出典:小動物の実践歯科学
(更新日2026年5月18日)
犬と猫の「歯周病」とは?
口臭だけではありません|進行すると顎の骨まで溶ける病気です
歯周病とは?
歯周病とは、歯を支える組織に炎症が起き腐って脱落していく病気です。
歯ぐきだけに炎症が起こる「歯肉炎」から始まり、進行すると歯を支える骨(歯槽骨)や歯周組織まで破壊されていきます。歯周組織とは歯を支える組織であり、歯肉・セメント質・歯根膜(歯周靱帯)・歯槽骨の4つの組織を指します。
犬や猫では非常に多い病気で、3歳以上の犬猫の多くに何らかの歯周病変があるともいわれています。
そのため古くから欧米では小型犬・猫に関しては、1歳以降年1回の麻酔下でのクリーニングが推奨されています。(アメリカ獣医歯科AHAAガイドライン)
人でも歯周病は「万病のもと」といわれるように、特に犬では弁膜症などの循環器疾患と強い関係性があります。
また虫歯のような鋭い痛みでなく、慢性的な鈍痛のために飼い主が気付かず不快な生活を送っている場合がほとんどです。
歯周病の原因
最大の原因は「歯垢(プラーク)」です。プラークとは細菌の塊で、バリアー機能を果たすバイオフィルムで覆われています。そのため洗口剤(うがい薬・スプレー剤)や抗生剤などはほとんど効かず、歯ブラシ等のブラッシングで物理的に取り除く必要があります。
歯垢には大量の細菌が存在しており、歯ぐきに炎症を起こします。
これが進行すると歯周ポケット内部で嫌気性細菌(悪玉菌)が増殖し、歯周組織を破壊していきます。
さらに、
- 歯石の蓄積(歯石は歯垢が石灰化したもので、より歯垢が増える原因となる)
- 不正咬合(歯並びが悪いため、清掃性が低下し歯垢がたまりやすい)
- 乳歯遺残(永久歯と重なる(叢生)ことが多く、清掃性が低下する)
- 外傷(硬いものを長時間噛むことで、歯が揺れ炎症を起こす)
- 全身疾患(糖尿病・クッシング症候群・腎臓病などの基礎疾患は悪化因子)
- 免疫異常
なども発症・悪化要因になります。

こんな症状はありませんか?
歯周病では、以下のような症状がみられます。
- 強い口臭
- 歯ぐきの赤み
- 出血
- 歯石の付着
- よだれが増える
- 食べづらそうにする
- 硬いものを嫌がる
- 顔を触られるのを嫌がる
- 鼻水
- くしゃみ
- 歯のぐらつき
進行すると、食欲低下や体重減少につながることもあります。
重度歯周病は危険です
歯周病は単なる「口臭の病気」ではありません。
重度になると、
- 顎骨骨折(特に犬歯の部分や下顎の奥歯の部分で骨折が多い)
- 口鼻瘻管(口と鼻がつながる)
- 歯根病変(根っこの先端周囲が炎症を起こし膿む状態)
- 強い疼痛
- 全身炎症
- 外歯瘻(根尖病変で膿の行き場がなくなり、皮膚から出血・排膿する状態)
- 内歯瘻(外歯瘻と同じ原因で、歯肉や粘膜に穴が開き出血・排膿する状態)
などを引き起こします。
特に小型犬では、重度歯周病によって下顎骨が非常に薄くなり、わずかな衝撃でも骨折してしまうケースがあります。このような骨折を病的骨折(感染性)と呼び、通常の骨折とは異なり、治療は非常に難しく長期間かかる場合もあります。
また、上顎犬歯周囲の重度歯周病では、鼻腔と口腔がつながってしまう「口鼻瘻管」が形成されることがあります。そのまま放置すると鼻先の骨の消失・骨折・吸引性肺炎等のリスクが増します。
動物病院で行う検査
口腔内検査
歯石、歯肉炎、歯の動揺などを確認します。写真撮影も行う場合があります。
場合によっては細菌検査、胸部などを撮る単純レントゲン検査・CT撮影を行います。
歯周プローブ検査(麻酔下)
専用の器具を使用し、歯周ポケットの深さを測定します。
また出血が起こるかの確認もおこない、炎症の強さや重症度を確認します。

