2025/07/05
こんにちは!
世田谷区等々力にあります、けいこくの森動物病院です🌳
わんちゃんのデリケートな部分に関する症状は、なかなか気づきにくいことも多く、「なんとなく陰部を気にしているな……」と感じても、そのまま様子を見てしまう飼い主さまも多いかもしれません。
今回は、そんな「膣炎(ちつえん)」について、獣医師の視点から詳しく解説します。
「膣炎ってそもそも何?」「うちの子の症状って当てはまる?」という疑問をお持ちの飼い主さまは、ぜひ最後までお読みください。
膣炎とは?
膣炎とは、膣(ちつ)という外陰部の奥にある器官に炎症が起きている状態を指します。メスの犬や猫に起こり、年齢を問わず見られます。
膣は外部からの異物や細菌の侵入を受けやすい部位であり、免疫のバランスが崩れると炎症を起こしやすくなります。
膣炎は単独で発症する場合もありますが、他の疾患(子宮蓄膿症や膀胱炎、尿道炎など)と併発していることもあります。
膣炎の主な症状
膣炎になると、以下のような症状が見られることがあります。
• 陰部を舐める・気にする様子が多くなる
• 陰部からの分泌物(透明・白・黄色・血が混じることも)
• 陰部周囲の赤み・腫れ
• 陰部を床や家具にこすりつける行動
• 排尿回数の増加や、排尿時の違和感
• 元気消失や食欲低下(重症例)
特に、膣からの異常な分泌物や、陰部を執拗に舐める行動は、膣炎を疑うきっかけになります。
膣炎の原因は?
膣炎の原因はさまざまですが、大きく分けて以下のような分類ができます。
細菌感染
もっとも一般的な原因です。細菌が外部から膣内に入り込み、炎症を引き起こします。トイレ環境が不衛生だったり、免疫が低下していると起こりやすくなります。
外傷
交尾や異物挿入、あるいは転倒などによる物理的な刺激・外傷が原因で膣の粘膜に傷がつき、炎症が起きることがあります。
ホルモンバランスの変化
発情期や避妊手術前後のホルモン変動が膣の粘膜に影響し、炎症を引き起こすことがあります。
子宮や膀胱、尿道の疾患に関連
膣炎が子宮や膀胱など他の病気の二次的な症状として現れる場合もあります。この場合は、基礎疾患の治療が重要になります。
診断方法
膣炎の診断には、以下のような方法が用いられます。
• 視診・触診:外陰部の腫れや分泌物の確認。
• 膣スメア検査(膣分泌物の顕微鏡検査):感染の有無や細菌の種類、炎症の程度を確認。
• 尿検査:膀胱炎や尿道炎の合併をチェック。
• 血液検査:感染や炎症の有無を全身的に評価。
• 超音波検査(エコー):子宮・膀胱・腫瘍などの異常を調べる。
治療方法
原因に応じて治療法は異なりますが、主に以下のアプローチが取られます。
抗生物質の投与
細菌感染が確認された場合は、適切な抗生物質の内服または注射によって炎症を抑えます。必要に応じて感受性検査を行い、最も効果的な薬を選びます。
膣洗浄
膣内の分泌物や細菌を物理的に洗い流す処置を行います。
基礎疾患の治療
膣炎が子宮疾患や膀胱炎の二次的な症状であれば、そちらの治療が優先されます。
ホルモン関連の場合の対処
エストロジェンというホルモンが関連しているとされる若年性膣炎では、ホルモン剤を投与してバランスを整えることにより治療を行う場合があります。
放置しても大丈夫?
膣炎は軽度であれば自然治癒することもありますが、放置すると慢性化し、再発を繰り返すこともあります。
また、見た目は膣炎に似た症状でも、子宮蓄膿症や腫瘍といった命に関わる病気が隠れている場合もあります。特に高齢のメス犬・猫で、陰部から膿や血が出ている場合は早急な受診が必要です。
膣炎の予防法はある?
完全に防ぐことは難しいものの、以下のような対策でリスクを下げることができます。
• 陰部の清潔を保つ(排尿後・排便後のチチェック)
• 発情出血時のこまめなケア
• トイレ周りの衛生管理
• 定期的な健康診断
• 避妊手術の検討(再発予防に効果)
まとめ:気になる症状があれば、早めの受診を!
膣炎は、飼い主さまが気づきにくい部分に起きる病気ですが、わんちゃんにとっては大きなストレスや痛みの原因になっていることがあります。
「いつもより陰部を舐める」「おりもののようなものが出ている」「排尿が変」など、少しでも気になるサインがあれば、お早めにご相談ください。
ご不安な点があれば、いつでもお気軽にお問い合わせください。
東京都世田谷区、等々力、玉川、上野毛、尾山台、自由が丘、田園調布でお困りの方は、いつでもお気軽にご相談ください。
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