2025/09/27
こんにちは!世田谷区等々力にありますけいこくの森動物病院です🌳
犬で見られる病気のひとつに「門脈シャント(門脈体循環シャント)」という肝臓の血管の異常があります。聞きなれない病名かもしれませんが、小型犬や大型犬の一部の犬種で見られ、若い時期に発見されることの多い病気です。今回は、この門脈シャントについて、症状や検査、治療方法をわかりやすくご紹介します。
門脈シャントとは?
私たちが食べたものは腸で消化・吸収されたあと、まず「門脈」という血管を通って肝臓に運ばれます。肝臓は体にとって有害な物質を分解し、必要な栄養を整えてから全身へ送り出す、とても重要な役割をしています。
しかし門脈シャントでは、本来肝臓を通るはずの血液が「ショートカット」して心臓に戻ってしまいます。その結果、アンモニアなどの毒素が分解されずに体に回ってしまい、さまざまな不調を引き起こすのです。
好発犬種と発症年齢
門脈シャントは先天的に血管の構造が異常な場合(先天性)が多く、特に以下の犬種でよく見られます。
- ヨークシャーテリア
- マルチーズ
- トイ・プードル
- パピヨン
- ミニチュア・シュナウザー
また、大型犬ではラブラドールやゴールデン・レトリーバーなどに肝内シャントが多いと報告されています。
多くは1歳未満の若い時期に症状が現れますが、軽度の場合は成犬になってから気づかれることもあります。
門脈シャントの症状
門脈シャントの症状は、体のさまざまな部分に現れます。
- 神経症状:ふらつき、発作、元気がない
- 消化器症状:嘔吐、下痢、よだれが多い、食欲不振
- 成長不良:同じ犬種・月齢の子より体が小さい、痩せている
「なんとなく元気がない」「発育が遅い」といった小さなサインから見つかることも多いため、早めに受診することが大切です。
診断のための検査
門脈シャントが疑われるときには、以下のような検査を行います。
- 血液検査
- 肝臓の数値
- アルブミンやコレステロール
- アンモニアや胆汁酸
- 画像検査
- 超音波検査
- CT検査
これらを組み合わせることで、確定診断を行います。
治療方法
治療には大きく分けて 外科手術 と 内科療法 があります。
外科手術
先天性の門脈シャントでは、手術で異常な血管を結紮し、血液が再び肝臓を通るようにするのが第一選択です。
内科療法
- 手術前に症状を落ち着かせるため
- 高齢や合併症などで手術ができない場合
に行われます。
内容としては、
- 食事療法
- ラクツロース(腸内でアンモニアを減らす薬)
- 抗菌薬(腸内細菌を調整する薬)
などが中心です。
内科療法だけでは根本的な解決は難しいですが、症状を和らげることができます。
予後と注意点
先天性の門脈シャントは、手術で改善する可能性が高い病気です。ただし、手術後に神経症状が出ることもあるため、術前・術後の管理がとても大切です。
一方、後天的に起こる門脈シャントは、主に慢性肝炎や門脈圧亢進症が原因であり、この場合は手術ではなく内科療法での管理が中心となります。
まとめ
門脈シャントは「若いのに元気がない」「体が小さい」「よく吐く」など、ささいな症状から見つかることの多い病気です。特に小型犬を飼っている飼い主さんは注意が必要です。
気になる症状があれば、早めに動物病院で検査を受けることが、わんちゃんの健康寿命を守る第一歩となります。
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