神経と筋肉の伝達トラブル!犬猫の重症筋無力症について

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こんにちは!

世田谷区等々力にあります、けいこくの森動物病院です🌳

今回は重症筋無力症についてお話します。

 

「重症筋無力症」ってどんな病気?

「重症筋無力症(じゅうしょうきんむりょくしょう)」は、筋肉がうまく動かなくなってしまう神経と筋肉の病気です。

一見、足がふらついたり、すぐ疲れてしまうだけのように見えますが、放っておくと命に関わることもある、注意が必要な病気です。

どうして筋肉が動かなくなるの?

筋肉を動かすためには、「神経」から「筋肉」へ命令が正しく伝わる必要があります。

この命令のやりとりは、「アセチルコリン」という神経伝達物質を介して行われています。

ところが、重症筋無力症では、免疫の異常によってアセチルコリンを受け取る受容体が壊されてしまうため、命令がうまく伝わらなくなってしまいます。

つまり、神経は正常に働いていても、筋肉が反応できない状態になるのです。

どんな症状が出るの?

症状は犬や猫によってさまざまですが、代表的なのは以下のようなものです。

  • 少し動いただけで疲れてしまう
  • 散歩の途中で立てなくなるが、休むとまた歩ける
  • 首が上がらない、頭を持ち上げられない
  • ごはんを食べたあとに吐き戻す(食道の動きが悪くなっている)
  • 声が変わる、息苦しそうにする

特に「食後の吐き戻し」は、この病気に特徴的です。これは巨大食道症(きょだいしょくどうしょう)という合併症が起きているためで、食べ物が胃までうまく運ばれず、食道内にたまってしまうのです。

原因と発症のタイプ

犬や猫の重症筋無力症には2つのタイプがあります。

  1. 先天性(生まれつき)タイプ
     生まれたときからアセチルコリン受容体の数が少なく、子犬・子猫のうちに発症します。
  2. 後天性(免疫異常による)タイプ
     成長後に免疫の異常が起こり、受容体を攻撃してしまうことで発症します。
     犬ではこのタイプが多く、特にジャック・ラッセル・テリア、ゴールデン・レトリーバー、ジャーマン・シェパードなどで報告されています。
     また、胸腺腫(胸の中にできる腫瘍)、肝臓のがん、骨肉腫などの腫瘍に伴う疾患として発症することがあります。

診断方法

重症筋無力症を疑う場合、以下のような検査を行います。

  • 血液検査:アセチルコリン受容体に対する抗体の有無を確認
  • テンシロン試験(薬の反応を見る検査):筋肉の力が一時的に戻るかどうかを観察
  • レントゲン検査:巨大食道症や誤嚥性肺炎の有無をチェック
  • CT検査:胸腺腫などの腫瘍がないか確認

これらを総合して診断を行います。

治療法と注意点

治療は主にアセチルコリンの働きを助ける薬(ピリドスチグミンなど)の投与を中心に行います。

免疫の異常が関係している場合には、免疫抑制剤や副腎皮質ホルモンを併用することもあります。

巨大食道症を伴う場合は、誤嚥性肺炎(食べ物が気管に入って肺炎を起こす)を防ぐことがとても大切です。

食事は、体を立てた姿勢(斜めに立たせるなど)で与え、食後もしばらくその姿勢を保つようにしましょう。

また、食事の形状を柔らかいペースト状にするなど、飲み込みやすい工夫も必要です。

まとめ

重症筋無力症は、神経と筋肉の連携がうまくいかなくなる病気で、筋力の低下や食後の吐き戻しが特徴です。

早期に適切な治療を行えば、回復や長期のコントロールも十分可能です。

「疲れやすい」「食べたあとに吐く」「首を上げられない」などの症状が見られたら、早めに動物病院に相談してください。

 

 

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