2025/08/24
こんにちは!世田谷区等々力にありますけいこくの森動物病院です🌳
今日は、特に 未去勢の中高齢の雄犬で見られる「前立腺膿瘍」 について解説します。
「血尿が出た」「おしっこが出にくい」「元気がなく熱っぽい」といった症状の裏に、実は命に関わる大きな病気が隠れていることがあります。
前立腺膿瘍とは?
前立腺膿瘍とは、前立腺の中に膿がたまってしまう病気 です。
通常は細菌性の前立腺炎から進行して膿瘍を形成することが多く、もともと存在していた嚢胞に感染が起きて膿がたまるケースもあります。
膿瘍が小さいうちは症状が分かりにくいこともありますが、膿が大きくなると排尿や排便に影響を与えたり、重症化すると 敗血症や腹膜炎 に進行して命を脅かす危険もあります。
どんな症状が出るの?
前立腺膿瘍の症状はさまざまですが、飼い主さまが気づきやすいポイントをまとめます。
泌尿器症状
- 血尿
- 頻尿(トイレに何度も行く)
- 排尿困難(おしっこがなかなか出ない)
消化器・排便の変化
- 前立腺が腫れて直腸を圧迫するため、リボン状に細い便が出る
- 水様便や軟便
全身症状
- 発熱
- 元気消失
- 食欲不振
- 後ろ足や腰を触られるのを嫌がる(後腹部や骨盤周囲の痛み)
重症例
- 敗血症により全身の調子が急激に悪化
こうした症状が見られたら、早めの検査が重要です。
診断方法
直腸検査
腫れた前立腺が直腸の腹側に触れて確認できます。触診で痛みが出ることもあります。
超音波検査(エコー)
前立腺の中に「空洞病変」があるかを確認します。ただし、空洞がある=必ず膿瘍とは限りません。
細菌培養検査・感受性試験
大腸菌やブドウ球菌など、どの細菌が原因かを特定し、有効な抗菌薬を選ぶために行います。
尿検査・血液検査
膀胱炎や全身への影響もチェックします。
治療方針
前立腺膿瘍は自然に治ることはなく、早急な治療が必要です。
抗菌薬治療
- 前立腺に移行しやすい薬を選びます。
- 4〜6週間程度の投与が必要な場合もあります。
膿瘍のドレナージや外科的切除
- 大きな膿瘍では抗菌薬だけでは治りません。
- 通常は外科手術や穿刺吸引などで膿を取り除く必要があります。
全身管理
- 敗血症や強い炎症がある場合は、点滴や鎮痛処置が必要です。
- 状態が安定すれば通院での治療も可能になります。
予後について
膿瘍が破裂して腹膜炎を起こしたり、敗血症に進行すると非常に危険です。
一方で、早期に適切な治療を行えば予後は良好 です。
ただし再発することも多いため、安定した時期に去勢手術を行うことが再発防止につながります。
飼い主さまへのポイント
- 血尿や頻尿、排尿困難が見られたら早めの受診を!
- 単なる膀胱炎と思っていたら、実は前立腺膿瘍ということもあります。
- 抗菌薬だけで完治する場合もありますが、大きな膿瘍では外科的処置が必要になることもあります。
まとめ
前立腺膿瘍は、放置すると命に関わる危険がある病気です。
早期に異常に気づき、的確な検査・治療を受けることが愛犬の命を守ります。
「最近おしっこの様子がおかしい」「元気がない」と感じたら、ぜひ早めにご相談ください。
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