【猫の肝リピドーシス】 2日食べないだけで命の危険?「脂肪肝」の正体と守る方法

こんにちは!けいこくの森動物病院です。

 

「うちの猫、ちょっとごはんを残してるな

「元気がないけど、もう少し様子を見てみようかな

――その判断、命取りになるかもしれません。

猫はたった23日食べないだけで、命に関わる「肝リピドーシス(脂肪肝)」を発症することがあります。

特に太り気味の猫ちゃんやストレスに敏感な子は要注意です。

 

本記事では、肝リピドーシスの症状・原因・治療法・予防策まで、飼い主の皆さまにわかりやすく解説します。

肝リピドーシスとは?

脂肪が肝臓を埋め尽くし、機能を止めてしまう病気

肝リピドーシスは、猫の肝臓に脂肪が大量に蓄積し、肝機能が著しく低下する疾患です。

人間でいう「脂肪肝」に似ていますが、猫では進行が早く、数日で命の危機に陥ることも・・・。

猫は「食べない=エネルギー不足」となるため、体内の脂肪を急激に分解してエネルギーに変えようとします。

しかし、脂肪を処理する猫の肝臓には限界があり、処理しきれなかった脂肪が肝細胞内に蓄積して機能を妨げます。

原因:なぜ「食べないだけ」で病気になるの?

猫の肝リピドーシスは、以下のようなきっかけで発症します。

 

  • 突然の絶食(13日)
  • 強いストレス(引っ越し・来客・入院など)
  • 食事の変更に伴う拒食
  • 糖尿病、膵炎、腫瘍など基礎疾患の影響
  • 肥満体型で急なダイエットをした場合

特に肥満の猫では、わずかな絶食でも脂肪動員が過剰となり、肝臓があっという間に機能不全に陥ってしまいます。

 

この症状があれば要注意!

 

以下のような症状が見られた場合は、できるだけ早く動物病院を受診してください。

  • 48時間以上ごはんを食べない
  • 急激な体重減少
  • 黄疸(白目・耳・歯ぐきが黄色くなる)
  • 元気消失・無気力・寝てばかり
  • 嘔吐・よだれ・ふらつき
  • 便秘や脱水傾向

これらのサインは「重症化の一歩手前」かもしれません。

 特に「黄疸」は、肝臓のダメージがかなり進んでいる証拠です。

肝リピドーシスになりやすい猫の特徴

リスクレベルが高い

肥満体型(BCS4~5)

リスクレベルが中度

神経質・臆病な性格

高齢(7歳以上)

多頭飼育・生活環境の変化あり

食事へのこだわりが強い

 

動物病院での検査内容

診断には以下の検査が行われます。

血液検査

肝酵素(ALTAST)、ビリルビン、白血球などを確認

腹部エコー

肝臓の腫れや脂肪沈着の確認

X線検査

他の臓器の異常の除外

肝臓の穿刺吸引・生検(必要に応じて)

確定診断

黄疸や嘔吐がある場合は、入院検査が推奨されることもあります。

治療の中心は「強制的な栄養補給」

経管栄養(チューブ給餌)

猫が自力で食べられない場合は、鼻・食道・胃にチューブを通して給餌を行います。

飼い主の管理で自宅ケアできるよう、エリザベスカラー着用でチューブを保護しながら栄養管理を続けます。

点滴治療

脱水や低血糖、電解質異常を補正するため、入院点滴が必要なケースもあります。

薬物療法

  • 肝保護薬
  • 抗酸化サプリメント
  • 制吐剤、食欲増進剤

治療期間と回復の見通し

  • 回復まで平均26週間
  • 初期治療が早いほど予後良好
  • 完全に元の状態に戻るまでには23ヶ月かかることも

飼い主の協力(自宅での給餌・通院)が治療成功のカギです。

 

再発を防ぐ5つのポイント

  • 適正体重の維持
  • 肥満猫は、肝リピドーシス発症率が約10倍以上とも
  • 急激なダイエットは避ける
  • 減量は「週に体重の12%以内」が安全
  • ストレスの少ない生活環境の整備
  • 静かな寝床、安定した生活リズム
  • 毎日の「食べたかチェック」を習慣化
  • 少しでも食欲にムラがあれば要注意
  • フード変更は段階的に
  • 香りや温度を工夫し、食いつきアップ

まとめ:食べない猫を、見逃さないで

  • 猫の肝リピドーシスは短期間で命を奪う病気
  • 食欲不振が2日以上続いたら、すぐ動物病院へ
  • 肥満、ストレス、環境変化が大きなリスク要因
  • 治療には継続的な栄養管理と飼い主の支援が不可欠
  • 予防は「毎日の観察」と「食事環境の工夫」から

「ちょっとごはんを残してるかな

その違和感こそが、猫の命を救うサインです。

気になることがあれば、すぐにご相談ください。

 

東京都世田谷区、等々力、玉川、上野毛、尾山台、自由が丘、田園調布で、歯でお困りの方は、いつでもお気軽にご相談ください。


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