2025/07/14
こんにちは!世田谷区等々力のけいこくの森動物病院です。
今回は、歯周病の中で歯肉炎よりもさらに進行した状態である「歯周炎」について解説します。歯周炎は、人間だけでなく犬や猫にも非常に多く見られる病気で、放っておくと歯が抜けてしまったり、顎の骨が溶けてしまうこともある怖い状態です。
この記事では、犬と猫の歯周炎について、原因・症状・治療・予防法まで分かりやすく解説します。
歯周炎とは?
歯周炎とは、文字通り歯の周囲の組織(歯肉・歯根膜・歯槽骨)に炎症が起こる病気です。
歯周病には「歯肉炎」と「歯周炎」が含まれ、初期の「歯肉炎」は歯ぐきだけの炎症ですが、これが進行すると歯を支える骨にまで炎症が及び、歯がぐらついたり抜けてしまうまでに至ります。その状態が「歯周炎」です。
犬や猫ではとても多い病気
歯周病は、3歳以上の犬や猫の約80%以上が罹患しているといわれており、非常にありふれた病気です。特に小型犬、猫の高齢個体で多く見られます。
原因は「歯垢」と「歯石」
炎症の主な原因は歯垢(プラーク)です。歯の表面に付着する細菌の塊で、わずか数日で歯石へと変化します。歯石になると歯ブラシでは取り除くことが難しく、さらなる思考の足場となります。ここまでくると動物病院での処置が必要になります。
また、歯垢に含まれる細菌が歯肉の中へと侵入し、深部まで炎症を引き起こすことで歯周炎が進行します。
歯周炎の症状
犬や猫は人間のように「歯が痛い」と言えないため、飼い主さんが気づいたときにはすでに進行しているケースも珍しくありません。以下のような症状が見られたら要注意です。
初期症状(歯肉炎の段階):
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口臭がきつくなる
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歯ぐきが赤い
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歯に黄ばみや歯石がついている
進行した症状(歯周炎):
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よだれが増える
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食べるときに痛がる、食欲が落ちる
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片側の歯でしか噛まない
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顔が腫れる、膿が出る
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歯がぐらぐらして抜け落ちる
猫の場合の注意点
猫は口の中のトラブルを隠す傾向が強いため、食欲不振や元気消失のみが症状として出ることがあります。よく観察して、ささいな変化に気づくことが大切です。
歯周炎が及ぼす全身への影響
歯周炎の怖いところは、口の中だけにとどまらず全身に悪影響を与える可能性がある点です。
歯周ポケットに繁殖した細菌が血管を通じて全身に回ると、以下のような病気を引き起こすことがあります。
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心内膜炎(心臓の炎症)
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腎炎(腎臓の機能低下)
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肝炎
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糖尿病の悪化
特に高齢の犬猫では、こうした合併症が命に関わることもあるため、歯周病の予防・早期治療は非常に重要です。
歯周炎の治療法
歯周炎が進行している場合、自宅でのケアだけでは改善できません。動物病院での専門的な治療が必要になります。
スケーリング(歯石除去)
超音波スケーラーを使って、歯の表面および歯周ポケット内の歯石を除去します。基本的には全身麻酔下で行われます。軽度であればこれだけで改善が見られることもあります。
歯周外科手術
通常のスケーリングでは取りきれない歯垢や感染性組織が残る場合、歯肉をメスで開いて深い部分まで治療することがあります。複数回の麻酔が必要になりますが、歯を抜かずに残せる場合があります。
抜歯
重度の歯周炎で歯の温存が難しいと判断されたり、何らかの理由で複数回の麻酔がかけられない場合には抜歯を選択します。
歯周炎の予防法
歯周炎は進行する前の予防が最も大切です。日頃からのお口のケアによって、発症や進行を防ぐことができます。
1. 歯みがき
もっとも効果的なのは毎日の歯みがきです。最初は指にガーゼを巻いて口に触る練習から始め、少しずつブラシに慣らしていきましょう。
2. 定期的な歯科検診
歯周病は進行するまで気づきにくい病気です。見た目ではわかりづらいことも多く、半年〜1年に1回は動物病院で歯科検診を受けるようにしましょう。
まとめ:愛犬・愛猫の健やかな生活のために
歯周炎は、犬や猫にとって決して見逃してはいけない病気です。口臭や歯石は、単なる「老化現象」ではなく、進行性の疾患のサインかもしれません。
当院では、犬や猫の歯科診療に力を入れており、手術や予防ケアの指導まで幅広く対応しています。
「口が臭う」「歯石が気になる」「最近ごはんを食べづらそう」など、気になることがあればお気軽にご相談ください。
お口の健康は、全身の健康に直結しています。
東京都世田谷区、等々力、玉川、上野毛、尾山台、自由が丘、田園調布で、歯でお困りの方は、いつでもお気軽にご相談ください。
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けいこくの森動物病院 世田谷犬猫歯科
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