2025/10/19
こんにちは!
世田谷区等々力のけいこくの森動物病院です🌳
今回はファンコーニ症候群についてお話します。
ファンコーニ症候群とは?
ファンコーニ症候群とは、腎臓の尿細管(にょうさいかん)という部分の機能が障害されることで、体に必要な栄養分やミネラルが尿中に漏れ出てしまう病気です。
腎臓のろ過は正常でも、再吸収がうまくできなくなるのが特徴です。
腎臓のしくみとファンコーニ症候群の異常
腎臓は「血液をろ過して不要なものを尿に出す」「必要なものを体に戻す」という役割をしています。
ファンコーニ症候群では、再吸収を担う尿細管がうまく働かず、次のような物質が体外へ出てしまいます。
- ブドウ糖(糖尿)
- アミノ酸
- ナトリウム、カリウムなどの電解質
- 重炭酸イオン(血液の酸性化)
そのため、慢性的なエネルギー不足や酸塩基バランスの異常が起こります。
主な症状
進行はゆるやかですが、次のような症状が少しずつ現れます。
よく水を飲む・尿の量が多い(多飲多尿)
体重減少、やせてくる
元気・食欲の低下
筋力の低下、脱力
嘔吐、下痢
骨がもろくなる(骨軟化症)
糖尿病のように「尿に糖が出る」ことがありますが、血糖値は正常である点が異なります。
診断
血液検査と尿検査を組み合わせて診断します。
尿検査
糖などが過剰に排泄されます。また、尿が薄くなるため比重が低下します。
血液検査
電解質異常、代謝性アシドーシス(血が酸性に傾く)が起こります
血糖値
正常であることがポイント(糖尿病との鑑別に重要)です
一部の犬種では遺伝的に発症しやすく、特にベドリントン・テリアやバセンジーなどで知られています。
治療
根本的に完治させることは難しいため、体のバランスを整えながら進行を抑える治療を行います。
- 重炭酸ナトリウム(またはカリウム):アシドーシスの改善
- 電解質補正:カリウム・リンなどを補う
- 高品質な食事管理:腎臓への負担を減らす
- 原因の除去:薬剤性の場合は中止
早期発見と継続的なケアによって、良好な生活を長く維持できるケースもあります。
予後と生活の工夫
- 慢性的な経過をたどるため、定期的な血液・尿検査が必要です。
- 食事・サプリメントの変更は、獣医師の指導のもとで行いましょう。
- 早めの診断と治療で、進行をゆるやかにできます。
まとめ
ファンコーニ症候群は、腎臓の尿細管がうまく働かなくなる病気です。
見た目には「よく水を飲む」「体重が減る」といった軽い変化から始まるため、早期発見がとても大切です。
気になる症状がある場合は、早めに動物病院で検査を受けましょう。
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