🐶🐱 犬・猫のうつ乳症(乳が作られても出ない病気) 出産後の母犬・母猫に起こる危険な授乳トラブルと、その早期対応

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こんにちは!世田谷区等々力にありますけいこくの森動物病院です🌳

「授乳しているのに、子犬や子猫が鳴き止まない」それはうつ乳症かもしれません。

放置すれば、母子の命に関わります。

 

うつ乳症とは?

定義

乳腺で母乳は作られているが、何らかの理由で外に排出されない状態。乳房内に乳汁が異常に停滞している状態。

英語名

Galactostasis(Milk Stasis

発症時期

特に出産直後〜授乳期初期に多い

区別

無乳症(母乳が作られない状態)とは異なる

 

乳が溜まることで乳腺が腫れ、痛みが生じ、やがて乳腺炎膿瘍壊死へと進行する危険があります。

同時に、子犬や子猫は必要な栄養を得られず、数時間〜半日で命に危険が及ぶこともあります。

 

主な原因

1.授乳刺激不足

  • 新生児が弱っていて吸う力が弱い(低体温・低血糖など)
  • 授乳間隔が3時間以上空く
  • 母親が授乳を拒否する(疼痛・ストレスによる)

2.乳管閉塞

  • 初乳に含まれる凝固物
  • 乳頭先端の痂皮(かさぶた)や汚れ
  • 先天的な乳首の形状異常

3.急激な乳量急増

  • 出産直後のホルモン変化で乳量が急に増え、排出が追いつかない

4.ストレスや疼痛

  • 環境の騒音・温度変化
  • 分娩や手術による痛み

飼い主さんが気づくべきサイン

  • 乳腺が硬く腫れている
  • 触ると熱感や痛みがある
  • 搾乳しても出ない、または少量で血や膿が混ざる
  • 母親が授乳を嫌がる
  • 子犬・子猫が頻繁に鳴く、落ち着かない
  • 子犬・子猫の体重増加が15%未満

 

放置した場合の経過

  • 6時間以内:乳腺腫脹・疼痛
  • 12時間以内:乳腺炎(発熱・膿性分泌物)
  • 2448時間以内:乳腺壊死、母体の全身状態悪化
  • 新生児は数時間以内に低血糖・脱水・死亡リスク増大

 

診断と治療

診断方法

  • 視診・触診で腫脹や熱感の確認
  • 搾乳して色や性状を確認
  • 超音波検査で乳管閉塞や膿瘍を評価
  • 子犬・子猫の体重測定

治療方法

1.物理的処置

  • 温罨法(温タオルで510分温める)
  • 搾乳や乳頭清掃

2.薬物療法

  • 抗プロラクチン薬(乳腺を早期に退縮させます)
  • 抗炎症薬・鎮痛薬
  • 抗生物質(感染がある場合)

3.授乳補助

  • 人工哺乳

 

ご自宅でできる予防と早期発見

  • 出産直後から123回の乳腺チェック
  • 子犬・子猫の毎日の体重測定
  • 授乳間隔は23時間以内をキープ
  • 授乳環境は静かで安定した温度に保つ
  • 乳首は授乳前後に清潔にする
  • 異常があれば即受診

飼い主さん向けのチェックリスト

  • [  ]  乳腺に腫れ・硬さ・熱はないか
  • [  ]  搾乳してスムーズに出るか
  • [  ]  母親が授乳を拒否していないか
  • [  ]  子犬・子猫が満足して眠っているか
  • [  ]  体重が毎日増えているか

まとめ

  • うつ乳症は「乳が作られても出ない」危険な状態です
  • 母子ともに短時間で命に関わることがあります
  • 予防は乳腺チェックと授乳管理が重要です
  • 異常を感じたら即動物病院を受診しましょう

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