2025/07/02
こんにちは!
世田谷区等々力にあります、けいこくの森動物病院です🌳
皆さんは、愛犬や愛猫の「歯が折れる」というトラブルを想像したことがありますか?
じつは、特に犬ではおもちゃを強く噛んだり、硬いものをかじることが原因で、歯が欠けたり折れたりする事故が珍しくありません。
特に注意が必要なのが「複雑歯冠破折(ふくざつしかんはせつ)」、別名「開放性歯冠破折」と呼ばれる状態です。
今回は複雑歯冠破折(開放性歯冠破折)についてご紹介します。
複雑歯冠破折とは?
歯の外側が欠ける程度の破折を「単純破折」と言うのに対し、複雑破折では、歯の神経(歯髄)が露出してしまう状態になります。
この神経の露出によって、強い痛みや感染リスクが高まるため、放置はとても危険です。
とくに多いのは、上顎の犬歯や、奥歯(裂肉歯)での破折です。
「なんだか最近、フードを噛みにくそう」「片側でしか噛んでいない」など、些細な変化から気づくこともあります。
原因
複雑歯冠破折の主な原因は以下のようなものです
- 硬すぎるガムや鹿角、蹄などを噛んだ
- ケージや鉄柵などの金属を噛んでいた
- 高所から落下して顔をぶつけた
- 他の動物とのケンカやじゃれ合いで歯をぶつけた
とくに「与えているおもちゃが硬すぎる」ことが原因で、気づかないうちに歯を痛めているケースがよく見られます。
見た目や症状のサインは?
複雑歯冠破折では、以下のような症状が見られることがあります
- 歯の一部が欠けて赤い点(露出した神経)が見える
- 折れた歯の根元が黒ずんでいる
- 食欲が落ちた、食べ方がいつもと違う
- 頬を触るのを嫌がる、顔を触ると怒る
- よだれが増える、口臭がきつくなる
このような場合、痛みを我慢している可能性が高く、できるだけ早く動物病院を受診する必要があります。
放置するとどうなるの?
複雑歯冠破折を放っておくと、神経から細菌が入り込み、歯髄炎(しずいえん)や根尖膿瘍(こんせんのうよう)といった、歯の根の奥で化膿してしまう病気につながります。
さらに、口腔内の感染が進行すると、顎の骨まで炎症が波及することもあります。こうなると、手術が必要になることもあり、動物にも大きな負担となってしまいます。
治療方法は?
治療の選択肢は、状態や歯の部位によって異なります。主に以下のような方法があります
1. 歯内治療(根管治療)
→ 折れた歯を残したい場合に行う治療で、人間の歯の神経治療に似ています。
神経を除去し、内部を洗浄・消毒後、薬を詰めて密閉します。
複数回、麻酔が必要になります。
2. 抜歯
→ 歯の状態が悪く、保存が難しい場合に選択されます。
麻酔下で安全に行うことができます。
いずれにしても、早期発見・早期治療が重要です。痛みが軽いうちに対応できれば、よりよい結果につながります。
予防のポイントは?
複雑歯冠破折を防ぐために、以下の点に気をつけましょう
- 硬すぎるガムやおもちゃ、鹿角などは避ける
(ハサミで切れないものは避けましょう) - 遊ぶときに金属ケージなどを噛ませないよう注意
- 普段から口の中をチェックする習慣をつける
- 歯磨き習慣を取り入れて口腔環境を清潔に保つ
まとめ
歯のトラブルは目に見えづらく、わんちゃん・ねこちゃん本人も痛みを隠すことが多いため、発見が遅れることがあります。
特に神経が露出してしまう「複雑歯冠破折」は緊急性が高く、放置は厳禁です。
「何か様子が変だな?」と思ったときには、ぜひ早めに動物病院にご相談ください。
健康な歯で、おいしく楽しく毎日を過ごせるよう、日頃の観察とケアが何よりの予防です!
東京都世田谷区、等々力、玉川、上野毛、尾山台、自由が丘、田園調布で、歯でお困りの方は、いつでもお気軽にご相談ください。
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けいこくの森動物病院 世田谷犬猫歯科
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