子犬の発育不良や神経症状の原因に?門脈シャントを知っておきましょう

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こんにちは!世田谷区等々力にありますけいこくの森動物病院です🌳

犬で見られる病気のひとつに「門脈シャント(門脈体循環シャント)」という肝臓の血管の異常があります。聞きなれない病名かもしれませんが、小型犬や大型犬の一部の犬種で見られ、若い時期に発見されることの多い病気です。今回は、この門脈シャントについて、症状や検査、治療方法をわかりやすくご紹介します。

 

門脈シャントとは?

私たちが食べたものは腸で消化・吸収されたあと、まず「門脈」という血管を通って肝臓に運ばれます。肝臓は体にとって有害な物質を分解し、必要な栄養を整えてから全身へ送り出す、とても重要な役割をしています。

しかし門脈シャントでは、本来肝臓を通るはずの血液が「ショートカット」して心臓に戻ってしまいます。その結果、アンモニアなどの毒素が分解されずに体に回ってしまい、さまざまな不調を引き起こすのです。

 

好発犬種と発症年齢

門脈シャントは先天的に血管の構造が異常な場合(先天性)が多く、特に以下の犬種でよく見られます。

  • ヨークシャーテリア
  • マルチーズ
  • トイ・プードル
  • パピヨン
  • ミニチュア・シュナウザー

また、大型犬ではラブラドールやゴールデン・レトリーバーなどに肝内シャントが多いと報告されています。

多くは1歳未満の若い時期に症状が現れますが、軽度の場合は成犬になってから気づかれることもあります。

 

門脈シャントの症状

門脈シャントの症状は、体のさまざまな部分に現れます。

  • 神経症状:ふらつき、発作、元気がない
  • 消化器症状:嘔吐、下痢、よだれが多い、食欲不振
  • 成長不良:同じ犬種・月齢の子より体が小さい、痩せている

「なんとなく元気がない」「発育が遅い」といった小さなサインから見つかることも多いため、早めに受診することが大切です。

 

診断のための検査

門脈シャントが疑われるときには、以下のような検査を行います。

  1. 血液検査
    • 肝臓の数値
    • アルブミンやコレステロール
    • アンモニアや胆汁酸
  2. 画像検査
    • 超音波検査
    • CT検査

これらを組み合わせることで、確定診断を行います。

 

治療方法

治療には大きく分けて 外科手術 と 内科療法 があります。

外科手術

先天性の門脈シャントでは、手術で異常な血管を結紮し、血液が再び肝臓を通るようにするのが第一選択です。

内科療法

  • 手術前に症状を落ち着かせるため
  • 高齢や合併症などで手術ができない場合

に行われます。

内容としては、

  • 食事療法
  • ラクツロース(腸内でアンモニアを減らす薬)
  • 抗菌薬(腸内細菌を調整する薬)
    などが中心です。

内科療法だけでは根本的な解決は難しいですが、症状を和らげることができます。

 

予後と注意点

先天性の門脈シャントは、手術で改善する可能性が高い病気です。ただし、手術後に神経症状が出ることもあるため、術前・術後の管理がとても大切です。

一方、後天的に起こる門脈シャントは、主に慢性肝炎や門脈圧亢進症が原因であり、この場合は手術ではなく内科療法での管理が中心となります。

 

まとめ

門脈シャントは「若いのに元気がない」「体が小さい」「よく吐く」など、ささいな症状から見つかることの多い病気です。特に小型犬を飼っている飼い主さんは注意が必要です。

気になる症状があれば、早めに動物病院で検査を受けることが、わんちゃんの健康寿命を守る第一歩となります。

 

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