2025/06/19
こんにちは!世田谷区等々力にありますけいこくの森動物病院です🌳
わんちゃんが「おしりを触られるのを嫌がる」「歩き方がふらつく」「階段を嫌がる」といった行動を見せるとき、実はそれが「馬尾症候群(ばびしょうこうぐん)」と呼ばれる神経の病気のサインであることがあります。
早期に気づいて適切な治療を行えば、痛みの緩和や進行の抑制が可能です。今回はそんな馬尾症候群について、飼い主さんにもわかりやすく解説いたします。
馬尾ってどこ?どんな役割?
「馬尾(ばび)」とは、背骨の末端にある神経の束のことです。
脊髄の終わりから分かれて尾のように広がる姿が馬のしっぽ(=馬尾)に似ているため、そう呼ばれています。
この馬尾神経は、以下のような重要な働きを担っています
- 後ろ足の感覚や運動のコントロール
- 肛門括約筋や膀胱の制御
- 尾の動きや感覚の調節
馬尾症候群とは?
馬尾症候群とは、この馬尾神経が圧迫や炎症などによって障害される状態を指します。
原因はさまざまですが、背骨の末端(腰のあたり)の異常によって神経が圧迫され、痛みや運動障害、排尿・排便トラブルなどが起こります。
どんな犬種・年齢に多い?
中~大型犬に多く、特に高齢になるほど発症リスクが高まります。
特に多い犬種:
ジャーマン・シェパード
ラブラドール・レトリーバー
ゴールデン・レトリーバー
ボーダー・コリー
など
体格が大きく、腰や関節に負担がかかりやすい犬種に多く見られます。ただし、日本では小型犬の飼育割合が高いため、実際の臨床現場では小型犬でも馬尾症候群の症例を多く見ることがあります
主な症状は?
馬尾症候群の症状は、初期には軽度で見逃されやすく、徐々に悪化していく傾向があります。
初期症状
- おしりを触ると嫌がる・怒る
- 歩きたがらない、散歩を嫌がる
- 階段を登るのを嫌がる
- 尻尾をうまく振れない
進行すると…
- おしっこ・うんちを漏らす、または出にくくなる
- 後肢の麻痺、起立困難
- 激しい痛みで鳴いたり、動かなくなる
痛みや違和感を訴えるように「腰を振る」「おしりを舐める」「座り方が変」などのサインが見られることもあります。
診断方法
身体検査・神経学的検査
歩き方、立ち上がり方、神経反射の確認
おしり周りや尾を触ったときの反応などをチェック
レントゲン検査
脊椎や椎間板の異常を確認
ただし、神経の状態までは映らないため補助的な検査です
MRI検査(必要に応じて専門病院で実施)
神経の圧迫や炎症を詳細に評価できます
馬尾症候群の確定診断に非常に有効です
治療方法
馬尾症候群の治療は、症状の重さや原因、年齢などに応じて選択されます。
内科的治療(軽症の場合)
- 痛み止め
- サプリメント
- 生活指導(体重管理・滑らない床の工夫など)
痛みや炎症を抑えつつ、悪化を防ぐことが目的です。
外科的治療(重度の場合や改善が見られない場合)
神経の圧迫を取り除く手術(椎弓切除術など)が必要となることがあります。
麻痺や排尿・排便障害が出ている場合は、早期の外科的介入が推奨されます。
当院での対応について
当院では、おしりの痛みや歩き方の異常など、神経疾患を疑う症状がある場合、詳細な身体検査・神経学的検査・レントゲン検査を組み合わせて慎重に診断を行います。重度の痛みや麻痺が見られる場合には、信頼できる二次診療施設でのMRI検査や手術のご紹介もスムーズに対応いたします。また、内科的な痛みのコントロールや、日常生活のサポートについても丁寧にご説明し、飼い主さまと一緒にわんちゃんのQOL(生活の質)を守っていく治療方針を大切にしています。
まとめ
馬尾症候群は、おしりや腰の神経が圧迫されることで起こる神経疾患です。
歩き方の異常や排尿・排便のトラブル、痛みなどが見られたら注意が必要です。
早期発見・早期治療で、進行を食い止め、痛みの緩和が可能です。
内科治療で対応できるケースもありますが、重症例では手術が必要になることもあります。
「なんだか最近、後ろ足がふらつく」「階段を嫌がるようになった」など、気になる様子があれば、ぜひ一度ご相談ください。
東京都世田谷区、等々力、玉川、上野毛、尾山台、自由が丘、田園調布で、歯でお困りの方は、いつでもお気軽にご相談ください。
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けいこくの森動物病院 世田谷犬猫歯科
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