2025/07/22
こんにちは!
世田谷区等々力にあります、けいこくの森動物病院です🌳
猫の口の中にこんな変化、ありませんか?
~好酸球性肉芽腫症候群について~
ペットの口をふと見たときに、「唇や歯ぐきが赤く腫れている」「傷のようにただれている」「なかなか治らない口内炎がある」と感じたことはありませんか?
そのような症状の裏には、「好酸球性肉芽腫症候群(こうさんきゅうせいにくげしゅしょうこうぐん)」という病気が隠れている可能性があります。
この病気は、特に猫に多く見られる免疫が関係した炎症性疾患で、口の中に限らず、皮膚や太もも、唇などにも症状が現れることがあります。
今回は、猫でとくに多く見られる「口の中の好酸球性肉芽腫症候群」についてご説明いたします。
好酸球性肉芽腫症候群とは?
「好酸球(こうさんきゅう)」とは、白血球の一種で、寄生虫やアレルギーに関与する免疫細胞です。何らかの刺激(アレルゲンや自己免疫の異常など)によって好酸球が過剰に反応し、周囲の組織を攻撃・炎症させてしまうことで起こる病気が、好酸球性肉芽腫症候群(Eosinophilic Granuloma Complex:EGC)です。
この病気は「症候群」と呼ばれるように、いくつかの異なるタイプを含んでおり、特に口の中にできたものは以下のタイプに分類されます。
口腔内で見られる主なタイプ
1. 無痛性潰瘍
猫で最も多く発生する口腔内病変であり、上唇、上唇溝、上顎犬歯周囲に赤色から褐色の病変としてみられます。病変は片側性または両側性であり、雄よりも雌において2〜3倍発生頻度が高いです。
若齢猫に多く発生するという報告もあれば、中〜高齢でより発生しやすいという報告もある。
2.線状肉芽腫
2番目に多く発生する口腔病変です。最もよく発生する部位は口唇、歯肉、舌、口蓋です。
線状肉芽腫は通常無痛性ですが、二次感染を伴うこともあります。
3.膠原線維融解性肉芽腫
若齢の雌猫に最も多く、下顎の吻鼻側の唇に発生しやすい硬く腫脹した病変として認められますが、炎症はそれほど強くはありません。
4.好酸球性斑(歯垢)
線状肉芽腫に類似した形態ですが、口腔内に発生することはまれであり、皮膚病を形成する場合が多いです。
原因は?
明確な原因はまだ分かっていませんが、以下のような要因が関係していると考えられています。
- アレルギー(食物・ノミ・環境要因など)
- 免疫系の過剰な反応
- 遺伝的素因(特に猫で多い)
- ストレスや慢性の口内炎
- ウイルスや細菌の関与
症状
- 唇や歯ぐきに赤み・腫れ・潰瘍
- 舌や口蓋にしこりやただれ
- 食欲不振・よだれ・口臭
- 痛みや不快感から顔を触られるのを嫌がる
- 掻きむしりや顔をこする仕草
これらの症状が見られたら、できるだけ早めに動物病院での診察をおすすめします。
診断と治療
診断には視診のほか、細胞診(針で細胞を採取して顕微鏡で確認)や組織検査(生検)が必要になることもあります。血液検査で好酸球の数が増えている場合もあります。
治療の基本は、原因を取り除き、炎症を抑えることです。具体的には以下のような治療が行われます。
- ステロイド剤による免疫反応の抑制
- アレルゲン除去(食事療法、ノミ予防など)
- 免疫抑制剤の投与(重度や慢性化したケース)
- 二次感染予防のための抗生剤
- 痛みや不快感の緩和
一度良くなっても再発することがあるため、定期的なチェックとケアの継続が大切です。
まとめ
好酸球性肉芽腫症候群は、慢性化・再発しやすい病気ではありますが、適切な治療と管理により症状をコントロールすることが可能です。
「口が臭い」「よだれが増えた」「口の中に何かできている」などの小さなサインを見逃さず、気になることがあればお気軽にご相談ください。
愛猫の健康な毎日を守るために、口の中の健康チェックも忘れずに行っていきましょう。
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