顎下が腫れている、ご飯食べずらそうにしている…もしかして唾液腺嚢胞かも?

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こんにちは!世田谷区等々力にあります、けいこくの森動物病院です🌳

 

 

愛犬・愛猫の「アゴの腫れ」それ、放っておくと危ないかも?

ある日突然、愛犬・愛猫のアゴの下や首元がぷっくりと膨らんでいたら、あなたはどうしますか?

痛がっていない、食欲もそこまで落ちていない…でも、確かに何かが「いつもと違う」。

そんなときに疑うべき疾患のひとつが、「唾液腺嚢胞(だえきせんのうほう)」です。

うちの子、もしかしてそうかも…?」と感じた方は、ぜひ最後までご覧ください。


 

唾液腺嚢胞とは?

唾液が漏れてできる“やわらかいしこり”

唾液腺嚢胞とは、唾液腺その導管(唾液の通り道)に異常が起き、唾液が周囲の組織に漏れ出して溜まり、袋状(嚢胞)になった状態を指します。

犬で特に多く猫では稀とされています。

ポイントは次の3つ

  • 良性
  • 自然に治ることはほとんどない
  • 根治には外科手術が必要

 

 

こんな症状、見逃していませんか?

唾液腺嚢胞の代表的なサイン

唾液腺嚢胞は、場所によって症状が微妙に異なりますが、共通するのは次のような変化です。

✅ よくある症状

症状

備考

アゴの下に柔らかい腫れ

最もよく見られる部位(顎下腺舌下腺の唾液漏れ

首の横・喉元の腫れ

舌下腺の深部にできる「頸部型

舌の下が持ち上がる

口腔底型」と呼ばれます

呼吸が苦しそう

嚢胞が大きくなり、気道を圧迫する場合あり

よだれが増える食べづらそうにする

間接的な症状

🐾多くの飼い主さまが最初に気づくのは、「アゴの下が腫れている気がする」ということ。

痛みがあまりないため、つい様子を見てしまいがちですが、放置すると数週間〜数ヶ月で大きくなることもあるため注意が必要です。

 

 

原因は?なぜ唾液が漏れるの?

唾液腺嚢胞の原因ははっきりと断定できないことが多いですが、以下のような要因が考えられます。

🔍主な原因

  • 唾液腺の導管が傷つくケガ噛まれた外傷など)
  • 唾液腺そのものの異常奇形
  • 唾液腺の慢性炎症
  • 異物結石による詰まり
  • 先天的な要因(特定犬種)

🐶 特に発症しやすい犬種:

ダックスフンド、プードル、オーストラリアン・シルキー・テリアなど

(遺伝的な要素も一部関与していると考えられています)

 

 

どうやって診断するの?

唾液腺嚢胞の診断には以下のステップがあります。

🔬診断の流れ

  1. 視診・触診
     ⇒ どの部位にどのようなしこりがあるかを確認
  2. 穿刺吸引検査
     ⇒ しこりに細い針を刺し、液体の性状を調べる
     (粘りのある透明な液体=唾液であることが多い)
  3. 画像検査(超音波・CT)
     ⇒ 嚢胞の広がりや、原因となる唾液腺を特定するために有効

📸 特にCT検査は、手術計画を立てる際に重要な情報を提供します(当院では外部検査センターをご紹介しています)

 

 

治療法は?根治にはやはり手術が必要

唾液腺嚢胞の根治には、原因となる唾液腺(多くは下顎腺+舌下腺)を摘出する手術が必要です。

🛠️治療の選択肢

治療法

内容

備考

穿刺による排液

中身の唾液を抜く

一時的、再発する

外科手術

唾液腺の摘出(片側)

根治的、再発リスク低い

まれに抗生物質

感染を伴う場合

補助的な治療

 

術後の経過と再発について

  • 手術成功後の再発率は非常に低いです。
  • 術後数日は腫れ出血痛みが見られることもありますが、多くの子が数日で元気を取り戻します。
  • 術後ケアとして、エリザベスカラーの装着・抗生剤の服用などが必要です。

 

 

まとめ:気になる「しこり」は、すぐご相談を!

唾液腺嚢胞は見た目に大きく腫れることも多く、飼い主さまの不安も大きい病気です。

でも、適切な診断と手術によってほとんどのケースが完治します。

もし、愛犬・愛猫の首元ぷよっとした腫れを感じたら、それは体からのサインかもしれません。

早期にご相談いただくことで、手術の負担も小さく、回復もスムーズになります。

 

 

「こんな時、診てもらうべき?」チェックリスト

以下の項目に1つでも当てはまる場合は、早めの受診をおすすめします。

  • 顎の下や首の横に、ゼリー状のしこりがある
  • 腫れが徐々に大きくなってきた
  • 触っても嫌がらないが気になる
  • 食べづらそうにしている
  • よだれが増えた口を気にしている

気のせいかな」と様子を見る前に、まずはご相談ください。

検査で安心が得られることも、大切なケアのひとつです。

 

 

【関連する記事はこちらから】

犬の下顎切除後の生活は大丈夫?|手術の必要性から術後の過ごし方まで徹底ガイド

 

 

 

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けいこくの森動物病院  世田谷犬猫歯科

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TEL:03-3704-1014

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