長期的な嘔吐・食欲不振…もしかして幽門狭窄が隠れているかも!?

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こんにちは!世田谷区等々力にあります、けいこくの森動物病院です🌳

 

幽門狭窄(ゆうもんきょうさく)とは?

吐き戻しが続くときに考えたい病気

愛犬・愛猫が食後によく吐いてしまう食欲はあるのに体重が減ってきた…。そんなとき、「幽門狭窄(ゆうもんきょうさく)」という病気が関係している場合があります。

今回は、そんな幽門狭窄について、原因・症状・診断・治療法などをご紹介します。

 

 

 

幽門とは?

胃は食べたものを一時的にため、胃酸や酵素で消化する臓器です。

その出口にあたる部分を「幽門(ゆうもん)」と呼び、ここから十二指腸へ内容物が送り出されます。

幽門は筋肉の輪でできた“弁”のような構造をしており、消化が不十分な食べ物が腸へ流れないように調整しています。

 

 

幽門狭窄とは

幽門狭窄」とは、この幽門部分が何らかの原因で狭くなり、食べ物が通りにくくなる状態を指します。

胃で消化された内容物が十二指腸へうまく流れず、胃に滞留することで吐き戻し食欲不振が起こるのが特徴です。

犬では比較的よく見られ、猫ではまれな疾患です。

とくに小型犬や高齢犬でみられるケースが多く、慢性的な嘔吐の原因として注意が必要です。

 

 

主な原因

幽門狭窄には、大きく分けて「先天性(生まれつき)」と「後天性(あとから起こる)」の2つのタイプがあります。

先天性幽門狭窄

生まれつき幽門部の筋肉が厚く出口が狭くなっているタイプです。

子犬のころから食後の吐き戻しを繰り返すことが多く、成長しても改善しません。

特に短頭種の若齢犬などで報告が多い傾向があります。

後天性幽門狭窄

小型犬で多くみられるタイプです。原因としては以下のようなものがあります。

  • 慢性胃炎長期間の胃の炎症で幽門部の粘膜が肥厚し、出口が狭くなる。
  • 潰瘍や瘢痕(はんこん)形成:胃潰瘍が治る過程で瘢痕化し、幽門部が硬くなってしまう
  • 腫瘍:胃や幽門部に発生した腫瘍(特に腺癌など)が物理的に狭める
  • 異物:おもちゃや骨片などが幽門に詰まり、一時的に通過障害を起こす

これらの原因によって幽門部が慢性的に狭くなり、食べ物の通過が妨げられます。

 

 

主な症状

幽門狭窄では、食後数時間してからの嘔吐が典型的です。

以下のような症状が見られたら注意が必要です。

  • 食後しばらくしてから吐く(特に消化中・未消化の内容物
  • 吐いたものに胆汁が混じる
  • 食欲はあるのに体重が減る
  • 慢性的なげっぷよだれ腹部の不快感
  • 元気消失脱水

食べた直後ではなく、時間がたってから吐くのが特徴となり、胃の中に食べ物が停滞しているサインです。

 

 

診断方法

必要に応じて以下のような検査を組み合わせて診断を行います。

X線検査(レントゲン)

造影剤を飲ませて胃の動きを観察します。

幽門が狭い場合、造影剤が長時間胃内に残り、十二指腸へ流れにくい様子が確認されます。

超音波検査(エコー)

胃の出口部分の筋肉が厚くなっていないか腫瘍潰瘍の有無を確認します。

腫瘍や炎症性の肥厚を区別するのにも有用です。

内視鏡検査

胃カメラを使って幽門の内部を直接観察します。

粘膜の状態潰瘍の有無を評価でき、生検(組織採取)も可能です。

血液検査

嘔吐による脱水電解質異常炎症反応の有無などを確認します。

 

 

治療方法

原因や重症度によって治療法は異なりますが、「内科的治療」と「外科的治療」に分けられます。

内科的治療

軽度の幽門狭窄一時的な炎症が原因の場合に行われます。

  • 胃酸分泌抑制薬
  • 胃粘膜保護剤
  • 胃の動きを促す薬
  • 消化の良い食事への変更

ただし、構造的な狭窄がある場合は薬だけでの改善は難しく、多くは外科的治療が必要です。

外科的治療

狭くなった幽門を外科的に広げる方法です。代表的な手術法には以下があります。

  • 幽門筋切開術:筋肉を縦に切って広げる方法。
  • 幽門形成術:幽門部を切開して再縫合し、出口を拡張する方法。

手術によって通過障害が解消されると、嘔吐が劇的に改善することが多く、予後は良好です。

 

 

予後と日常のケア

治療後の予後は、原因や治療内容によって異なります。

先天性の場合は手術で改善が期待できますが、後天性の場合は腫瘍慢性炎症の程度によって経過が変わります

再発を防ぐためには、

  • 胃に負担をかけない消化の良い食事を続ける
  • 食事を一度に与えすぎない(少量多回にする)
  • 嘔吐食欲不振が再発した場合は早めに受診する

といった日常ケアが大切です。

 

 

まとめ

幽門狭窄は、慢性的な嘔吐の原因として見逃されやすい病気です。

内科治療で改善する場合もありますが、根本的な治療には外科的処置が必要なこともあります。

食後によく吐くけれど、元気はあるから様子を見ている」というケースでも、実は幽門の通過障害が潜んでいることがあります。

繰り返す嘔吐体重減少など気になる症状が見られるときは、早めにご相談ください。

 

 

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