2025/08/20
こんにちは!
世田谷区等々力にあります、けいこくの森動物病院です🌳
今回は、犬に多い病気である「炎症性腸疾患(IBD)」についてご説明いたします。
犬の健康に関心を持つ飼い主さんの中には、「炎症性腸疾患(IBD)」という病気の名前を耳にしたことがある方も多いのではないでしょうか。慢性的に続く下痢や嘔吐、体重減少などを引き起こすこの病気は、犬にとって生活の質を大きく下げてしまうやっかいな疾患です。
炎症性腸疾患(IBD)とは?
IBDとは「Inflammatory Bowel Disease」の略で、腸の粘膜に慢性的な炎症が起こり、消化・吸収に障害をきたす病気です。明確な原因がはっきりしない場合が多いのが特徴で、アレルギー反応や免疫異常、腸内環境の乱れ、食事成分への過敏反応などが関与していると考えられています。
また、IBDは一過性の胃腸炎とは異なり、症状が長期間(数週間以上)続くことが多いため、早めの受診が重要です。
主な症状
IBDの症状は腸のどの部分に炎症があるかによって変わりますが、代表的なものは次のとおりです。
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慢性的な下痢(粘液便や血便を伴うことも)
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嘔吐(特に空腹時や食後に多い)
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食欲不振または食欲亢進
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体重減少
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腹部の違和感(痛みや張り)
これらの症状は慢性的に繰り返すのが特徴で、一般的な胃腸炎のように短期間で治まることは少ないのがポイントです。
診断方法
IBDの診断には、除外診断が用いられます。
つまり、寄生虫感染や細菌感染、膵炎、腫瘍など他の病気を除外したうえで、最終的にIBDと診断されます。
診断に用いられる方法は以下の通りです。
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血液検査:炎症や栄養状態の評価
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便検査:寄生虫や細菌の確認
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X線・超音波検査:腸の状態や腫瘤の有無を確認
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内視鏡検査および生検:腸粘膜を直接観察し、組織を採取して炎症の程度を確認
特に内視鏡による生検は、IBDを確定診断するために重要な検査です。
治療方法
IBDの治療は「完治」ではなく「症状をコントロールする」ことを目的に行われます。主な治療法は以下のとおりです。
1. 食事療法
IBDの多くは食事に関連しているため、消化しやすい療法食や加水分解タンパクを用いたフードに切り替えることがあります。食物アレルギーの関与が疑われる場合は特に有効です。
2. 薬物療法
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ステロイド剤:炎症を抑える効果が高く、IBD治療の中心的役割を担います。
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免疫抑制剤:ステロイドで十分な効果が得られない場合に使用します。
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抗生物質:腸内細菌の異常が関与していると考えられる場合に用いられることがあります。
3. サプリメント・プロバイオティクス
腸内環境を整えるために、乳酸菌やプレバイオティクスを利用するケースもあります。これにより腸内の炎症を和らげるサポートが期待できます。
飼い主さんができること
IBDは長期的に向き合う必要のある病気です。以下の点を意識することが大切です。
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症状や排便の状態を日々記録して獣医師に伝える
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勝手にフードを変更せず、獣医師の指示に従う
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薬の投与を継続し、自己判断で中止しない
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ストレスを減らし、生活環境を安定させる
まとめ
犬の炎症性腸疾患(IBD)は、原因が複雑で完全に治すことは難しい病気ですが、適切な診断と治療によって多くの犬が快適に生活できます。飼い主さんが早めに異変に気づき、動物病院での診察を受けることが大切です。慢性的な下痢や嘔吐が見られる場合は、ぜひ早めに動物病院に相談しましょう。
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