愛犬の体に痣が沢山ある!?愛犬に起こる病気「免疫介在性血小板減少症(IMT)」とは?

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こんにちは!

けいこくの森動物病院です🌳

愛犬の体にあざのような斑点が出たり、鼻血が止まらないなどの症状がもし出たら、飼い主さんとしてはとても心配になると思います。

これらの症状の背後には、免疫介在性血小板減少症(IMT) という病気が隠れていることがあります。

今回は犬に多く見られるこの疾患について、飼い主さんに知っておいてほしいポイントをまとめました。

いち早くこの病気に気づくためにも、しっかりと病気について知っていきましょう!

 

免疫介在性血小板減少症(IMT)とは?

IMTは、犬に起こる 自己免疫疾患のひとつ です。

血小板という血を固める働きをする細胞が、体の免疫システムによって攻撃・破壊されてしまい、血小板が減少してしまいます。

血小板が不足すると血が止まりにくくなり、出血しやすい状態になります。

IMTには大きく分けて2つのタイプがあります。

原発性IMT

→ 他に病気がないのに、免疫が自分の血小板を攻撃してしまうタイプ。

二次性IMT

→ 感染症や腫瘍、薬剤など、他の病気や要因がきっかけで免疫異常が起き、血小板が壊されるタイプ。

犬では、原発性IMTが比較的多いとされています。

どんな症状が出るの?

IMTの症状は「出血」に関わるものが中心です。軽い段階では気づきにくいこともあります。代表的な症状は以下のとおりです。

また、血小板だけでなく赤血球の破壊を行ってしまう病気を併発することもあり、その場合は貧血の症状も見られるようになるため、その症状にも気を付ける必要があります。

  • 皮膚や粘膜に現れる小さな出血斑(点状出血)や青あざのような紫斑
  • 鼻血、血尿、血便
  • 口の中や歯茎からの出血
  • 便が黒っぽくなる
  • 元気がない、貧血によるふらつき

また、定期検診などで 無症状のまま血液検査で発見されるケース も珍しくありません。

どうやって診断するの?

IMTの診断は簡単ではなく、他の原因による血小板減少をひとつひとつ除外していく作業が必要です。

動物病院では以下のような検査が行われます。

  • 身体検査(皮膚や粘膜の出血斑の確認など)
  • 血液検査(血小板数の確認、貧血の有無など)
  • 尿検査・便検査
  • X線や超音波検査で内臓の状態を確認
  • 必要に応じて骨髄検査(血小板が作られているかを確認)

血小板が減っている=すぐにIMT」というわけではなく、感染症や腫瘍、薬剤の影響なども慎重に調べることが重要です。

治療の方法

治療の基本は 免疫抑制療法 です。免疫の働きを抑えることで、血小板が壊されるのを防ぎます。

1. 薬による治療

  • 副腎皮質ステロイド
    最初に使われるお薬です。多くの犬で1週間ほどで効果が現れ、血小板数が回復してきます。
  • 免疫抑制薬の追加
    ステロイドだけで十分な効果が得られない場合や、副作用が問題になる場合には、併用されます
  • ヒト免疫グロブリン(hIVIG)
    こちらもステロイドと併用して使用されることがあります。

薬の効果が出てきたら、少しずつ量を減らし、最小限の投薬でコントロールしていきます。治療には数か月以上かかることもあります。

2. 支持療法

  • 出血リスクを減らすため安静に過ごす(ケージレストなど)
  • 消化管からの出血を防ぐために胃薬や粘膜保護剤を使用
  • 貧血が重い場合は輸血を行うこともあります

予後はどうなの?

IMTはしっかり治療すれば 70〜90%の犬で回復が期待できる病気 です。

ただし、再発する可能性が約30%ほどあるため、治療後も定期的な検査と経過観察が必要です。

初期に重度の出血が起こってしまうと命に関わることもありますが、早期発見と適切な治療によって、長く元気に過ごしている犬も多くいます。

飼い主さんにできること

  • 皮膚に点状出血やあざのような跡が出ていないか観察する
  • 鼻血、血尿、黒い便などが出たらすぐに動物病院へ
  • 定期的に健康診断を受けて血液検査を行う
  • 治療中は安静を心がけ、激しい運動や外傷に注意する

IMTは見た目の変化が小さいうちに進行していることもあります。普段のちょっとした違和感を見逃さないことが、早期発見・早期治療につながります。

まとめ

犬の免疫介在性血小板減少症(IMT)は、免疫が自分の血小板を攻撃してしまう病気です。

  • 出血斑や鼻血、血尿、黒い便などが主なサイン
  • 診断には様々な検査で他の病気を除外することが重要
  • 治療の基本は免疫抑制薬(ステロイドなど)+支持療法
  • 予後は良好な場合も多いが、再発には注意が必要

「おかしいな?」と思ったら、早めに動物病院で相談してください。

早期の発見と治療が、愛犬の命を守る第一歩になります。

 

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