2025/06/16
こんにちは!世田谷区等々力のけいこくの森動物病院です。
今回は、犬によくみられる消化器疾患のひとつ「リンパ管拡張症(りんぱかんかくちょうしょう)」について解説します。
「最近、うちの子が下痢ばかりする」「食欲はあるのに痩せてきた」
そんな症状、もしかすると“腸のリンパのトラブル”が原因かもしれません。
リンパ管拡張症とは?
リンパ管拡張症とは、小腸のリンパ管が異常に拡張してしまい、リンパ液が正常に吸収・運搬されなくなる病気です。
リンパ液には脂肪やたんぱく質が含まれており、これらの栄養素の吸収にも大きく関わっています。
この病気になると、栄養素がうまく吸収されず、慢性的な下痢や体重減少、たんぱく質の低下といった症状が出てきます。
なぜリンパ管が拡張するの?
原因は大きく2つに分けられます。
1. 原発性リンパ管拡張症
遺伝的な要因など、特別な病気がなくても起こるタイプです。
小型犬種でよく見られ、若齢~中年齢で発症することが多いです。
2. 続発性リンパ管拡張症
何らかの別の病気(例:腫瘍、炎症性腸疾患 など)によってリンパの流れが妨げられて起こるタイプです。
この場合、まずは基礎疾患の治療が必要です。
主な症状
リンパ管拡張症は、消化吸収のトラブルを引き起こす病気なので、以下のような症状が見られます。
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慢性的な下痢(泥状~水様)
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体重の減少
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食欲はあるのに痩せていく
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お腹に水(腹水)がたまる
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被毛のパサつきや元気の低下
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浮腫(むくみ)
特に、「ごはんは食べているのに痩せてきた」「下痢が長引いて治らない」というときは、早めの受診をおすすめします。
診断方法
診断にはいくつかのステップがあります。
1. 血液検査
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アルブミン(血中たんぱく質)の低下
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コレステロールの低下
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リンパ球の減少(低リンパ球血症)
これらの異常が見られることが多いです。
2. 超音波検査
腸のリンパ管が拡張している様子が確認できることがあります。
3. 内視鏡検査+生検
確定診断には、腸の粘膜から組織を採取して病理検査を行うことが必要です。
これにより、「リンパ管が異常に広がっている」ことを顕微鏡レベルで確認できます。
治療方法
治療は食事療法が中心です。場合によっては薬物療法も併用されます。
1. 低脂肪食(療法食)
脂肪を多く含むと、リンパ管に負担がかかるため、超低脂肪のフードに切り替えることが最も重要です。
動物病院専用の療法食を使用することで、症状の改善が期待できます。
2. ステロイド(免疫抑制剤)
特に併発している腸炎が強い場合、ステロイド薬を用いて炎症を抑えることがあります。
3. 栄養補助(中鎖脂肪酸やビタミン)
脂肪吸収に関わるビタミンが不足しやすいためサプリメントでの補給が推奨されることもあります。
この病気とどう向き合うか?
リンパ管拡張症は完治が難しいこともある慢性疾患ですが、適切な食事と治療で症状のコントロールが可能です。
特に食事療法の効果は非常に高く、「療法食に切り替えただけで下痢が止まった」というケースも多くあります。
ですが、逆に再発しやすいという一面もあります。飼い主さんの理解と継続的なケアがとても重要です。
まとめ
リンパ管拡張症は、「慢性下痢」「体重減少」「栄養不良」などが特徴の病気です。
特に小型犬種に多く見られ、早期に適切な対応をすることで、日常生活を快適に保つことが可能です。
もし、ワンちゃんに以下のような症状が見られる場合は、一度ご相談ください:
✅ いつも軟便・下痢が続いている
✅ 食欲があるのに痩せてきた
✅ お腹がふくらんで見える(腹水)
✅ 毛ヅヤが悪くなってきた
東京都世田谷区、等々力、玉川、上野毛、尾山台、自由が丘、田園調布でお困りの方は、いつでもお気軽にご相談ください。
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