2025/06/25
こんにちは!世田谷区等々力のけいこくの森動物病院です。
皮膚に突然できた赤くて丸い「できもの」。見た目が目立ち、飼い主様がびっくりして来院されることが多いのが、「皮膚組織球腫(ひふそしききゅうしゅ)」という良性腫瘍です。
この記事では、犬の皮膚組織球腫について、その原因・症状・診断・治療・予後などを紹介します。
皮膚組織球腫とは?
皮膚組織球腫は、若い犬によく見られる良性の皮膚腫瘍です。特に3歳未満の若齢犬に多く、突然赤くてドーム状のしこりが現れるのが特徴です。
「腫瘍」と聞くと怖い印象を持たれるかもしれませんが、この腫瘍はほとんどが自然に消失する珍しい性質を持ち、転移することはありません。
好発犬種
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ラブラドール・レトリバー
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ボクサー
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ダックスフンド
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コッカー・スパニエル
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ブルテリア
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その他の若齢犬種全般
年齢的には6ヶ月~3歳くらいまでの犬に多く見られます。
症状と見た目の特徴
皮膚組織球腫は、以下のような特徴を持っています。
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突然できる(数日以内)
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直径1~3cm程度の赤く丸いできもの
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表面はツルツルしていたり、潰瘍化してジクジクすることも
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かゆみはあまりないが、気にして舐める犬もいる
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体のどこにでもできるが、特に顔、耳、四肢、頭部に多い
見た目が悪性腫瘍と似ていることもあり、放置せずに獣医師の診察が必要です。
原因は?
皮膚組織球腫の明確な原因はまだ完全には解明されていません。
現在のところ、免疫細胞の一種である「ランゲルハンス細胞(表皮マクロファージの仲間)」が異常に増殖することで発生すると考えられています。
診断方法
皮膚組織球腫の診断には、以下のような手順を取ります。
1. 視診・触診
見た目やできた部位、犬の年齢などからある程度の判断が可能です。
2. 細胞診(針吸引)
細い針で腫瘍の中の細胞を採取し、顕微鏡で観察します。
皮膚組織球腫では特徴的な大型で明るい核を持つ組織球様細胞が見られるため、かなりの確率で診断が可能です。
3. 病理組織検査(切除後)
細胞診で確定できない場合や、他の腫瘍との鑑別が必要な場合には、腫瘍を切除して組織を検査する「病理診断」が行われます。
治療方法
皮膚組織球腫の多くは無治療でも自然消失します。数週間~数か月で免疫反応によって腫瘍細胞が排除され、しこりは徐々に小さくなっていきます。
ただし、以下のような場合には積極的な治療が必要になります。
治療が必要なケース
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潰瘍化して出血・感染を起こしている
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犬が気にして舐め壊す
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他の腫瘍との鑑別診断のために切除して病理検査が必要な場合
主な治療方法
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外科的切除:完全に切除すれば再発はほぼありません。
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経過観察:悪化しない限りはそのまま観察し、自然消退を待ちます。
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薬剤投与(必要に応じて):感染や炎症がある場合は抗生物質や消炎薬を使用します。
予後(治りやすさ)は?
皮膚組織球腫の予後は極めて良好です。
自然消退するケースが多く、切除した場合も再発することはまれです。転移の心配もありません。
ただし、見た目や位置によっては早めの処置が必要になることもあるため、自己判断で様子を見ず、獣医師による適切な診断を受けましょう。
見つけたらご相談を
突然できた皮膚のできものは、必ずしも無害とは限りません。
皮膚組織球腫のように良性のものもあれば、悪性腫瘍(がん)の可能性がある場合もあります。
「うちの子に変なできものができた…」と感じたら、ぜひ早めに動物病院へお越しください。
まとめ
ポイント | 内容 |
---|---|
対象 | 主に2歳未満の若い犬 |
原因 | 不明 |
症状 | 赤く丸い皮膚のしこり、突然発症 |
診断 | 細胞診または病理組織検査 |
治療 | 自然消退が多いが、必要に応じて切除 |
予後 | 良好。再発・転移のリスクは低い |
犬の皮膚のできものは見逃さずに
皮膚組織球腫は命にかかわる病気ではありませんが、似たような見た目をした悪性腫瘍も存在します。
大切なワンちゃんの健康を守るためにも、「様子を見る」のではなく、「まずご相談を」をおすすめします。
東京都世田谷区、等々力、玉川、上野毛、尾山台、自由が丘、田園調布でお困りの方は、いつでもお待ちしております。
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けいこくの森動物病院 世田谷犬猫歯科
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