(処置日20026.5.18)
歯科レントゲン検査(麻酔下)
歯周病診断で非常に重要な検査です。
見た目が軽症でも、内部では骨吸収が進行していることがあります。
従って歯石除去のみの場合でも撮影する必要があり、必要不可欠な検査になります。
〇実症例のレントゲン検査
4歳トイプードルの歯科レントゲン。(処置日20026.5.18)
歯の根っこの周囲、赤い線まで歯を支える骨(歯槽骨)が溶けている。
歯肉の下なのでレントゲンを撮らないと診断できない。
残念ながらこれらの歯を中心に10本以上抜かなければならなかった(飼い主希望)。
歯周病の治療
スケーリング・ルートプレーニング(SRP)
歯周病治療の基本は、歯石や感染組織の除去です。
超音波スケーラーや手用器具を使用し、見えている歯面だけでなく歯周ポケット内部まで徹底的に清掃します。少しでも細菌数を減らすため、当院ではオゾン水を使用し処置を行っています。

(処置日20026.5.18)
抜歯
重度に進行した歯では、保存が困難なため抜歯が必要になる場合があります。
抜歯基準は明確に決まっておりません。以下の要因が抜歯するかに関係します。
- 獣医師に保存する技術があるか
- 飼い主が保存を希望するか
- 治療費問題
- 年齢
- 基礎疾患の有無
- 治療後にしっかり歯磨きができるか
当院では高度な治療機器の装備および技術研鑽に力を入れていますが、必ずしも最先端・最高の治療が飼い主や犬猫の幸せに繋がるとは限りません。飼い主の考え・方針もありますので、お話合いで治療内容を組み立てます。

抗菌治療
症例によっては抗菌薬を併用することがあります。
内服薬(抗菌薬・ステロイド等)のみでは治ることはなく、静かに進行していきます。
ホームケアが非常に重要です
歯周病は治療後の管理が非常に重要です。
病院で綺麗にしても、ホームケアをしなければ再発してしまいます。
当院では歯科衛生士や動物看護士による衛生指導・歯磨き教室を実施しています。
歯磨きに不安がある方は、一度相談ください。
毎日の歯磨き
最も効果的な予防法です。
デンタルガム・デンタル製品
VOHC認証製品など、科学的根拠のある製品が推奨されます。
詳しい使用方法等は担当獣医師にご相談ください。
定期歯科検診
無症状でも定期的なチェックが重要です。
基本的には半年に1回のチェックをお勧めしています。
歯周病は「予防」が大切
歯周病は、進行してしまうと完全に元の状態へ戻すことが難しい病気です。
もともと持っている菌により引き起こされますので、ほぼ100%起こる病気です。
したがって人間でも最も多い病気とされています。
- 歯周病は治療しなければ進行する
- 誰でもなる病気
- 心臓病などの病気の原因となる
- 重度では不可逆的変化になる
- 最終的に抜歯が必要になる場合がある
そのため、
- 若いうちからの歯磨き習慣
- 定期的な歯科検診
- 早期治療
がとても重要になります。
「口臭が強い」「歯石が気になる」などがあれば、お早めにご相談ください。
東京都世田谷区、等々力、玉川、上野毛、尾山台、自由が丘、田園調布で、歯でお困りの方は、いつでもお気軽にご相談ください。
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けいこくの森動物病院 世田谷犬猫歯科
〒158-0082
東京都世田谷区等々力1-34-18
シュロス等々力1F
TEL:03-3704-1014
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けいこくの森動物病院 世田谷犬猫歯科
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