~シニア期に気をつけたい背骨の老化現象~変形性脊椎症について

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こんにちは!世田谷区等々力のけいこくの森動物病院です。

「最近、うちの子が背中を触られるのを嫌がる」「段差の上り下りがぎこちない」「散歩に行きたがらない」――そんな変化に気づいたことはありませんか?

これらは、犬や猫にみられる変形性脊椎症(へんけいせいせきついしょう)のサインかもしれません。この病気は加齢とともに進行する「背骨の老化現象」で、多くは高齢の動物で見られます。

今回は変形性脊椎症について、原因・症状・診断・治療・ご家庭でのケアなどを解説します。

変形性脊椎症とは?

変形性脊椎症とは、背骨(脊椎:せきつい)の構造が徐々に変形し、関節や骨に余計な突起(骨棘:こつきょく)が形成されていく病気です。骨棘は、骨が擦れたり衝撃を受けることで、体が防御反応として骨を過剰に形成することで起こります。

この骨棘が神経や関節の動きを邪魔すると、痛みや運動障害を引き起こすことがあります。

 脊椎の役割

脊椎は、頭から尾までを支える「背骨」のことです。首(頸椎)・胸(胸椎)・腰(腰椎)・仙骨(せんこつ)・尾骨(びこつ)と連なり、体の動きを支えたり、神経(脊髄)を保護したりする大切な骨です。

主な原因

変形性脊椎症の原因は主に加齢性変化(老化)ですが、他にも以下のような要因が影響すると考えられています。

  • 慢性的な姿勢の負担(肥満や滑りやすい床など)

  • 椎間板疾患や外傷の既往

  • 先天的な骨格異常

大型犬や胴長短足犬(ダックスフンドなど)、運動量の多い犬種では発症リスクがやや高いとされています。一方で、猫でも高齢になると少なからず脊椎の変形はみられるようになります。

主な症状

変形性脊椎症は、進行がゆっくりで、症状が目立ちにくいという特徴があります。しかし、骨の変形が進むと、以下のような症状が現れます。

犬や猫に見られる主な症状

  • 背中を触ると嫌がる、怒る

  • 散歩に行きたがらない、歩くのが遅くなる

  • 歩行時のふらつき、ぎこちなさ

  • 後ろ足の脱力感(特に腰椎の変形時)

  • 段差の上り下りやジャンプを避ける

  • 寝返りや起き上がりがゆっくりになる

  • 食欲や元気がなくなる(慢性的な痛みによる)

猫の場合は、あまり動かなくなったり、高いところに登らなくなったりするだけなので、飼い主が気づきにくいこともあります。

診断方法

動物病院では、以下のような方法で診断を行います。

身体検査・神経学的検査

痛みの部位、可動域、歩行の様子、神経反射などをチェックします。

レントゲン検査(X線)

骨の変形、骨棘の形成、関節の狭小化などを確認できます。典型的な変形がある場合には診断に有用です。

CTやMRI検査

骨だけでなく神経や椎間板の状態をより詳細に確認する場合に使用します。特に神経症状があるときに有用です。

治療法

変形性脊椎症は根本的な完治が難しいため、治療は症状の進行を抑えたり、痛みを和らげたりする対症療法が中心になります。

薬物療法

  • 消炎鎮痛剤:痛みや炎症を抑える

  • サプリメント:消炎作用のある成分で関節を保護

理学療法

温熱療法、マッサージ、赤外線レーザーなどを使った理学療法が効果的なこともあります。

生活環境の工夫

  • 滑らない床材を敷く

  • 段差を減らす、ステップを設ける

  • 肥満管理を徹底する

ご家庭でできるケア

変形性脊椎症とうまく付き合っていくためには、日常生活でのケアがとても重要です。

日々のチェック

  • 背中を撫でた時の反応

  • 動きの滑らかさ

  • トイレの姿勢(排泄姿勢がつらそうでないか)

適度な運動

無理のない範囲でのお散歩や遊びは、関節の可動域維持に役立ちます。激しい運動は避けましょう。

栄養管理

関節の健康をサポートするサプリメントの導入や、関節にやさしい療法食の使用も選択肢の一つです。

まとめ

変形性脊椎症は、老化とともに避けられない変化の一つですが、早期の気づきと適切なケアによって、快適なシニアライフをサポートすることができます。

「年のせいかな」と思って放置してしまう前に、気になる動きや痛みのサインがあれば、ぜひ一度動物病院にご相談ください。

ペットの「いつもの動き」を守ることが、飼い主さんとの「いつもの幸せ」を守る第一歩です。

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