血液検査でリンが高い…高リン血症について

こんにちは!世田谷区等々力にありますけいこくの森動物病院です🌳

健康診断や血液検査で「リンが高いですね」と言われたことはありませんか?

リンは体にとって欠かせないミネラルですが、過剰になると体に悪影響を与えることがあります。

今回は、犬でよく見られる「高リン血症」について、原因や治療、気をつけることをわかりやすくお話しします。

 

 リンってどんな役割があるの?

リンはカルシウムと密接な関係を持つ栄養素で、骨や歯の形成に欠かせません。

また、エネルギー代謝や細胞膜の構成にも関わっています。

食事から摂取されたリンは腸で吸収され、腎臓から排泄されます。

つまり「腎臓の働き」がリンのバランスを保つうえでとても重要なのです。

 

高リン血症ってどうして起こるの?

リンの値が高くなる(=高リン血症)原因は大きく3つに分けられます。

腎臓からの排泄が減る

最も多い原因です。慢性腎臓病や急性腎障害で、リンをうまく体の外に出せなくなります。

特に慢性腎臓病では、ステージ3以降でリンが上がり始めることが多いです。

細胞が壊れてリンが血液中に放出される

腫瘍、溶血、筋肉の損傷(横紋筋融解)などで起こります。

 

腸からの吸収が増える

高リン食や、ビタミンDの過剰摂取などが原因になります。

 

高リン血症でどんな症状が出るの?

実は、リンが高くても多くの犬では明らかな症状が出ません。ただし、放っておくと「二次性副甲状腺機能亢進症(にじせいふくこうじょうせんきのうこうしんしょう)」という病気を引き起こし、骨がもろくなったり、血管や臓器にカルシウムが沈着する危険があります。

また、慢性腎臓病の犬ではリンが高いほど病気の進行が早く、寿命が短くなることもわかっています。

 

治療の考え方

原因を治す

まずはリンが上がっている原因を見極めることが大切です。

急性腎障害などの場合は、腎臓の回復を最優先に治療を行います。

慢性腎臓病に伴う高リン血症

慢性腎臓病では、ステージ3以降でリン値が上がることが多く、この段階からは積極的にリンを下げる治療が必要です。

食事療法が基本です

治療の中心は「リン制限食」です。

腎臓病用の療法食では、リンの含有量が通常食の1/3ほどに調整されています。この食事に切り替えるだけでも、多くの犬でリン値が安定します。ただし、食欲が落ちて十分に食べられないと効果が出にくいので、「食べやすくおいしい療法食」を選ぶことも大切です。

食事で下がらない場合はリン吸着剤を

療法食を使ってもリンが下がらない場合は、「リン吸着剤」を併用します。これは食事中のリンを腸で吸着し、便と一緒に体の外へ出すお薬です。食事と一緒に与えることで効果を発揮します。

🔍 注意点

  • 制酸薬(胃薬)を併用していると、効果が下がることがあります。
  • 食事をほとんど食べない犬には、吸着剤を与えても意味がありません。
  • 脱水があると腎臓のろ過能力が落ちてリンが上がるため、水分補給も大切です。

 

予後と今後のケア

慢性腎臓病では、高リン血症の管理が予後を左右する重要なポイントになります。

リン値をうまくコントロールできれば、腎臓の負担を減らし、生活の質を長く保つことができます。

「リンが少し高い」と言われたときは、早めに食事内容や水分摂取を見直すのがおすすめです。

定期的な血液検査でリンやカルシウムのバランスをチェックしていきましょう。

 

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