愛犬愛猫に起こる自己免疫の怖い病気!?「免疫介在性溶血性貧血」って何?

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こんにちは!

世田谷区等々力にあります、けいこくの森動物病院です🌳

近年、犬や猫の病気の中でも命に関わる疾患として注目されている「免疫介在性溶血性貧血(IMHA)

この病気は、体の免疫が自分の赤血球を攻撃して壊してしまうという、非常に深刻な自己免疫疾患です。早期発見と治療が何よりも重要となります。

本記事では、「IMHAってなに?」「どんな症状?」「うちの子は大丈夫?」といった疑問をお持ちの飼い主さまのために、分かりやすく解説したいと思います!

 

免疫介在性溶血性貧血(IMHA)とは?

免疫介在性溶血性貧血(Immune-Mediated Hemolytic Anemia:IMHA)とは、本来ならウイルスや細菌を攻撃するはずの免疫が、自分の赤血球を「異物」とみなして破壊してしまう病気です。

この「赤血球の破壊」が進むと、酸素を全身に運ぶ力が落ち、貧血状態となり、さまざまな症状が現れます。

中等度〜重度の場合は、短期間で命に関わるケースもあり、緊急性の高い疾患です。

 IMHAの症状:こんなサインは要注意

IMHAは進行が早く、急激に症状が現れることが多いです。主な症状は以下の通りです。

元気がない・ぐったりしている

食欲不振

歯ぐきや舌が白っぽい(貧血)

呼吸が浅く、早くなる(酸素不足)

黄疸(白目や皮膚が黄色っぽくなる)

尿の色が濃い・赤茶色い(血色素尿)

発熱

こうした症状がある場合は、一刻も早く動物病院を受診することが重要です。時間が経つと、赤血球の破壊が進み、命に関わります。

 IMHAの原因は?(原発性と続発性)

IMHAには、大きく分けて「原発性(自己免疫性)」「続発性(他の病気に伴うもの)」の2つのタイプがあります。

明確な原因というものははっきりとはわかっていないのが現状です。

原発性(特発性)

体の免疫機構が、原因不明のまま自分の赤血球を攻撃してしまうタイプ。

続発性

他の病気や外的要因により、免疫が異常をきたして赤血球を攻撃するタイプ。

▼原因となることがあるもの

感染症(バベシア・マイコプラズマなど)

ワクチン接種後(まれ)

腫瘍

薬剤反応

慢性炎症性疾患

原因の特定は治療方針に大きく関わるため、診断には慎重な検査が必要です。

診断方法

IMHAは貧血の原因が「免疫によるもの」であることを確認することが鍵です。

当院では以下のような検査が行われることがあります。

血液検査

重度の貧血(赤血球・ヘモグロビン・ヘマトクリットの低下)

赤血球破壊の兆候(球状赤血球の増加)

黄疸(ビリルビンの上昇)

画像検査(X線・エコー)

腫瘍の有無、脾臓や肝臓の状態確認

PCR検査や抗体検査

感染症の有無(バベシア、ヘモトロピック・マイコプラズマなど)

正確な診断には、複数の検査結果を総合的に判断する必要があります。

IMHAの治療法

治療の基本は「免疫の攻撃を止める」+「血栓をできないようにする(血を固まらないようにする)」という2本柱です。

免疫抑制療法(ステロイド治療)

プレドニゾロンなどの副腎皮質ステロイドを用い、免疫の異常な働きを抑えます。

効果が乏しい場合は、他の免疫抑制剤を併用することもあります。

支持療法

輸血(貧血が重度の場合)

点滴による水分・電解質補正

抗酸化剤や胃腸薬、肝機能サポート薬など

予後と再発について

IMHAは初期の重症度が高く、死亡率も高い病気です。

早期に治療を始められた場合は改善することもありますが、完全に治癒しても再発のリスクは常に残ります。

特に、治療初期の2〜3週間が非常に重要な時期です。

輸血が必要になることも多く、集中治療が求められます。

まとめ:命を守るには、早期の気づきと受診がカギ

免疫介在性溶血性貧血(IMHA)は、犬・猫にとって非常に危険な病気でありながら、初期症状は「なんとなく元気がない」といった軽いものに見えることもあります。

「最近、うちの子の様子が変だな」「歯ぐきが白いかも」「呼吸が早い」など、少しでも異変を感じたら、早めにご来院ください。

 

東京都世田谷区、等々力、玉川、上野毛、尾山台、自由が丘、田園調布で、歯でお困りの方は、いつでもお気軽にご相談ください。

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けいこくの森動物病院  世田谷犬猫歯科

〒158-0082

東京都世田谷区等々力1-34-18

シュロス等々力1F

TEL:03-3704-1014

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