2025/11/10
こんにちは!世田谷区等々力にありますけいこくの森動物病院です🌳
今回は、ウェルシュ・コーギー・ペンブロークに多いことで知られている変性性脊髄症(DM)について、わかりやすくお話しします。
変形性脊髄症とは?
犬の変形性脊髄症は、脊髄の神経がゆっくり弱っていく進行性の病気です。
この病気は、脊髄の白質が少しずつ傷んでいくことで、後ろ足のふらつきから始まり、時間をかけて前肢、そして呼吸にまで影響していきます。残念ながら、現在の獣医療では根本的に治す方法はありませんが、進行には数年かかるため、適切なケアで生活の質(QOL)を大きく保つことができます。
この病気の背景には「SOD1」という遺伝子の変異が関係していると考えられています。ただし、この遺伝子を持っていても必ず発症するわけではなく、発症する仕組みはまだ完全には分かっていません。
変形性脊髄症のポイント
・痛みは出ない
・ゆっくり進行する(平均3年ほど)
・後ろ足から前へと麻痺が進む
・最終的には呼吸筋が弱り、呼吸が難しくなる
・意識や性格が変わる病気ではない
診断について
生前に完全に確定する方法はなく、以下を組み合わせて判断します。
犬種・年齢・症状の特徴
コーギー、高齢、後ろ足のふらつき。
遺伝子検査(SOD1)
変異型ホモ接合体であれば可能性が高い(無症状で持っている子もいます)。
似た症状の病気を除外する
椎間板ヘルニア、脊髄腫瘍などをMRI・CT・脳脊髄液検査で除外。
※似た病気を併発する例もあるため注意が必要です。
ステージごとの症状とおうちでのケア
進行スピードには個体差がありますが、一般的には以下のように変化します。
ステージ1(後ろ足のふらつき~軽い麻痺/6~12カ月ほど)
・後ろ足の爪を引きずる
・ふらつく、転びやすい
・足が交差する
【おうちでできるケア】
・散歩などで運動量をキープ(筋力の維持が超大事)
・肉球や爪の擦れ防止に靴下などを使用
・早めの車いす導入もおすすめ(2輪→4輪へ移行できるタイプが理想)
ステージ2(後ろ足の完全麻痺/発症後9~18カ月)
・後ろ足で立てない
・尿失禁が増える
・引きずるため擦り傷や床ずれが出やすい
【ケアのポイント】
・車いすで歩行補助
・弾力のあるマットで床ずれ予防
・おむつ管理とこまめな清拭
・必要に応じて圧迫排尿の練習
・膀胱炎が起きやすいため注意
ステージ3(後ろ足は完全麻痺、前肢も弱ってくる/発症後14~24カ月)
・前足のつまずき
・起立が難しくなる
・呼吸が浅くなる(胸郭の動きが弱る)
・声がかすれる
【ケアのポイント】
・四輪タイプの車いすで前肢の負担を軽減
・体位変換をこまめにして床ずれ予防
・腹式呼吸の子には、お腹を押しすぎないよう排尿補助に注意
・排泄ケアを継続
ステージ4(四肢が動かず横になる生活/発症後2年以降)
・頭や首も支えにくい
・飲み込みが難しくなる
・呼吸が大きく弱る
・床ずれのリスクが非常に高い
【ケアのポイント】
・酸素濃縮器や酸素ボンベの検討
・温度管理
・シリンジでの給水補助、少量頻回の食事
・体位変換を頻繁に行う
治療について
残念ながら、現在のところ変形性脊髄症を治す薬はありません。
・痛み止め
・抗酸化サプリなど
・理学療法
→ 歩ける期間を延ばすことが期待でき、QOL維持にとても有用
変形性脊髄症は長くつきあう病気なので、早期にケアを始めることが、その子らしい生活を守る一番の力になります。
予後について
平均すると発症から約3年ほどで呼吸筋の麻痺により最終期を迎えます。
ただし、その間ずっと苦しいわけではなく、適切なケアで生活の質をしっかり守ってあげることができます。
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