後ろ足のよろけや転びやすさは要注意。犬の変形性脊髄症の初期症状とは

 

こんにちは!世田谷区等々力にありますけいこくの森動物病院です🌳

今回は、ウェルシュ・コーギー・ペンブロークに多いことで知られている変性性脊髄症(DM)について、わかりやすくお話しします。

 

 

変形性脊髄症とは?

犬の変形性脊髄症は、脊髄の神経がゆっくり弱っていく進行性の病気です。

この病気は、脊髄の白質が少しずつ傷んでいくことで、後ろ足のふらつきから始まり、時間をかけて前肢、そして呼吸にまで影響していきます。残念ながら、現在の獣医療では根本的に治す方法はありませんが、進行には数年かかるため、適切なケアで生活の質(QOL)を大きく保つことができます。

この病気の背景には「SOD1」という遺伝子の変異が関係していると考えられています。ただし、この遺伝子を持っていても必ず発症するわけではなく、発症する仕組みはまだ完全には分かっていません。

 

変形性脊髄症のポイント

・痛みは出ない

・ゆっくり進行する(平均3年ほど)

・後ろ足から前へと麻痺が進む

・最終的には呼吸筋が弱り、呼吸が難しくなる

・意識や性格が変わる病気ではない

 

診断について

生前に完全に確定する方法はなく、以下を組み合わせて判断します。

犬種・年齢・症状の特徴

コーギー、高齢、後ろ足のふらつき。

遺伝子検査(SOD1)

変異型ホモ接合体であれば可能性が高い(無症状で持っている子もいます)。

似た症状の病気を除外する

椎間板ヘルニア、脊髄腫瘍などをMRI・CT・脳脊髄液検査で除外。

※似た病気を併発する例もあるため注意が必要です。

 

ステージごとの症状とおうちでのケア

進行スピードには個体差がありますが、一般的には以下のように変化します。

ステージ1(後ろ足のふらつき~軽い麻痺/6~12カ月ほど)

・後ろ足の爪を引きずる

・ふらつく、転びやすい

・足が交差する

【おうちでできるケア】

・散歩などで運動量をキープ(筋力の維持が超大事)

・肉球や爪の擦れ防止に靴下などを使用

・早めの車いす導入もおすすめ(2輪→4輪へ移行できるタイプが理想)

ステージ2(後ろ足の完全麻痺/発症後9~18カ月)

・後ろ足で立てない

・尿失禁が増える

・引きずるため擦り傷や床ずれが出やすい

【ケアのポイント】

・車いすで歩行補助

・弾力のあるマットで床ずれ予防

・おむつ管理とこまめな清拭

・必要に応じて圧迫排尿の練習

・膀胱炎が起きやすいため注意

ステージ3(後ろ足は完全麻痺、前肢も弱ってくる/発症後14~24カ月)

・前足のつまずき

・起立が難しくなる

・呼吸が浅くなる(胸郭の動きが弱る)

・声がかすれる

【ケアのポイント】

・四輪タイプの車いすで前肢の負担を軽減

・体位変換をこまめにして床ずれ予防

・腹式呼吸の子には、お腹を押しすぎないよう排尿補助に注意

・排泄ケアを継続

ステージ4(四肢が動かず横になる生活/発症後2年以降)

・頭や首も支えにくい

・飲み込みが難しくなる

・呼吸が大きく弱る

・床ずれのリスクが非常に高い

【ケアのポイント】

・酸素濃縮器や酸素ボンベの検討

・温度管理

・シリンジでの給水補助、少量頻回の食事

・体位変換を頻繁に行う

 

治療について

残念ながら、現在のところ変形性脊髄症を治す薬はありません。

・痛み止め

・抗酸化サプリなど

・理学療法

→ 歩ける期間を延ばすことが期待でき、QOL維持にとても有用

変形性脊髄症は長くつきあう病気なので、早期にケアを始めることが、その子らしい生活を守る一番の力になります。

 

予後について

平均すると発症から約3年ほどで呼吸筋の麻痺により最終期を迎えます。

ただし、その間ずっと苦しいわけではなく、適切なケアで生活の質をしっかり守ってあげることができます。

 

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