こんにちは!
世田谷区等々力のけいこくの森動物病院です。
「外歯瘻(がいしろう)」という病気をご存じでしょうか?
頬や顎の皮膚に穴が開き、膿が排出される状態です。
一見、皮膚にできものができたように見えることもありますが、じつは歯が原因で起こっている病気です。
今回は、外歯瘻のわんちゃんの紹介をします。
外歯瘻の原因
歯周病
歯垢や歯石が蓄積し、歯根に感染が広がることで発生します。
歯の破折(歯が折れること)
硬いものを噛んで歯が折れ、歯髄(歯の神経)が露出するとそこから感染が進行します。
根尖周囲膿瘍
歯根周囲に膿が溜まり、外に排出されることで皮膚に穴が開きます。
異物の侵入
木片や骨などが歯肉に刺さり、炎症を引き起こすこともあります。
特に上顎の奥歯(第4前臼歯)の感染が原因になることが多く、頬に外歯瘻が見られるケースがよくあります。
症状
・顔面(特に目の下や頬)に小さな穴や瘻孔(ろうこう)ができる
・瘻孔から膿や血混じりの分泌物が出る
・顔を前足で頻繁にこすったり、掻いたりする
・ 顔面の腫れや痛み(触ると嫌がることが多い)
・ 食欲不振や食べるときに痛がる様子がある
・歯周病や歯のぐらつきが見られる
・ 鼻水やくしゃみ(感染が鼻腔に及ぶ場合)
・ 元気がなくなる、活動量の低下
・感染により 口臭が強くなる
治療方法
抜歯
感染した歯を抜くことで炎症の原因を取り除きます。
重度の歯周病や歯根が破壊されている場合に行われます。
根管治療
感染の程度が軽度であり歯の保存が可能な場合に実施できます。
感染した歯の神経や膿を取り除き、根管を清掃・消毒して薬剤を詰める治療です。
抗生物質の投与
必要に応じて洗浄や抗生剤の投与を行います。
症例

15歳、ミニチュアダックスの男の子です。
左頬に出来物ができ、出血しているとのことでご来院されました。

全身状態を確認し、口の中を診ると全体的に歯石の沈着が見られ、また歯肉炎も見られました。
特に左の上顎奥歯は形が崩れていました。
そのため、歯が折れて露髄(血管・神経が露出すること)が起こることで感染が生じ、根尖部膿瘍(歯の根が腐ること)により行き場のなくなった膿が頬にたまり破裂した(外歯瘻)と考えました。

全身麻酔可で歯石除去(スケーリング)をすると、左の奥歯(左上顎第4前臼歯)の破折・露髄が確認されたため、患歯であるその歯を抜歯しました。
治療後

患歯を抜歯し、腫瘤状に見えたものも切除し縫合したため、見た目もきれいになりました。
処置後半年以上たちますが、再発や異常は見られません。
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