2025/11/10
こんにちは!世田谷区等々力にあります、けいこくの森動物病院です🌳
【犬の股関節形成不全(股異形成)】とは?
愛犬が「最近散歩を嫌がる」「後ろ足がふらつく」などの変化がある場合、股関節形成不全(股異形成)が隠れている可能性があるかもしれません。
この疾患は犬に多く発生する整形疾患の一つで、進行すると慢性疼痛や関節炎を引き起こし、生活の質に大きく影響します。
成長期介入が有効なため、正しい知識と早期対応が非常に重要です。今回はそんな股関節形成不全(股異形成)についてご紹介します!

股関節形成不全とは
股関節形成不全は、骨盤側の寛骨臼と大腿骨頭の適合性が不十分な状態を指します。
この“ゆるみ”が関節内部の異常摩擦を生み、軟骨摩耗と関節炎へと進行します。幼若期に形成される疾患で、進行性であることが大きな特徴です。
発症は生後4ヶ月齢頃からみられ、進行すると疼痛、跛行、筋萎縮などを伴います。ただ適切な時期に適切な介入を行うことで、予後は大きく改善します。
発生に関わる因子
遺伝学的要因
最も強い発症リスク。海外では繁殖登録の段階で評価制度が導入されているそうです。
栄養・成長速度
子犬期の過栄養は急速な成長を促し、関節形成に悪影響。特に大型犬種の子犬では、適切な成長過程の管理が重要です。
運動環境
成長期の激しいジャンプ、滑る床は負荷増大につながります。
体重
肥満は進行悪化因子の筆頭。疼痛・炎症を増強します。
症状と経過
初期(〜1歳)
- 後肢のふらつき
- 立ち上がりに時間がかかる
- うさぎ跳びのような走り方
中期(1〜3歳)
- 散歩拒否
- 階段を嫌がる
- 長時間の運動で跛行悪化
進行期(3歳〜)
- 筋肉萎縮
- 関節可動域制限
- 慢性疼痛
進行性であるため、“様子を見る”は悪化要因となります。
診断方法
整形学的触診
触診によって、股関節のゆるみを評価します。
X線検査(レントゲン)
角度・適合性・炎症の程度を視覚化。診断の中心となります。
治療方法
症状・年齢・進行度によって治療方法は異なります。
内科療法(保存療法)
軽~中度に適応。痛み緩和と進行抑制を目的とします。
- 体重管理(最重要)
- 痛み止めの処方
- リハビリ療法
- 関節保護サプリメント など
特に体重管理の効果は科学的に確立しており、痛み改善への影響は非常に大きいです。
外科治療
重度・若齢症例で検討されます。
〇代表術式
■ 若齢犬恥骨結合癒合法
■ 大腿骨頭骨頸部切除術
■ 股関節全置換手術
■ 三点骨盤切り術
などが挙げられます。
飼い主様ができる自宅ケア
- 適正体重維持(食事管理)
- 滑り止めマットの設置
- 無理な階段昇降の制限
- 散歩は短く複数回
- 関節冷え防止
生活環境の改善は治療効果を底上げすることが期待されます。
予防と早期発見
完全な予防は困難ですが、リスク低減は可能です。
- 大型犬子犬のカロリー管理
- 床材改善(滑り止め)
- 過度なジャンプ運動の制限
- 早期のレントゲンチェック
特に生後4〜12ヶ月の管理が重要です。
こんな症状があれば要相談
- 散歩を嫌がる
- 後ろ足が開き気味で座る
- よく転ぶ
- ピョンピョン跳ねる走り方
- 立ち上がりが遅い
一つでも当てはまれば何らかの異常が起こっているサインかもしれません。
まとめ
- 股関節形成不全は進行性整形疾患
- 遺伝要因が重要、環境因子も関与
- 早期診断で治療選択肢が拡大
- 体重管理が最大の治療効果を持つ
- 外科療法で大幅なQOL改善が見込める
- 自宅環境改善が痛み緩和に寄与
愛犬の小さなサインを見逃さず、早期の受診が将来の生活の質を守ります。
当院では当院では月に1回、整形外科の先生をお呼びしての専門診察も行っております。気になる症状があればお気軽にご相談ください!
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