2025/10/23
こんにちは!世田谷区等々力にありますけいこくの森動物病院です🌳
「最近なんだか元気がない」「動くとすぐに疲れてしまう」「歯ぐきの色が白っぽい気がする」
そんな症状が見られるとき、もしかすると「鉄欠乏性貧血」が隠れているかもしれません。
鉄欠乏性貧血とは?
血液の中には「赤血球」という細胞があり、その中のヘモグロビンという成分が酸素を運ぶ役割をしています。
ヘモグロビンを作るためには「鉄」が欠かせません。
ところが、体の中の鉄が不足してしまうと、ヘモグロビンをうまく作れなくなり、酸素を運ぶ力が落ちてしまいます。
これが「鉄欠乏性貧血」です。
鉄が足りなくなる原因の多くは、少しずつ続く出血(慢性出血)です。
例えばこんなケースがあります👇
- 子犬や子猫では、ノミがたくさん寄生して血を吸われてしまう
- 寄生虫が腸の中で血を吸っている
- 成犬・成猫では、消化管の潰瘍や腫瘍によって出血している
- まれに、尿や生殖器から少しずつ出血している
特に若い動物は、もともと体の中に鉄の貯えが少ないため、比較的短い期間でも鉄欠乏を起こしてしまいます。
どんな症状が出るの?
鉄欠乏性貧血では、血液の酸素を運ぶ力が落ちるため、全身にさまざまな症状が現れます。
- 元気がない、すぐ疲れる
- 動くと息が荒くなる
- 歯ぐきや舌が白っぽい
- 食欲が落ちる
- 被毛のツヤがなくなる
- 重度になると、ふらついたり失神することも
また、貧血の原因が「消化管からの出血」の場合、便が黒っぽくなったり、便に血が混じることもありますが、見た目にはまったくわからないケースも多いです。
どうやって診断するの?
血液検査では、赤血球の数や大きさ、ヘモグロビンの量を調べます。
鉄欠乏性貧血では、小さくて色の薄い赤血球(小球性低色素性貧血)が多く見られます。
原因を探すためには、追加で以下のような検査を行うことがあります。
- 糞便検査
- 腹部エコー検査・レントゲン検査
- 内視鏡検査やCT検査
とくに成犬・成猫では、腫瘍や慢性の腸炎などによる出血が隠れていることがあるため、慎重な検査が必要になります。
治療はどうするの?
治療の目的は、「出血を止める」ことと「不足した鉄を補う」ことです。
原因の治療
ノミや寄生虫が原因であれば駆除薬を使い、消化管の病変がある場合はそちらの治療を行います。
病気の種類によっては手術や内視鏡治療が必要になることもあります。
鉄の補給
原因の治療と並行して、鉄剤を投与する場合があります。
重度の場合は輸血
貧血が進行している場合は、一時的に輸血を行い、体内の酸素運搬能力を回復させます。
予後と注意点
出血の原因をきちんと治療できれば、貧血は回復し、元気を取り戻すことができます。
ただし、原因が腫瘍や慢性疾患だった場合は、再発の可能性もあるため、定期的な検査が大切です。
また、鉄剤の投与は自己判断で行わないようにしましょう。
鉄の過剰摂取は逆に肝臓などに負担をかけてしまうため、獣医師の指導のもとで行うことが重要です。
犬や猫がなんとなく元気がないとき、「年のせいかな」と見過ごしてしまうこともありますが、
その裏に貧血や出血性の病気が隠れていることもあります。
少しでも気になる症状があれば、早めにご相談ください。
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