犬の細菌性前立腺炎について

こんにちは!世田谷区等々力のけいこくの森動物病院です。


今回は、特に中高齢のオス犬に多く見られる「細菌性前立腺炎」についてお話しします。

前立腺炎と聞くと、少し難しく感じるかもしれませんが、見逃してしまうと命に関わることもある病気です。
今回は、飼い主さんに知っておいていただきたい症状のサイン、原因、治療法、そして予防について解説します。

前立腺ってどんな臓器?

 

「前立腺」とは、オス犬の臓器で、膀胱のすぐ下に位置し、尿道を取り囲むように存在しています。
精液の一部を作る働きがあり、生殖器として重要な役割を担っています。

しかし年齢とともに、この前立腺が腫れたり、炎症を起こしたり、感染を受けやすくなったりすることがあります。
それが「前立腺炎」、特に細菌感染によるものが「細菌性前立腺炎」です。

細菌性前立腺炎の主な症状とは?

前立腺に炎症が起きると、いくつかの特徴的な症状が現れます。ただし、初期はわかりにくいことも多いため注意が必要です。

✅ よく見られる症状

  • 陰部から膿や血が混じった分泌物が出る

  • 排尿時に痛がる、尿が出にくい

  • 頻尿、血尿

  • 便秘(前立腺の腫れで直腸が圧迫される)

  • 元気がない、食欲不振

  • 発熱、震え、後ろ足のふらつき

  • お尻周りや下腹部を触られるのを嫌がる

特に「尿や陰部から何か出ている」「排尿や排便がしづらそう」と感じたら要注意です。

細菌性前立腺炎の原因は?

この病気は名前の通り「細菌感染」によって起こります。多くの場合、膀胱炎や尿道炎から細菌が逆流して前立腺に感染する形です。

主な感染ルート

  • 尿道から経て前立腺へ

  • 血液を介して(菌血症)

  • 外傷や手術後の感染

また、去勢していない中高齢のオス犬では、ホルモンの影響で前立腺が腫れやすく、感染が起きやすい状態になります。

 診断

症状や触診から前立腺の異常を疑うことはできますが、確定診断のためには検査が必要です。

主な検査内容

  1. 触診(直腸からの前立腺チェック)

  2. 超音波検査(エコー):前立腺の大きさ・形・内部構造を確認

  3. 尿検査・細菌培養:細菌の有無を調べる

  4. 血液検査:炎症反応や腎臓の数値確認

  5. X線検査:前立腺の石灰化や膀胱との関係を見る

必要に応じて、前立腺液を採取して詳しい検査を行うこともあります。

 治療法は?

◆ 抗生物質の投与

細菌性前立腺炎の基本的な治療は、抗生物質の投与です。
ただし、前立腺内には薬が届きにくいため、適切な種類と十分な期間(2〜6週間程度)が必要です。

◆ 症状が重い場合

  • 入院して点滴治療

  • 痛み止めや解熱剤の使用

  • 膿が溜まっている場合は、外科的に排膿することも

◆ 去勢手術の検討

再発予防の観点から、去勢手術をおすすめする場合があります。
去勢により前立腺が縮小し、今後の感染リスクも大きく下がります。

再発の可能性と予防策

細菌性前立腺炎は、治療後も再発することがある病気です。

再発を防ぐために

  • 早期の去勢手術(特に未去勢の中高齢犬)

  • 定期的な健康診断や尿検査

  • 膀胱炎の放置を避ける

  • 陰部やお尻周りの清潔を保つ

特にシニア犬の場合、年1〜2回の定期健診やエコー検査で前立腺の状態をチェックすることをおすすめします。

愛犬がいつまでも元気に過ごすために

細菌性前立腺炎は、早期に発見して適切な治療を行えば完治が可能な病気です。
一方で放置すると、感染が全身に広がり敗血症など命に関わるケースもあるため、「ちょっとおかしいな」と思ったら早めの受診が大切です。

東京都世田谷区、等々力、玉川、上野毛、尾山台、自由が丘、田園調布でお困りの方は、いつでもお気軽にご相談ください。


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