2025/09/06
こんにちは!
世田谷区等々力にあります、けいこくの森動物病院です🌳
皆さんは「脊髄空洞症」という病気をご存じでしょうか。聞き慣れない名前かもしれませんが、特に小型犬の一部の犬種で見られることのある神経疾患です。
今回は、この脊髄空洞症について、原因や症状、治療方法などをご紹介します。
脊髄空洞症とは?
脊髄空洞症とは、脊髄の内部に「空洞(液体で満たされた袋のような部分)」ができてしまう病気です。脊髄は背骨の中を通っている神経の束で、体の運動や感覚を司るとても重要な場所です。そこに異常な空洞ができると、神経が圧迫されたり傷ついたりして、さまざまな症状が現れることになります。
特にキャバリア・キング・チャールズ・スパニエルではよく知られている病気で、頭蓋骨と脊髄の形態異常(キアリ様奇形)と関連して発症することが多いとされています。他にもチワワやパグなど、頭の形が特徴的な小型犬種で見られることがあります。
主な症状
脊髄空洞症の症状は、空洞ができる場所や大きさによって異なります。代表的な症状には以下のようなものがあります。
- 首や背中の痛み:触ると痛がる、抱っこを嫌がるなど
- 異常なかゆみや掻き行動:耳や首の周りを頻繁に掻いたり、実際には皮膚に異常がないのに後ろ足で空を掻く「スクラッチング」が見られることがある
- 神経症状:足がふらつく、歩き方がぎこちない、片方の足を引きずるなど
- 感覚の異常:体を触られるのを嫌がる、過敏に反応する
進行すると生活の質に大きな影響を及ぼし、痛みが慢性的に続くこともあります。
診断方法
脊髄空洞症の診断には、MRI検査が欠かせません。通常のレントゲンや血液検査では確認できないため、専門的な画像診断が必要になります。MRIを行うことで、脊髄の内部に空洞があるかどうか、その大きさや位置を詳しく把握することが可能です。
また、同時にキアリ様奇形など、空洞の原因となる脳や頭蓋骨の異常がないかも調べることが重要です。
治療方法
治療は症状の程度によって大きく分けられます。
内科的治療
比較的軽度の場合には、痛み止めや神経の働きを調整する薬を使って症状を和らげる治療が行われます。薬で完全に治すことはできませんが、生活の質を改善することが期待できます。
外科的治療
重度の場合や、内科的治療で十分な効果が得られない場合には、外科手術が検討されます。原因となっている頭蓋骨の圧迫を取り除く手術(後頭骨減圧術など)や、脊髄の空洞の圧力を下げる手術が行われることがあります。ただし再発のリスクや手術の難易度も高いため、慎重な判断が必要です。
飼い主さんにできること
脊髄空洞症は進行性の病気であり、完全に予防することは難しいとされています。しかし、以下のような点を意識することで、早期発見や生活の質の維持に役立ちます。
- 犬が痛がる仕草を見せたら無理に触らない
- 抱っこや首輪での引っ張り方に注意する(ハーネスを使用するのがおすすめ)
- 異常な掻き行動や歩き方の変化を見逃さない
- 定期的に動物病院で健康チェックを受ける
まとめ
脊髄空洞症は、犬に強い痛みや神経症状をもたらす可能性のある病気です。特に好発犬種を飼っている方は、特徴的な仕草(スクラッチングや抱っこを嫌がるなど)に気づいたら、早めに動物病院で相談することが大切です。早期に診断を受けることで、内科的な治療で症状をコントロールできる場合もあります。
大切な家族であるわんちゃんが、少しでも快適に暮らせるよう、日々の観察と定期的なケアを心がけましょう。
東京都世田谷区、等々力、玉川、上野毛、尾山台、自由が丘、田園調布でお困りの方は、いつでもお気軽にご相談ください。
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