急に足を挙げてケンケンしている、歩き方が変で痛そう…もしかして膝蓋骨内方脱臼かも?(6/28)

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こんにちは!世田谷区等々力にあります、けいこくの森動物病院です。

 

「急に片足を上げてケンケンするようになった」

「散歩中、足を引きずっている」

「触ると痛がって怒る」

こういった症状に心当たりはありませんか?

それは、膝蓋骨内方脱臼(パテラ)かもしれません。

この疾患は、特にトイプードル、チワワ、ポメラニアンなどの小型犬に多く見られますが、近年は猫での報告例も増えています。

放っておくと、歩けなくなるだけでなく、慢性的な痛みや別の関節疾患を引き起こすことも。

 

 

膝蓋骨内方脱臼(パテラ)とは?

膝蓋骨とは、膝の前面にある小さな骨で、膝関節の動きをスムーズにする役割を持ちます。

正常な状態では、この骨は太ももの骨(大腿骨)にある「滑車溝」と呼ばれる溝の中に収まっています。しかし、膝蓋骨内方脱臼では、このお皿の骨が身体の内側にずれて脱臼してしまいます。

犬では圧倒的に「内方脱臼」が多く、猫では「外方脱臼」もありますが、今回は特に犬に多い内方脱臼に焦点を当ててご紹介します。

発症しやすい犬種・猫種

膝蓋骨内方脱臼は、特に先天的な骨格の特徴をもつ犬・猫に多くみられます。

犬で多い犬種

  • トイプードル
  • チワワ
  • ポメラニアン
  • パピヨン
  • ヨークシャーテリア
  • ミニチュアピンシャー

猫で報告されている品種

  • スコティッシュフォールド
  • マンチカン
  • アメリカンショートヘア

小型犬に多いのは、骨や関節の構造が繊細で、遺伝的に滑車溝が浅い傾向があるためです。

 

 

原因:先天性と後天性

膝蓋骨内方脱臼の原因は、大きく分けて2つに分類されます。

先天性(生まれつきの構造的な異常)

  • 膝の滑車溝が浅い
  • 太ももやスネの骨の角度異常
  • 筋肉や靭帯のアンバランス

成長とともに徐々に症状が出るケースもあります。

後天性(事故や加齢など)

  • 落下やジャンプの失敗による外傷
  • 関節周囲の靭帯や筋肉の損傷
  • 肥満加齢に伴う関節の不安定化

後天性の場合は、突然の痛みや歩行障害で気づくことが多いです。

 

 

症状

膝蓋骨脱臼は、「グレード1〜4」に分類され、重症度に応じて症状が異なります。

グレードと状態、よくある症状・特徴

〇グレード1…手で押すと外れるが自然に戻る状態、無症状で気づかれにくい

〇グレード2…自然に脱臼し自然に戻る状態、時々ケンケンする・違和感

〇グレード3…常に脱臼しており手で戻せる状態、常に不自然な歩き方・痛み

〇グレード4…常に脱臼しており戻すことが困難な状態、足を完全に使わない・変形

特に多いのが「グレード2〜3」です。

飼い主さんが見ていて気づきやすいのは、

  • 歩いている途中に急に片足を浮かせてケンケン
  • しばらくすると何事もなかったように歩き出す

という行動パターンです。

 

診断

以下のような流れで診断を行います。

  1. 歩行の観察
    不自然な歩き方足の向き体重のかけ方をチェック
  2. 触診(整形外科的検査)
    → 膝蓋骨がどれだけ動くかグレードを評価します
  3. レントゲン検査(X線)
    骨の角度滑車溝の深さ変形の有無などを確認
  4. 必要に応じてCT・MRI検査(他院への紹介になります)
    → 手術計画を立てる際や、他の関節疾患との鑑別に活用

 

 

治療方法

保存療法(グレード1〜2に多い)

  • 体重管理(肥満は膝に負担がかかるため注意!)
  • 軽度の運動制限
  • 関節に効くサプリメント
  • 炎症を抑える内服薬(NSAIDs)
  • 筋肉バランスを整えるリハビリ

「軽度なら薬で様子を見たい」という飼い主様も多いですが、進行することもあるため定期的なチェックが重要です。

外科手術(グレード3〜4、または日常生活に支障がある場合)

代表的な手術

  • 滑車溝形成術:膝蓋骨を安定させる溝を深くする
  • 脛骨粗面転移術:膝蓋腱の付着位置を調整して真っ直ぐに
  • 軟部組織調整:内側の緊張を緩め、外側を強化

などがあります。

 

放っておくと…

膝蓋骨脱臼を放置すると、次のようなリスクがあります。

  • 変形性関節症関節炎)の進行
  • 慢性的な痛みによるQOL(生活の質)の低下
  • 前十字靭帯断裂の併発(非常に多い)
  • 歩けない階段が登れない寝たきり

早期発見・早期治療が、わんちゃん・ねこちゃんの将来の健康を守ります。

 

 

飼い主さんができる予防・ケア

  • 室内の滑り止めマットを活用
  • 高いソファやベッドからの飛び降り防止
  • 肥満予防のための食事管理・適度な運動
  • アンチノールなどのサプリメント
  • 定期健診で早期発見(特に若い小型犬は要注意)

「気づいたときにはグレード3だった」というケースも多いです。症状が出る前に、一度チェックをおすすめします。

 

 

まとめ

膝蓋骨内方脱臼はよくある整形疾患ですが、放置すると将来の歩行や健康に深刻な影響を与える可能性があります。

小型犬特定の猫種では特に発症リスクが高い

✅ 初期症状は「足を一瞬上げるだけ」で見逃しやすい

グレードに応じて適切な治療と経過観察が大切

✅ 手術によって痛みや歩行が大幅に改善するケースも多い

✅ 早期発見・予防的ケアで、将来の健康を守れる

大切な家族の一員であるワンちゃん・ネコちゃんが、ずっと元気に歩き続けられるように。

もし少しでも気になる歩き方、行動が見られた場合は、お早めにご相談ください。

 

当院では月に1回、整形専門の先生をお呼びしての診察・手術を行っております。

ご希望の方はご案内可能ですので、ぜひお気軽にご相談ください!

 

 

 

 

東京都世田谷区、等々力、玉川、上野毛、尾山台、自由が丘、田園調布で、歯でお困りの方は、いつでもお気軽にご相談ください。


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けいこくの森動物病院  世田谷犬猫歯科

〒158-0082

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シュロス等々力1F

TEL:03-3704-1014

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