眼の充血や涙…犬の眼の奥で起こる炎症とそのサイン|ぶどう膜炎について

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こんにちは!

世田谷区等々力のけいこくの森動物病院です。

今回は、ワンちゃんの眼の病気の中でも注意が必要な「ぶどう膜炎」についてご紹介します。あまり聞き慣れない言葉かもしれませんが、放っておくと視力低下や失明の危険もある重大な病気です。

大切な家族であるワンちゃんの健康を守るためにも、「ぶどう膜炎」とはどんな病気なのか、原因や症状、治療法についてぜひ知っておいてください。

ぶどう膜炎ってどんな病気?

ぶどう膜炎とは、眼球の中にある「ぶどう膜」と呼ばれる部分に炎症が起こる病気です。

ぶどう膜は、以下の3つの部分で構成されています:

  1. 虹彩(こうさい):眼に入る光の量を調整します。

  2. 毛様体(もうようたい):ピント調整や眼圧のコントロールをする部分。

  3. 脈絡膜(みゃくらくまく):眼球に栄養を送る血管が豊富な組織。

このどこか、あるいは複数の部分に炎症が起きると「ぶどう膜炎」と診断されます。特に犬の場合は、虹彩と毛様体に炎症が起きる「前部ぶどう膜炎」がよく見られます。

ぶどう膜炎の原因は?

ぶどう膜炎の原因は非常に多岐にわたります。主に以下のようなものが考えられます。

1. 感染症

  • ウイルス

  • 細菌(内臓や歯の感染から波及することも)

  • 真菌(カビ)や寄生虫

2. 免疫異常

犬自身の免疫システムが、誤って自身の眼を攻撃してしまう「自己免疫疾患」により、ぶどう膜炎が起こることがあります。

3. 外傷

目をぶつけた・引っかかれたなどのケガが引き金になることもあります。

4. 腫瘍

目やその周辺にできた腫瘍が原因で炎症が生じることがあります。

5. 全身性疾患

糖尿病や高血圧、血液の病気など、全身に関係する病気が眼に症状として現れるケースもあります。

6. 特発性

原因がはっきりしないものを特発性と呼び、実際にはこのタイプがほとんどです。

 

症状

ぶどう膜炎は、初期には気づきにくい場合もあります。ですが、以下のような症状が出る場合には注意が必要です。

  • 眼が赤い

  • 涙が多い・眼やにが増える

  • 眼をショボショボさせている

  • 光をまぶしがる(羞明:しゅうめい)

  • 眼の奥が濁って見える(眼内混濁)

  • 黒目(瞳孔)が小さくなったまま、開かない

  • 顔を触られることを嫌がる

  • 物にぶつかる(視力障害)

ワンちゃんは痛みを我慢してしまうため、飼い主さんが「なんとなく元気がない」と感じる程度でも、実は強い痛みや視力障害が出ていることがあります。

放っておくとどうなるの?

ぶどう膜炎を放置すると、以下のような深刻な合併症につながることがあります。

  • 緑内障(眼圧が上昇し、強い痛みや失明を引き起こす)

  • 視神経の障害(視神経がダメージを受け、視力が戻らなくなる)

  • 失明(最悪の場合、完全に見えなくなってしまう)

そのため、ぶどう膜炎は「すぐに治療すべき病気」です。少しでも眼の異常を感じたら、なるべく早く動物病院を受診してください。

診断と検査

診察では、次のような検査を行って病気の状態を確認します。

  • 眼科検査(スリットランプなど)

  • 眼圧測定

  • 眼底検査(視神経や網膜の状態を見る)

  • 血液検査

  • 超音波検査(眼球内部の確認)

原因が感染症か、自己免疫性か、外傷性かを見極めることが、治療方針を決めるうえで非常に重要です。

治療法

ぶどう膜炎の治療は、原因と症状の重さによって異なりますが、主に以下の方法がとられます。

1. 点眼薬

  • ステロイドなどの抗炎症薬で炎症を抑えます。

2. 内服薬

  • 症状が強い場合は、ステロイドや免疫抑制剤の内服が必要になります。

3. 抗菌薬や抗ウイルス薬

  • 原因が感染症とわかれば、それに応じた治療を行います。

4. 原因疾患の治療

  • 腫瘍や糖尿病など、全身性の病気が関係している場合はそちらの治療も並行して行います。

 

飼い主さんにできること

ぶどう膜炎は再発することも多く、治療には時間がかかることがあります。以下のことを心がけましょう。

  • 眼の変化に早く気づく

    • 「ちょっと赤いかな?」と感じた時点で受診しましょう。

  • 処方された点眼薬・内服薬を忘れずに使う

    • 途中でやめてしまうと、症状がぶり返すことがあります。

  • 定期的な再診を受ける

    • 症状がよくなったように見えても、眼の中では炎症が続いていることがあります。

まとめ:早期発見・早期治療がカギ!

ぶどう膜炎は、放置すると失明にもつながる危険な病気です。しかし、早期に発見し、適切な治療を行えば視力を守ることができます。

「眼を気にしている」「眼が赤い」「なんとなく元気がない」など、少しでも異変を感じたら、お早めにご相談ください。

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