エナメル質石灰化不全(低形成症)とは

こんにちは!

世田谷区等々力のけいこくの森動物病院です🌳

今回はエナメル質石灰化不全(低形成症)についてご説明いたします。

 

エナメル質石灰化不全(低形成症)とは

犬の歯(特に永久歯)において、歯のエナメル質が正常に石灰化(硬くなること)できず、エナメル質が弱く、欠けやすくなる疾患です。

これは「エナメル質形成不全」や「歯の発育異常」の一部として扱われ、特に若齢犬(子犬)に見られることがあります。

🦷エナメル質とは

歯の最も表面に存在する非常に薄い物質(<1mm)です。

歯を物理的損傷・細菌・化学物質・温度変化などから保護します。

萌出の前の時期にのみ形成され、口腔内に萌出した後は自然に回復することができない(細胞を持たないため)です。

萌出:犬の歯が生えてくる過程、つまり歯の生え始めや生え変わりのことを指します。

歯冠部(歯の見える部分)を覆っています。

約95〜97%が無機質(ハイドロキシアパタイト:カルシウムとリン)です。

原因

犬ジステンパーウイルス(Canine Distemper Virus, CDV)

  • 幼犬期に感染すると「エナメル質形成不全」が起きることがあり、石灰化不全を伴います。

  • 歯が縞模様や白く濁ったり、凹凸ができたりする。

栄養失調・外傷・高熱

  • 歯の発育期(生後2〜4ヶ月ごろ)に強いストレスや病気があると、正常なエナメル質が作られないことがあります。

抗生剤との関連性

抗生剤の中でも特に注意されるのが テトラサイクリン系抗生物質 です。

〇 テトラサイクリンによるエナメル質障害

  • 妊娠中または成長期の犬にテトラサイクリンを投与すると、歯の形成に影響を与え、エナメル質形成不全や変色(黄~茶色)が起こることがあります。

  • これはテトラサイクリンがカルシウムと結合し、歯に沈着することが原因です。

〇 対象となる時期

  • 胎児期~生後数ヶ月の間に歯が形成されるため、この時期の投与がリスクになります。

 

症状

エナメル質石灰化不全(低形成症)になってしまうのは1本のみからすべての歯まで様々です。

歯の変色

暗褐色(まれに黒色)に染まり、くぼみがありザラザラしています。

象牙質は早期に着色されます。

エナメル質がない

エナメル質がなく象牙質が露出しています。

象牙質の露出は知覚過敏症等で本人に不快感を与えることがあります。

象牙細管からの感染

〇 象牙細管(ぞうげさいかん)とは?

  • 象牙質(エナメル質の下にある層)には象牙細管という無数の微細な管が走っています。

  • これらの管は、歯髄(神経)と外部をつなぐ構造で、刺激や細菌の侵入経路となりえます。

症例写真

生後9カ月の男の子です。ほぼすべて歯の先端のエナメル質が形成されていませんでした😲

〇 処置前

 

〇 処置後(レジン修復)

 

治療

 

  • 軽度の場合:歯のクリーニングやコーティング

  • 重度の場合:レジンやクラウンによる補修・保護

  • 感染や痛みがある場合:抜歯が必要になることも

 

まとめ

〇 象牙質の露出が生じた場合、数か月間にわたりこれらの歯は過敏になるため可能な限り早めに治療を実施する必要です。

〇 レジンによる修復やフッ素塗布などの組み合わせ治療は最適な治療法の1つです。

〇 X線撮影は歯根構造を評価するために実施する必要があります。

 

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