歯の神経が出ているかも…⁉複雑歯冠破折について解説

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こんにちは!

世田谷区等々力にあります、けいこくの森動物病院です🌳

 

皆さんは、愛犬や愛猫の「歯が折れる」というトラブルを想像したことがありますか?

じつは、特に犬ではおもちゃを強く噛んだり、硬いものをかじることが原因で、歯が欠けたり折れたりする事故が珍しくありません。

特に注意が必要なのが「複雑歯冠破折(ふくざつしかんはせつ)」別名「開放性歯冠破折」と呼ばれる状態です。

今回は複雑歯冠破折(開放性歯冠破折)についてご紹介します。

 

複雑歯冠破折とは?

歯の外側が欠ける程度の破折を「単純破折」と言うのに対し、複雑破折では、歯の神経(歯髄)が露出してしまう状態になります。

この神経の露出によって、強い痛みや感染リスクが高まるため、放置はとても危険です。

とくに多いのは、上顎の犬歯や、奥歯(裂肉歯)での破折です。

「なんだか最近、フードを噛みにくそう」「片側でしか噛んでいない」など、些細な変化から気づくこともあります。

 

原因

複雑歯冠破折の主な原因は以下のようなものです

  • 硬すぎるガムや鹿角、蹄などを噛んだ
  • ケージや鉄柵などの金属を噛んでいた
  • 高所から落下して顔をぶつけた
  • 他の動物とのケンカやじゃれ合いで歯をぶつけた

とくに「与えているおもちゃが硬すぎる」ことが原因で、気づかないうちに歯を痛めているケースがよく見られます。

 

 

見た目や症状のサインは?

複雑歯冠破折では、以下のような症状が見られることがあります

  • 歯の一部が欠けて赤い点(露出した神経)が見える
  • 折れた歯の根元が黒ずんでいる
  • 食欲が落ちた、食べ方がいつもと違う
  • 頬を触るのを嫌がる、顔を触ると怒る
  • よだれが増える、口臭がきつくなる

このような場合、痛みを我慢している可能性が高く、できるだけ早く動物病院を受診する必要があります。

 

放置するとどうなるの?

複雑歯冠破折を放っておくと、神経から細菌が入り込み、歯髄炎(しずいえん)や根尖膿瘍(こんせんのうよう)といった、歯の根の奥で化膿してしまう病気につながります。

さらに、口腔内の感染が進行すると、顎の骨まで炎症が波及することもあります。こうなると、手術が必要になることもあり、動物にも大きな負担となってしまいます。

 

治療方法は?

治療の選択肢は、状態や歯の部位によって異なります。主に以下のような方法があります

1. 歯内治療(根管治療)
 → 折れた歯を残したい場合に行う治療で、人間の歯の神経治療に似ています。
 神経を除去し、内部を洗浄・消毒後、薬を詰めて密閉します。

 複数回、麻酔が必要になります。

2. 抜歯
 → 歯の状態が悪く、保存が難しい場合に選択されます。
 麻酔下で安全に行うことができます。

いずれにしても、早期発見・早期治療が重要です。痛みが軽いうちに対応できれば、よりよい結果につながります。

 

予防のポイントは?

複雑歯冠破折を防ぐために、以下の点に気をつけましょう

  • 硬すぎるガムやおもちゃ、鹿角などは避ける
     (ハサミで切れないものは避けましょう)
  • 遊ぶときに金属ケージなどを噛ませないよう注意
  • 普段から口の中をチェックする習慣をつける
  • 歯磨き習慣を取り入れて口腔環境を清潔に保つ

 

まとめ

歯のトラブルは目に見えづらく、わんちゃん・ねこちゃん本人も痛みを隠すことが多いため、発見が遅れることがあります。

特に神経が露出してしまう「複雑歯冠破折」は緊急性が高く、放置は厳禁です。

「何か様子が変だな?」と思ったときには、ぜひ早めに動物病院にご相談ください。

健康な歯で、おいしく楽しく毎日を過ごせるよう、日頃の観察とケアが何よりの予防です!

 

東京都世田谷区、等々力、玉川、上野毛、尾山台、自由が丘、田園調布で、歯でお困りの方は、いつでもお気軽にご相談ください。


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けいこくの森動物病院  世田谷犬猫歯科

〒158-0082

東京都世田谷区等々力1-34-18

シュロス等々力1F

TEL:03-3704-1014

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