2025/07/12
こんにちは!世田谷区等々力のけいこくの森動物病院です。
今回は、特に中高齢のオス犬に多く見られる「細菌性前立腺炎」についてお話しします。
前立腺炎と聞くと、少し難しく感じるかもしれませんが、見逃してしまうと命に関わることもある病気です。
今回は、飼い主さんに知っておいていただきたい症状のサイン、原因、治療法、そして予防について解説します。
前立腺ってどんな臓器?
「前立腺」とは、オス犬の臓器で、膀胱のすぐ下に位置し、尿道を取り囲むように存在しています。
精液の一部を作る働きがあり、生殖器として重要な役割を担っています。
しかし年齢とともに、この前立腺が腫れたり、炎症を起こしたり、感染を受けやすくなったりすることがあります。
それが「前立腺炎」、特に細菌感染によるものが「細菌性前立腺炎」です。
細菌性前立腺炎の主な症状とは?
前立腺に炎症が起きると、いくつかの特徴的な症状が現れます。ただし、初期はわかりにくいことも多いため注意が必要です。
✅ よく見られる症状
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陰部から膿や血が混じった分泌物が出る
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排尿時に痛がる、尿が出にくい
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頻尿、血尿
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便秘(前立腺の腫れで直腸が圧迫される)
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元気がない、食欲不振
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発熱、震え、後ろ足のふらつき
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お尻周りや下腹部を触られるのを嫌がる
特に「尿や陰部から何か出ている」「排尿や排便がしづらそう」と感じたら要注意です。
細菌性前立腺炎の原因は?
この病気は名前の通り「細菌感染」によって起こります。多くの場合、膀胱炎や尿道炎から細菌が逆流して前立腺に感染する形です。
主な感染ルート
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尿道から経て前立腺へ
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血液を介して(菌血症)
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外傷や手術後の感染
また、去勢していない中高齢のオス犬では、ホルモンの影響で前立腺が腫れやすく、感染が起きやすい状態になります。
診断
症状や触診から前立腺の異常を疑うことはできますが、確定診断のためには検査が必要です。
主な検査内容
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触診(直腸からの前立腺チェック)
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超音波検査(エコー):前立腺の大きさ・形・内部構造を確認
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尿検査・細菌培養:細菌の有無を調べる
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血液検査:炎症反応や腎臓の数値確認
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X線検査:前立腺の石灰化や膀胱との関係を見る
必要に応じて、前立腺液を採取して詳しい検査を行うこともあります。
治療法は?
◆ 抗生物質の投与
細菌性前立腺炎の基本的な治療は、抗生物質の投与です。
ただし、前立腺内には薬が届きにくいため、適切な種類と十分な期間(2〜6週間程度)が必要です。
◆ 症状が重い場合
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入院して点滴治療
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痛み止めや解熱剤の使用
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膿が溜まっている場合は、外科的に排膿することも
◆ 去勢手術の検討
再発予防の観点から、去勢手術をおすすめする場合があります。
去勢により前立腺が縮小し、今後の感染リスクも大きく下がります。
再発の可能性と予防策
細菌性前立腺炎は、治療後も再発することがある病気です。
再発を防ぐために
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早期の去勢手術(特に未去勢の中高齢犬)
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定期的な健康診断や尿検査
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膀胱炎の放置を避ける
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陰部やお尻周りの清潔を保つ
特にシニア犬の場合、年1〜2回の定期健診やエコー検査で前立腺の状態をチェックすることをおすすめします。
愛犬がいつまでも元気に過ごすために
細菌性前立腺炎は、早期に発見して適切な治療を行えば完治が可能な病気です。
一方で放置すると、感染が全身に広がり敗血症など命に関わるケースもあるため、「ちょっとおかしいな」と思ったら早めの受診が大切です。
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