ガーガーと喉を鳴らすような異音、呼吸が苦しそう…もしかして【咽頭麻痺・虚脱】かも?

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こんにちは!

世田谷区等々力にあります、けいこくの森動物病院です🌳

今回はわんちゃん🐶の【咽頭麻痺・虚脱】についてご説明いたします。

これらはわんちゃんの呼吸に関わる病気で、命に関わることもある重要な疾患です。

咽頭麻痺・虚脱とは?

咽頭麻痺

咽頭麻痺は、喉の筋肉や神経が正常に働かなくなることで、気道が狭くなってしまう状態です。

具体的には、声帯を動かす神経(反回神経)が機能しなくなり、声帯が開かずに気道をふさいでしまうことが問題です。本来は呼吸時に声帯が開くことで空気の通り道が確保されますが、麻痺して動かなくなると呼吸困難になります。

咽頭虚脱

咽頭虚脱は、咽頭部(のどの奥)が吸気時に潰れてしまい、空気がうまく通らなくなる状態です。慢性的に強い陰圧(吸う力)がかかることで、咽頭の構造が内側に引き込まれ、結果的に呼吸困難を引き起こします。

この状態は、短頭種気道症候群(パグ、フレンチブルドッグなど)と関連することが多く、重症化すると窒息状態に陥る危険性もあります。

主な症状

咽頭麻痺や咽頭虚脱では、以下のような症状が見られます。

  • 息が苦しそう(努力呼吸

  • 喉から「ガーガー」「ヒューヒュー」と音がする

  • 舌の色が紫色になる(チアノーゼ

  • 散歩中に疲れやすい、失神する

  • 暑い日に呼吸困難を起こす

  • 嘔吐や吐出を繰り返す

これらの症状は暑い日や興奮したとき、運動後に悪化する傾向があります。特に夏場は注意が必要です。

原因

咽頭麻痺・虚脱の原因にはいくつかのパターンがあります。

加齢・神経の老化

高齢犬に多く見られる原因です。特にラブラドール・レトリバーやゴールデン・レトリバーでの発症が多く、老化により神経の伝達が悪くなることで起こります。

遺伝・先天的要因

若齢の短頭種では、先天的に咽頭の構造が不安定なことがあり、虚脱を起こしやすい傾向があります。

(若齢のダルメシアンやロットワイラー、トイプードルでも発症例がある)

慢性の呼吸器疾患

長期にわたる気道の閉塞や強い呼吸運動が原因となって、咽頭に負担がかかり変形することもあります。

医原性

胸部あるいは頸部外科手術時に反回神経が障害を受けることで起こります。

診断

診断には以下のような方法が使われます。

  • 身体検査・聴診:吸気時に聞こえる高音性の異常呼吸音(喘鳴)などを確認します。

  • レントゲン検査:気道の形や肺の状態を確認を確認します。

  • 喉頭鏡検査(全身麻酔下):声帯の動きを直接観察します。

  • 内視鏡検査:気道内の虚脱の程度を確認します。

軽度の症状では診断が難しいこともあり、動画を撮って見せていただくと診断の助けになる場合があります。

治療

内科的治療

  • 抗炎症薬気管支拡張薬の投与

  • 酸素吸入

  • 涼しい環境での生活管理

  • 体重管理(肥満は悪化因子

軽度の場合はこうした内科的な治療と生活環境の見直しでコントロール可能なこともあります。

外科的治療

症状が重度の場合や、内科的治療で改善しない場合には外科手術が検討されます。

  • 咽頭麻痺:片側声帯を外側に固定する「喉頭側方化術」が一般的です。

  • 咽頭虚脱:軟口蓋切除術や喉頭の固定術など、個々に合わせた処置もあります。

手術には全身麻酔が必要であるため、術前の全身評価が重要です。

予後と注意点

早期発見・早期治療ができれば、多くのわんちゃんは良好な生活を送ることができます。ただし、再発手術後の合併症(誤嚥性肺炎など)のリスクもあるため、術後の経過観察や生活管理がとても大切です。

また、咽頭麻痺・虚脱は気温や湿度の高い日には症状が悪化しやすいため、暑さ対策や過度な運動を避けることが大切です。

 

東京都世田谷区、等々力、玉川、上野毛、尾山台、自由が丘、田園調布でお困りの方は、いつでもお気軽にご相談ください。


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けいこくの森動物病院  世田谷犬猫歯科

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