2025/06/29
どんな病気?
エナメル質は歯の一番外側にある硬い物質ですが、生後間もない時期に一度しか作られません。「エナメル質石灰化不全」は、この発育時にエナメル質がうまく作られず、表面が薄くなったり欠けたりしてしまう状態です。自然に回復することはないため、生涯を通じて影響が残る可能性があります。
原因は何?
多くの原因が考えられますが、主に次のようなものが挙げられます
- 乳歯の脱落時の外傷:噛む・ぶつけるなどの衝撃で、まだ生え揃っていない永久歯の表面が傷つくことがあります。
- 乳歯の感染や膿瘍:乳歯の根元の炎症が永久歯に波及してしまうことがあります。
- 栄養不良や全身の感染症:重篤な栄養失調やジステンパーのような病気は、歯の発育に影響を与えます。
- 遺伝性の可能性:まれに遺伝的にエナメルの形成不全を起こす犬猫も存在します。
どんな症状が出るの?
影響を受ける歯は1本〜全歯と幅広く、見た目には次のような特徴が見られます
- 歯にくぼみがあり、ザラザラとした触感
- 明るい色のエナメルが暗褐色や黒に変色
- エナメル部分が剥がれて象牙質がむき出しになる
- むき出しになった象牙質は細かい管(象牙細管)を通じて刺激が伝わり、知覚過敏や痛みを引き起こす可能性あり
- 表面のざらつきで歯垢や歯石がつきやすく、歯周病リスク増
また、進行した症例では歯根の形に異常があることもあり、将来的に歯が抜けやすくなるリスクもあります。
似ている病気はある?
- う蝕(虫歯)
- 歯冠の破折
- 奇形歯(形態異常)
との鑑別が必要です。詳しく調べるためには、レントゲン検査で歯の根の状態なども確認します。
どうやって治療するの?
目的は「象牙質の露出・過敏を防ぎ、感染を予防し、歯垢の付着を抑える」こと。
- ザラついた部分を滑らかにする研磨処置
- 接着性レジン(合成樹脂)による修復
- むき出しの象牙質をコーティングし、表面を固く・滑らかに仕上げます
- 抜歯は、歯根に奇形があったり感染や痛みが強い場合に選択されます
日頃のケアがカギ!
- 乳歯が抜けたあとの歯並びや、歯の色・形をチェック
- 食べ物やおもちゃに無理な刺激がないか気をつける
- 気になるところがあれば早めに方針を相談
- 定期的な歯科健診で早期発見・早期対応を
まとめ
- エナメル質石灰化不全は、生後間もない時期にエナメル質がうまく作られず、象牙質が露出しやすい状態になる疾患
- 原因は事故・乳歯トラブル・栄養不良・遺伝など多岐にわたる
- 象牙質露出は知覚過敏・感染・歯周病につながる可能性あり
- 滑らかな修復処置(レジン)で、進行を予防・改善していきます
東京都世田谷区、等々力、玉川、上野毛、尾山台、自由が丘、田園調布で、歯でお困りの方は、いつでもお気軽にご相談ください。
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