好酸球性肉芽腫症候群について(6/11)

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こんにちは!

世田谷区等々力にあります、けいこくの森動物病院です🌳

今回は「好酸球性肉芽腫症候群」という口腔粘膜の疾患についてお話ししたいと思います!

この疾患はまれにわんちゃんでも見られますが、ねこちゃんでの発生がほとんどです。

 

好酸球性肉芽腫症候群とは?

猫の皮膚や口の中などに、「ただれる」「盛り上がる」「赤くなる」などの病変ができる病気で、免疫系の異常な反応(アレルギーなど)により、好酸球という白血球が集まって炎症を起こすことが原因とされています。

なぜ「好酸球」なの?

  • 好酸球とは、体内に侵入した寄生虫やアレルゲンに反応して集まる白血球の一種。

  • 体を守るはずの好酸球が、過剰反応することで組織を壊してしまい、潰瘍しこり(肉芽)などの病変を引き起こします。

 

原因

好酸球性肉芽腫症候群のはっきりとした原因は未だ不明ですが、局所性と全身性が考えられています。

      〇 局所性(食物など)

      〇 全身性(ノミアレルギーやアトピーなど)

上記2点が原因としてあげられますが、アレルギーや感染症が否定されたねこちゃんでも発生が認められています。

グルーミングや不正咬合による外傷などの慢性刺激に対する反応も原因となる可能性があり、遺伝的要因も考えられています。

 

無痛性潰瘍

ねこちゃんで最も多く発生する口腔内病変です🐱💦

上唇・上唇溝・上顎犬歯周囲赤色から褐色の病変として認められます。

上記の症状は片側だけの場合や両側に見られる場合があります。

また雄ねこちゃんよりも雌ねこちゃんのほうが2~3倍発生発生頻度が高いです。様々な年齢層で発生の報告があります。

 

線状肉芽腫

無痛性潰瘍の次に多く発生する口腔内病変です。

唯一、真性の肉芽腫をつくります。

  • 好酸球(アレルギーに関係する白血球)

  • 肥満細胞、マクロファージなど

  • 繊維芽細胞による組織の増殖

こうした細胞が慢性的に集まって組織を作るため、腫瘍のように見えるけれど悪性ではないことが多いです。

口唇・歯肉下・舌・口蓋でよく発生します。

綿状肉芽腫は通常無痛性であるが二次感染を伴うこともあります。

 

  • ジュクジュクしている

    • 滲出液(しんしゅつえき)、つまり膿や体液がにじみ出ている

  • 赤く腫れる

    • 一次病変よりも明らかに炎症が強くなる

  • かさぶたや膿痂(のうか)ができる

  • 悪臭がする(細菌性皮膚炎によく見られる)

  • 歯周組織欠損や口腔鼻腔瘻(本来は口と鼻は完全に仕切られているのに、その仕切り(=上あごの骨や粘膜)が壊れて、口と鼻がつながってしまう状態)が起こる

 

線維融解性肉芽腫

若齢の雌ねこちゃんに最も多く、下顎の吻側側の唇に発生しやすいです。

皮膚や口の中にできる「肉芽腫(しこり・ただれ)」のうち、
本来あるべき線維の組織(皮膚の土台のようなもの)が溶ける(壊れる)タイプのものです。

炎症はそれほど強くありません。

 

治療

原因の除去

✅ ノミ対策(最優先!)

  • ノミアレルギーが原因の1つと考えられています。

  • フロントライン、ブロードライン、レボリューションなどを毎月投与しましょう。

  • 同居の子も一緒に駆虫が必要です。

✅ 食物アレルギー除去食試験

  • 原因が食事なら、完全除去食(低アレルゲン食)を8〜12週間継続しましょう

  • 療法食例:ヒルズ z/d、ロイヤルカナン アミノペプチドなど

✅ 環境アレルゲン(花粉・カビ・ハウスダスト)

  • 空気清浄機・掃除の徹底をします。

  • 特定困難なことが多いが、対策は重要です。

炎症の抑制(免疫調整)

🔹 ステロイド(第一選択薬)

  • プレドニゾロンが一般的に使用されています。

  • 炎症と免疫反応を抑える効果が強いです。

全身的な副作用が生じるため長期使用は避けるべきです。

🔹 免疫抑制剤(難治性・ステロイドに反応が悪い場合)

二次感染への対処

細菌感染やカビの併発がある場合

  • 抗生物質(アモキシシリン、セファレキシンなど)

  • 抗真菌薬(イテラコナゾール、ケトコナゾール)

  • 感染がひどい場合は病変部の洗浄や軟膏も併用します。

局所治療・物理的処置

処置 内容
ステロイドの局所注射 潰瘍や肉芽腫が限局している場合に有効
外用薬 ステロイド軟膏は使えるが、猫が舐めるため慎重に
外科的切除 難治性の結節(綿状肉芽腫など)では切除することもある

 

維持療法・再発予防

  • 原因アレルゲンが判明していれば回避を継続していきます

  • ステロイドは最小量で長期管理(1日おき投与など)

  • ストレスや季節変動も関係するため生活環境の安定も大切です。


 

東京都世田谷区、等々力、玉川、上野毛、尾山台、自由が丘、田園調布で、歯でお困りの方は、いつでもお気軽にご相談ください。

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けいこくの森動物病院  世田谷犬猫歯科

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TEL:03-3704-1014

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