2025/08/09
こんにちは!世田谷区等々力にありますけいこくの森動物病院です🌳
「授乳しているのに、子犬や子猫が鳴き止まない…」それはうつ乳症かもしれません。
放置すれば、母子の命に関わります。
うつ乳症とは?
定義
乳腺で母乳は作られているが、何らかの理由で外に排出されない状態。乳房内に乳汁が異常に停滞している状態。
英語名
Galactostasis(Milk Stasis)
発症時期
特に出産直後〜授乳期初期に多い
区別
無乳症(母乳が作られない状態)とは異なる
乳が溜まることで乳腺が腫れ、痛みが生じ、やがて乳腺炎 → 膿瘍 → 壊死へと進行する危険があります。
同時に、子犬や子猫は必要な栄養を得られず、数時間〜半日で命に危険が及ぶこともあります。
主な原因
1.授乳刺激不足
- 新生児が弱っていて吸う力が弱い(低体温・低血糖など)
- 授乳間隔が3時間以上空く
- 母親が授乳を拒否する(疼痛・ストレスによる)
2.乳管閉塞
- 初乳に含まれる凝固物
- 乳頭先端の痂皮(かさぶた)や汚れ
- 先天的な乳首の形状異常
3.急激な乳量急増
- 出産直後のホルモン変化で乳量が急に増え、排出が追いつかない
4.ストレスや疼痛
- 環境の騒音・温度変化
- 分娩や手術による痛み
飼い主さんが気づくべきサイン
- 乳腺が硬く腫れている
- 触ると熱感や痛みがある
- 搾乳しても出ない、または少量で血や膿が混ざる
- 母親が授乳を嫌がる
- 子犬・子猫が頻繁に鳴く、落ち着かない
- 子犬・子猫の体重増加が1日5%未満
放置した場合の経過
- 6時間以内:乳腺腫脹・疼痛
- 12時間以内:乳腺炎(発熱・膿性分泌物)
- 24〜48時間以内:乳腺壊死、母体の全身状態悪化
- 新生児は数時間以内に低血糖・脱水・死亡リスク増大
診断と治療
診断方法
- 視診・触診で腫脹や熱感の確認
- 搾乳して色や性状を確認
- 超音波検査で乳管閉塞や膿瘍を評価
- 子犬・子猫の体重測定
治療方法
1.物理的処置
- 温罨法(温タオルで5〜10分温める)
- 搾乳や乳頭清掃
2.薬物療法
- 抗プロラクチン薬(乳腺を早期に退縮させます)
- 抗炎症薬・鎮痛薬
- 抗生物質(感染がある場合)
3.授乳補助
- 人工哺乳
ご自宅でできる予防と早期発見
- 出産直後から1日2〜3回の乳腺チェック
- 子犬・子猫の毎日の体重測定
- 授乳間隔は2〜3時間以内をキープ
- 授乳環境は静かで安定した温度に保つ
- 乳首は授乳前後に清潔にする
- 異常があれば即受診
飼い主さん向けのチェックリスト
- [ ] 乳腺に腫れ・硬さ・熱はないか
- [ ] 搾乳してスムーズに出るか
- [ ] 母親が授乳を拒否していないか
- [ ] 子犬・子猫が満足して眠っているか
- [ ] 体重が毎日増えているか
まとめ
- うつ乳症は「乳が作られても出ない」危険な状態です
- 母子ともに短時間で命に関わることがあります
- 予防は乳腺チェックと授乳管理が重要です
- 異常を感じたら即動物病院を受診しましょう
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