原発性上皮小体機能亢進症とは?~わんちゃん・ねこちゃんの高カルシウム血症の原因~

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こんにちは!世田谷区等々力にありますけいこくの森動物病院です🌳

今回は、犬や猫では比較的まれではあるものの、高カルシウム血症の原因となる「原発性上皮小体機能亢進症」について解説します。

血液検査で「カルシウムが高いですね」と言われたことのある飼い主さまは、もしかするとこの病気が関係しているかもしれません。症状が出にくく見逃されやすい一方で、放置すると腎臓への影響など重篤な合併症を引き起こすことがあります。

 

上皮小体(副甲状腺)とは?

上皮小体(副甲状腺)は、甲状腺の近くにある小さな内分泌腺で、体内のカルシウム濃度を調節する役割を持っています。

上皮小体からは上皮小体ホルモン(PTH)が分泌されます。このホルモンは以下の働きを通じて、血中カルシウム濃度を上昇させます

  • 骨からカルシウムを放出
  • 腎臓からのカルシウムの再吸収を促進
  • 小腸からのカルシウム吸収を促進(ビタミンDの活性化を介して)

 

原発性上皮小体機能亢進症とは?

原発性上皮小体機能亢進症とは、上皮小体ホルモン(PTH)が過剰に分泌される疾患です。

その結果、血中カルシウム濃度が異常に高くなり(高カルシウム血症)、さまざまな症状や健康障害を引き起こします。

 

どんな動物に多いの?

  • 犬では、中~高齢の小型犬に多い傾向があります。

  • 猫では非常にまれですが、報告はあります。

 

主な症状は?

カルシウムが高くなることで、以下のような非特異的な症状がみられます

  • 多飲多尿(水をよく飲み、尿量が増える)
  • 食欲低下、元気消失
  • 嘔吐、便秘
  • 尿路結石や腎機能低下
  • 筋肉のこわばりや震え

※カルシウムが高くても、症状が出ないことも多いため、健康診断や他の病気の検査で偶然見つかることがあります。

 

診断方法

血液検査

  • カルシウム(Ca)値が上昇していることを確認します。

  • イオン化カルシウムの測定も有用です。

上皮小体ホルモン(PTH)の測定

  • 血中PTHが正常~高値であり、カルシウムも高い状態であれば、原発性の疑いが高まります。
  • 通常、高カルシウム血症があればPTHは抑制されるはずなので、この同時上昇は病的なサインです。

頸部エコー検査

腫大した上皮小体を確認します。

除外診断

リンパ腫、アポクリン腺癌、慢性腎不全、ビタミンD中毒など、他の高カルシウム血症の原因を除外することも重要です。

 

治療法について

外科的切除(上皮小体摘出術)

腫瘍化した上皮小体を外科的に切除するのが根本的治療です。エコー検査で位置を特定し、頸部から摘出します。

多くは良性腺腫のため、手術により完治が期待できます。

手術後、一時的に血中カルシウムが急激に低下する(低カルシウム血症)ことがあります。

このため、術後は数日間の入院管理が必要で、補助的にカルシウム剤を投与することもあります。

内科的管理

外科手術が困難な場合や、飼い主さまのご希望によっては水分補給や利尿剤、食事療法などでカルシウム値をコントロールする方法もあります。

ただし、根治的治療ではないため、定期的な検査が必要です。

 

当院での対応について

当院では、健康診断や他の疾患の検査で偶発的に高カルシウム血症が見つかった場合も、原発性上皮小体機能亢進症の可能性を視野に入れ、イオン化カルシウムの測定、PTH測定、頸部超音波検査などを組み合わせて慎重に診断を進めます。

また、確定診断後には外科的切除を含めた治療のご相談を行い、術後のケアや経過観察もしっかりと対応いたします。

低カルシウム血症などのリスクにも配慮しながら、わんちゃん・ねこちゃんにとって最も安全で効果的な治療をご提案いたします。

 

まとめ

  • 原発性上皮小体機能亢進症は、上皮小体がPTHを過剰に分泌し、高カルシウム血症を引き起こす疾患です。
  • 初期症状は目立ちにくいですが、腎障害や尿路結石などの合併症のリスクがあります。
  • 診断には血液検査、PTH測定、エコー検査が有効です。
  • 外科的切除で根治が期待できる疾患ですが、術後の低カルシウム血症には注意が必要です。

健康診断でカルシウムが高いと言われた場合や、わんちゃん・ねこちゃんが元気がない、水をたくさん飲む、頻繁におしっこに行く…そんな症状が見られた場合には、ぜひ一度ご相談ください。

 

 

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けいこくの森動物病院  世田谷犬猫歯科

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