痛みや不快感をできるだけ与えないように実施するために、現状では麻酔が必要不可欠と考えられます。
Control
麻酔管理について
当院では1日数件の麻酔下での手術を実施しています。
全身麻酔を予定している子には、血液検査や画像検査などの術前検査行います。麻酔が可能と判断された場合に麻酔下での手術を実施します。手術中は心電図や血圧などをモニタリングしながら適切な麻酔状態を維持します。高齢というだけで絶対に麻酔をかけられないということもありません。当院では、15歳以上の犬や猫でも麻酔をかけて処置している子がいます。心臓病や腎臓病などの不安がある子に関しては、麻酔科専門医に麻酔管理を依頼することもできますのでご相談ください。

