2025/07/04
こんにちは。世田谷区等々力にありますけいこくの森動物病院です🌳
今回は、ワンちゃんやネコちゃんの「まぶたにできものができた」「目のまわりが赤く腫れている」といったときに見られることのある麦粒腫(ばくりゅうしゅ)という病気についてご紹介します。
麦粒腫ってどんな病気?
麦粒腫とは、まぶたの中にある脂や汗を出す腺に細菌感染が起きて腫れてしまう病気です。いわゆる「ものもらい」に近い状態で、人でもよく見られます。
犬や猫の場合、次の2つのタイプがあります:
- 外麦粒腫:まぶたの外側にある腺に細菌が入り、炎症を起こす
- 内麦粒腫:まぶたの内側にある脂腺(マイボーム腺)に細菌が感染し、内側から腫れてくる
いずれも主な原因はブドウ球菌などの皮膚の常在菌による感染です。普段は悪さをしない菌でも、免疫力が落ちていたり、目をこすったりする刺激が加わることで、感染を起こしてしまうことがあります。
麦粒腫の症状
麦粒腫では、以下のような症状が見られます
- まぶたの腫れや赤み(特に一部分がぷっくりふくらむ)
- 痛みやかゆみ(目を気にしてこする仕草)
- 涙の量が増える
- 目やに
- 眼を閉じがち、瞬きが増える
- 結膜(白目の粘膜)の充血やむくみ
炎症が強くなると、膿がたまって自然に破れて出てくることもあります。また、目をこすることで角膜に傷がついてしまうと、さらに痛みや不快感が増してしまいます。
診断方法
麦粒腫は視診や触診によって診断されることが多く、まぶたの腫れ方や位置、触ったときの痛みなどを確認します。
必要に応じて以下のような検査を行うこともあります
- 眼染色検査(角膜に傷がないか)
- 眼圧検査(緑内障などとの鑑別)
- 分泌物の細菌培養・薬剤感受性試験
- 細胞診(まぶたの腫れから採材し顕微鏡で観察)
ただし、痛みが強い場合や嫌がる場合には、無理に行わず治療を優先することもあります。
治療法
麦粒腫の治療は、感染のコントロールと炎症の抑制が中心になります。症状の程度や経過によって治療法を選択します。
抗菌薬による治療
抗菌薬の点眼や内服、痛みが強い場合は痛み止めを使用します。また、抗菌薬とステロイドの合剤の眼軟膏を併用することもあります。
温罨法
患部を温めて血流を良くし、膿を排出しやすくする方法です。飼い主さまにもご自宅で行っていただくことがあります。
38〜40℃の温かいタオルなどをまぶたに当ててやさしくマッサージします。
膿の排出処置
膿がたまって膨らんでいる場合、まぶたに小さく切開して排膿する処置を行うこともあります。点眼麻酔や鎮静下で行い、感染が広がらないようケアします。
再発を防ぐために
麦粒腫は一度治っても再発しやすい病気です。以下のようなケアが予防になります。
- 目をこすらないようにする(エリザベスカラーの着用)
- まぶたや目のまわりを清潔に保つ
- 両目ともケアをする(片目だけでなく対側も要注意)
- 脂っぽい分泌が目立つ場合はまぶたの洗浄
- 体調・代謝の管理(免疫力が低下している場合は改善)
また、マイボーム腺の開口部が閉塞している場合は、麻酔下で開通処置を行うこともあります。
麦粒腫と似た病気との違いは?
麦粒腫と似たような症状を示す病気として、以下のようなものがあります
- 霰粒腫(さんりゅうしゅ):細菌感染を伴わない慢性炎症。腫れはあるが痛みが少ない
- 眼瞼腫瘍:加齢や腫瘍性病変によるもの(良性・悪性の可能性あり)
- アレルギー性結膜炎:かゆみや充血、目やにが主症状
診断には獣医師の評価が必要ですので、気になる場合は早めの受診をおすすめします。
当院での対応
けいこくの森動物病院では、麦粒腫を含む眼瞼・角結膜疾患の診断と治療に対応しています。点眼のコツやエリザベスカラーの選び方など、ご家庭でのケアも丁寧にサポートいたします。
再発が多い病気ですので、一度よくなっても「またできた?」というときは、我慢させずにすぐにご相談くださいね。
東京都世田谷区、等々力、玉川、上野毛、尾山台、自由が丘、田園調布で、目やまぶたのトラブルでお困りの方は、いつでもお気軽にご相談ください。
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けいこくの森動物病院 世田谷犬猫歯科
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