2025/12/04
こんにちは!
世田谷区等々力にあります、けいこくの森動物病院です🌳
犬の臍ヘルニアは、いわゆる「でべそ」と呼ばれる状態で、子犬で動物病院を受診した際に見つかることが多い病気です。
基本的には命に関わらないことも多い一方で、まれに危険な「嵌頓(かんとん)ヘルニア」へ進行することがあるため注意が必要な状態です。
今回は、飼い主さん向けに臍ヘルニアの仕組みや治療、気をつけるポイントをお話したいと思います!
臍ヘルニアとは?
臍ヘルニアとは、
本来ふさがっているはずのおへその穴(臍輪)から、脂肪や腸などの腹腔内の臓器が外側へ飛び出した状態のことをいいます。
多くの場合は先天性(生まれつき)で、遺伝性の可能性も指摘されています。
子犬の頃にぽこっとした膨らみが触れるため、飼い主さんが見つけることもよくあります。
膨らみの正体は次のようなものです。
- 皮下脂肪
- 大網(お腹の中の脂肪)
- 腸などの臓器(まれ)
見た目は小さな“でべそ”から、大きくふくらんだ球状のものまでさまざまです。
どうして起こるの?
臍ヘルニアは多くが 先天性 で、以下が原因として考えられています。
- 子犬の発育中に臍輪が完全に閉じなかった
- 遺伝的な要因が関係している可能性
- まれに外傷性(お腹を強く打つ、事故など)で起こることもある
ただし外傷性はまれなので、日常生活で強く心配しすぎる必要はありません。
放置すると危険?「嵌頓ヘルニア」に注意
臍ヘルニアそのものは軽度であれば緊急性は高くありません。
しかし ごくまれに「嵌頓(かんとん)」が起きると危険な状態に変わります。
嵌頓(かんとん)とは?
飛び出した臓器がヘルニア孔に詰まって戻らなくなり、血流が悪くなる状態です。
これが続くと
➡ 臓器の壊死(死んでしまう)
➡ 激しい痛み・ショック
➡ 命に関わることも
と、急に深刻になる可能性があります。
嵌頓のサイン
以下のような場合はすぐに病院へ連絡してください。
- 膨らみが硬い・触ると痛がる
- 今まで戻っていた“でべそ”が戻らない
- 急に大きくなった
- 元気がない、震えている
- 吐く、食欲がない
嵌頓は臍ヘルニアだけでなく、鼠径(足の付け根)ヘルニア・会陰ヘルニアなどでも起こり得ますが、臍ヘルニアでも起こる可能性はゼロではありません。
診断はどうやって行う?
臍ヘルニアの診断はシンプルで、基本は触診と視診で判断できます。
必要に応じて、
- 超音波検査(エコー)
→中に脂肪か腸かを確認 - X線(レントゲン)
→腸の位置確認、ほかの腹腔疾患のチェック
を行います。
嵌頓が疑われる場合はより詳しい検査を行い、腹腔内の臓器がどの程度ダメージを受けているかを確認します。
治療について
臍ヘルニアの治療は以下の2つに分かれます。
① 経過観察(軽度の場合)
小さな臍ヘルニアは、成長とともに自然に閉じることがあります。
子犬ではよく見られるケースです。
◎ 注意点
ただし、
- 2〜3cm以上の大きさ
- 触ると痛がる
- 突然大きくなった
- 元気がない
- 戻りにくい
などがあれば放置は危険です。
② 外科手術(一般的な治療)
多くの臍ヘルニアは 手術で閉じることができます。
手術が必要なケース
- 中に腸や大網が入り込んでいる
- 大きくて自然閉鎖が見込めない
- 嵌頓のリスクがある
- 他の麻酔が必要な手術(避妊・去勢など)と合わせて行うことも多い
手術は比較的シンプルで、
ヘルニア孔(穴)を縫い閉じることで治療します。
嵌頓が起きていた場合は、
腸の壊死部分の切除・吻合(つなぎ直し) が必要になることもあります。
予後(治りやすさ)
臍ヘルニアは手術すればほとんどが完治し、再発もまれです。
ただし嵌頓してから手術した場合は臓器障害のリスクが上がるため、早期の対応が大切です。
まとめ:臍ヘルニアと上手につきあうために
- 臍ヘルニアは多くが先天性の「でべそ」
- 小さいものは様子見できる
- ただし 嵌頓に進行すると命に関わることも
- 痛み・突然の腫れ・戻らない膨らみは要注意
- 安全策として避妊・去勢手術と一緒に手術するケースが多い
日頃からお腹をそっと触ってあげて、「いつもと違う?」を感じたら早めに病院へご相談ください。
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