2025/05/12
こんにちは!けいこくの森動物病院です。
「うちの猫、ちょっとごはんを残してるな…」
「元気がないけど、もう少し様子を見てみようかな…」
――その判断、命取りになるかもしれません。
猫はたった2〜3日食べないだけで、命に関わる「肝リピドーシス(脂肪肝)」を発症することがあります。
特に太り気味の猫ちゃんやストレスに敏感な子は要注意です。
本記事では、肝リピドーシスの症状・原因・治療法・予防策まで、飼い主の皆さまにわかりやすく解説します。
肝リピドーシスとは?
脂肪が肝臓を埋め尽くし、機能を止めてしまう病気
肝リピドーシスは、猫の肝臓に脂肪が大量に蓄積し、肝機能が著しく低下する疾患です。
人間でいう「脂肪肝」に似ていますが、猫では進行が早く、数日で命の危機に陥ることも・・・。
猫は「食べない=エネルギー不足」となるため、体内の脂肪を急激に分解してエネルギーに変えようとします。
しかし、脂肪を処理する猫の肝臓には限界があり、処理しきれなかった脂肪が肝細胞内に蓄積して機能を妨げます。
原因:なぜ「食べないだけ」で病気になるの?
猫の肝リピドーシスは、以下のようなきっかけで発症します。
- 突然の絶食(1〜3日)
- 強いストレス(引っ越し・来客・入院など)
- 食事の変更に伴う拒食
- 糖尿病、膵炎、腫瘍など基礎疾患の影響
- 肥満体型で急なダイエットをした場合
特に肥満の猫では、わずかな絶食でも脂肪動員が過剰となり、肝臓があっという間に機能不全に陥ってしまいます。
この症状があれば要注意!
以下のような症状が見られた場合は、できるだけ早く動物病院を受診してください。
- 48時間以上ごはんを食べない
- 急激な体重減少
- 黄疸(白目・耳・歯ぐきが黄色くなる)
- 元気消失・無気力・寝てばかり
- 嘔吐・よだれ・ふらつき
- 便秘や脱水傾向
これらのサインは「重症化の一歩手前」かもしれません。
特に「黄疸」は、肝臓のダメージがかなり進んでいる証拠です。
肝リピドーシスになりやすい猫の特徴
リスクレベルが高い
肥満体型(BCS4~5)
リスクレベルが中度
神経質・臆病な性格
高齢(7歳以上)
多頭飼育・生活環境の変化あり
食事へのこだわりが強い
動物病院での検査内容
診断には以下の検査が行われます。
血液検査
肝酵素(ALT・AST)、ビリルビン、白血球などを確認
腹部エコー
肝臓の腫れや脂肪沈着の確認
X線検査
他の臓器の異常の除外
肝臓の穿刺吸引・生検(必要に応じて)
確定診断
黄疸や嘔吐がある場合は、入院検査が推奨されることもあります。
治療の中心は「強制的な栄養補給」
経管栄養(チューブ給餌)
猫が自力で食べられない場合は、鼻・食道・胃にチューブを通して給餌を行います。
飼い主の管理で自宅ケアできるよう、エリザベスカラー着用でチューブを保護しながら栄養管理を続けます。
点滴治療
脱水や低血糖、電解質異常を補正するため、入院点滴が必要なケースもあります。
薬物療法
- 肝保護薬
- 抗酸化サプリメント
- 制吐剤、食欲増進剤
治療期間と回復の見通し
- 回復まで平均2〜6週間
- 初期治療が早いほど予後良好
- 完全に元の状態に戻るまでには2〜3ヶ月かかることも
飼い主の協力(自宅での給餌・通院)が治療成功のカギです。
再発を防ぐ5つのポイント
- 適正体重の維持
- 肥満猫は、肝リピドーシス発症率が約10倍以上とも
- 急激なダイエットは避ける
- 減量は「週に体重の1〜2%以内」が安全
- ストレスの少ない生活環境の整備
- 静かな寝床、安定した生活リズム
- 毎日の「食べたかチェック」を習慣化
- 少しでも食欲にムラがあれば要注意
- フード変更は段階的に
- 香りや温度を工夫し、食いつきアップ
まとめ:食べない猫を、見逃さないで
- 猫の肝リピドーシスは短期間で命を奪う病気
- 食欲不振が2日以上続いたら、すぐ動物病院へ
- 肥満、ストレス、環境変化が大きなリスク要因
- 治療には継続的な栄養管理と飼い主の支援が不可欠
- 予防は「毎日の観察」と「食事環境の工夫」から
「ちょっとごはんを残してるかな…」
その“違和感”こそが、猫の命を救うサインです。
気になることがあれば、すぐにご相談ください。
東京都世田谷区、等々力、玉川、上野毛、尾山台、自由が丘、田園調布で、歯でお困りの方は、いつでもお気軽にご相談ください。
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けいこくの森動物病院 世田谷犬猫歯科
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