2025/11/15
こんにちは!
世田谷区等々力にあります、けいこくの森動物病院です🌳
今回は【 流涙症 】についてお話いたします。
「目の下あたりがいつも濡れている」「涙のあとが毛に茶色くついている」といった状態を見かけたことはありませんか?これらは一般に「流涙症(りゅうるいしょう)」と呼ばれ、目から分泌された涙が正常に排出されずあふれ出る/顔を伝って流れ落ちる状態を指します。医学的には涙の過剰な産生もしくは排出の障害のどちらか(または両方)が原因となります。
つまり、涙は目の表面を潤し、異物を流し出したり目を守ったりする大切なものですが、排出の道(涙管・鼻涙道など)がうまく働かないと、涙が顔をつたって垂れてしまい、それが「いつも涙が多い」「涙で毛が濡れてる」「涙のあとが染みてる」と見えるわけです。
どうして起きるの? 主な原因をチェック
流涙症が起きる原因は大きく分けて 2つ あります。
1. 涙がたくさん出てしまう(過剰産生)
目が何らかの刺激を受けると、涙をたくさん出して流そうとします。
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目にゴミ/草の種が入った、まつげ・毛が眼に当たっている
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アレルギーや結膜炎、角膜の傷・炎症などがある
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眼内疾患(例えば緑内障など)によって涙が多くなることも

2. 涙が流れ出る道が詰まっている・うまく働いていない(排出障害)
涙は本来「眼の内側(鼻側)の角あたり」から涙管を通って鼻に抜けていきますが、何らかの理由でこの経路がうまくいかないと涙があふれます。
下記のようなサインがあれば「ちょっと流涙症かも?」と目を向けてあげてください
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目の下(特に鼻側)や毛がいつも濡れている/涙によるシミ(特に明るい毛色の場合は茶色っぽくなる)
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涙があふれて顔を伝って流れているように見える
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まぶたをこする、目をぱちぱちさせる、目が赤い・充血しているなどの目の違和感あり
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片方だけ目から涙が多い・濡れている(片眼だけでも起こり得ます)
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※特に「黄色・緑っぽい目やに」「目を痛がる/目を閉じたままにする」「視力低下が疑われる」といった場合は、より早く動物病院での診察が必要です。
また、涙が多いだけでなく、湿った状態が続くと皮膚にかぶれやすく、菌の繁殖や皮膚炎に繋がることもあります。
飼い主さんができるケアと、病院での治療について
ご家庭でできるケア
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目の周りの毛(特に目の下~鼻にかけて)を清潔・乾燥に保つ、柔らかいガーゼやぬるま湯で優しく拭いてあげましょう。
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長毛種の場合、目の周りの毛が涙を誘導してしまうことがあるため、目の周りの毛を整える(短めにカット/絡まりを防ぐ)ことも有効です。
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目にゴミや異物が入っていないか(風の強い日・散歩のあとなど)軽くチェックしてあげる。
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ただし、痛がっていたり、目の中が異常に赤かったり、涙の色・量が急変していたりする場合は自己判断せずすぐに動物病院を受診をしましょう。
動物病院での診察・治療
流涙症の診察・治療は、まず「なぜ涙が多いか」「排出路がどうか」を確認することから始まります。
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涙の排出経路(涙管/鼻涙道)に詰まりがないか、眼の表面に傷がないかなど検査を行います。
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原因が目の刺激(角膜傷・異物・まつげ異常など)であれば、それを取り除く治療(異物除去、まぶたの手術など)を行います。
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原因が排出路の詰まりであれば、涙管を洗浄したり、場合によっては手術で道を確保することもあります。
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ただし、構造的な体格(短頭種など)や毛の生え方などが原因で慢性的に少し涙が出やすいケースでは、完治が難しく、日常的ケア+定期チェックという形をとることもあります。

流涙症ってどんな時が「見守っていても大丈夫」?/どんな時に「すぐ受診」?
見守っていても大丈夫な可能性があるケース
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涙の量・濡れが少量で、目の色も正常、痛がるそぶりもない。
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以前から顔の形や毛の状態のせいで少し涙が流れやすい体質と分かっている。
(ただし、定期的にチェックしてあげることが大切です)
受診をおすすめするサイン
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涙が急に増えた/片側だけ急にという場合。
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目が赤く、まぶたをこする・目を閉じたまま・視線が定まらないなどの異常がある。
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涙だけでなく目やにが黄色・緑、または粘っこい/目の表面が曇っている。
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涙の跡が皮膚炎を起こしていたり、かぶれが酷くなっている。
これらは単に涙が多いだけでなく、怖い目の病気(角膜潰瘍、緑内障、涙道の深刻な詰まりなど)が隠れている可能性があります。
日常生活で気を付けたいポイント
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散歩・お出かけ時、風やホコリ・草の種・花粉などが目に入らないように配慮してあげましょう。
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目の周囲の毛は常に清潔に保ち、絡まりやすい毛・目に触る毛はこまめに整えてあげましょう。
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涙のあと(涙痕)がある場合は、毎日やさしくふき取り、湿った状態を作らないようケアをしてあげましょう。
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定期的に眼の状態(充血・まぶたの異常・まつ毛の異常など)をチェックし、「何か変だな」と思ったら早めに動物病院を受診しましょう。
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特に短頭種(チワワ・パグ・フレンチブルドッグ・シーズーなど)は構造上涙が流れやすいので、「これはうちの子の体質かな?」と思いがちですが、変化がないか日々観察をしましょう。
最後に
「涙が多い」「目の下が常に濡れている」「毛の色が変わってきた」などのサインは、見た目の変化だけでなく、目や顔周りの皮膚への負担やひいては視力・快適な生活にも影響を及ぼすことがあります。
早めにケアをしてあげることで、暮らしをより快適にしてくれます。
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