歯の表面がデコボコしていたり、茶色っぽい黄ばんだような歯はありませんか?もしかしたらエナメル質形成不全/石灰化不全かも?

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こんにちは!

世田谷区等々力にあります、けいこくの森動物病院です🌳

今回はエナメル質形成不全/石灰化不全についてご説明いたします。

 

〇 エナメル質とは何か知っていますか?

エナメル質は、歯の一番外側にある白くて硬い層です。歯の中で最も硬く、歯を守るバリアのような役割を果たしています。

通常であればお口の中をのぞいた時に見えるものがエナメル質です!

歯の最も表面に存在する非常に薄い物質(<1mm)です。

歯を物理的損傷・細菌・化学物質・温度変化などから保護します。

萌出の前の時期にのみ形成され、口腔内に萌出した後は自然に回復することができない(細胞を持たないため)です。

萌出:犬の歯が生えてくる過程、つまり歯の生え始めや生え変わりのことを指します。

歯冠部(歯の見える部分)を覆っています。

約95〜97%が無機質(ハイドロキシアパタイト:カルシウムとリン)です。

〇 違いを一言で表すと・・・

名前 問題の内容
エナメル質形成不全 エナメル質がうまく作られなかった
石灰化不全 作られたエナメル質がうまく硬くならなかった

 

エナメル質形成不全と石灰化不全の概要

エナメル質形成不全とは、歯の表面を覆うエナメル質が正常に形成されなかった状態を指します。一方、石灰化不全は、エナメル質自体は形成されていても、ミネラル成分が不十分なため硬さや強度に問題がある状態です。いずれも歯の見た目や機能に影響を及ぼし、特に犬などの若い動物によく見られます。

原因と発症の仕組み

エナメル質は、エナメル芽細胞(アメロブラスト)によって2段階に分けて形成されます。最初にミネラルを含む有機質の層が作られ、その後にそれが成熟・石灰化されて完成します。形成過程のどこかで障害が起きると、エナメル質が不足したり、弱く変形したりします。

原因には以下のようなものがあります。

環境的要因

病気やウイルス感染(例:犬ジステンパーウイルス)、栄養不良、外傷などでエナメル芽細胞の働きが損なわれると、エナメル質が正常に形成されません。

遺伝性要因

犬では明確な遺伝的報告はまだありませんが、類似のケースが観察されています。

臨床症状

健康なエナメル質は白く滑らかで硬いですが、形成不全では黄褐色で粗く、傷つきやすくなります。犬の場合、前臼歯以外の多くの歯に左右対称に異常が見られることが多く、生後3カ月頃の免疫低下ウイルス感染が関係していると考えられます。

また、すべての歯にエナメル質が見られないケースや、外傷により特定部位にのみ異常があるケースもあります。エナメル質が脆弱なため、ゾウゲ質(象牙質)が露出しやすく、歯垢や歯石が急速に蓄積します。さらに、歯の神経が刺激されやすくなることで、過敏症歯髄炎の原因にもなります。

鑑別診断と検査

似たような症状を示す疾患には、以下のようなものがあります。

〇 歯牙異形成症(歯の発育異常)

〇 外因性・内因性の歯の着色

〇 咬耗による歯の損傷

X線撮影では、エナメル質形成不全のみの場合、歯根部に異常は見られません。ただし、ゾウゲ質まで異常が及んでいると、重度と判断されます。

治療方法

治療では、まずエナメル質の脆弱な部分を超音波スケーラーで取り除きます。その後、ゾウゲ質表面を酸処理して細管を開き、接着剤を塗布して保護します。これにより、感受性や感染リスクが軽減されます。さらに、長期的な保護のために複合接着レジンを定期的に再塗布することが勧められます。

重度の場合には、美観や機能を考慮して修復処置を行うことがあります。歯内に感染があれば、根管治療や抜歯が必要になることもあります。

症例写真

生後9カ月の男の子です。ほぼすべて歯の先端のエナメル質が形成されていませんでした😲

〇 処置前

 

〇 処置後(レジン修復)

まとめ

〇 エナメル質形成不全は歯垢・歯石の蓄積を早めます。

〇 石灰化不全を伴う場合、歯は白く見えても脆弱で壊れやすいです。

〇 定期的なケアで、歯の健康を維持できます。

 

東京都世田谷区、等々力、玉川、上野毛、尾山台、自由が丘、田園調布で、歯でお困りの方は、いつでもお気軽にご相談ください。

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けいこくの森動物病院  世田谷犬猫歯科

〒158-0082

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TEL:03-3704-1014

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