【猫の歯が溶ける!?】2型歯牙吸収ってどんな病気?

こんにちは。世田谷区等々力にありますけいこくの森動物病院です🌳 

猫ちゃんの歯が、何の前触れもなく少しずつ溶けてなくなっていく・・・

そんな怖い病気があることをご存知ですか? 

それが「2型歯牙吸収(にがたしがきゅうしゅう)」という病気です。

とてもゆっくり進行するため、見た目にはわかりづらく、猫自身も痛みを隠してしまうことが多いのが特徴です。 

どんな病気?:歯が少しずつ骨に変わっていく…

2型歯牙吸収とは、猫の歯の根っこ(歯根)が体に吸収されてしまい、最終的に骨に置き換わってしまう病気です。

虫歯のように細菌によって起こるわけではなく、自然と起こる不思議な病気です。 

この病気では、歯の一部が少しずつ溶けるようにしてなくなっていき、進行すると歯の表面が欠けたり、歯肉が歯を覆ってしまうこともあります。 

なぜ起こるの?:はっきりした原因は不明

この病気の正確な原因はまだわかっていませんが、いくつかの説があります。 

 

猫の歯に合わない硬い食べ物? 

猫は本来、やわらかい獲物を食べる動物。

ペットフードのような硬い食べ物をかむことで、歯の根元に負担がかかることが原因ではないかと考えられています。 

この負担が、歯の根元を守る組織を壊し、「破歯細胞(はしさいぼう)」という歯を吸収する細胞が活性化してしまうのです。

 

ビタミンDのとりすぎ? 

フードに含まれるビタミンDが多すぎると、歯の修復機能がうまく働かなくなり、逆に歯が溶けていく反応を促してしまう可能性も指摘されています。 

実際、歯が吸収されるのと同時に、その部分が体の骨のような組織に置き換わっていくことが確認されています。 

 

どんな症状が出の?:見た目は健康そうでも… 

この病気のやっかいな点は、症状がほとんど目立たないことです。猫は不快感を感じても、それを隠して普通にふるまうことが多いため、気づかないうちに病気が進行してしまうことがあります。 

 

初期のサイン 

  • 歯肉の近くに小さな赤みやふくらみが出る 
  • 歯と歯肉の境目(首のあたり)に小さな欠けができる 
  • いつもと違う噛み方をする 

 

進行すると…  

  • 歯肉が歯を覆ってしまう 
  • 食べづらそうにする 
  • ごはんを途中でやめてしまう 
  • よく前足で口元をこする 

 

とくに下あごの奥歯(第三前臼歯)や犬歯にできやすいです。

見た目では気づかなくても、レントゲンで見ると歯の根っこがほとんどなくなっていた、ということもあります。 

 

どうやって見つけるの?:レントゲン検査がカギ

口の中の見た目だけでは、2型歯牙吸収を正確に見つけるのは難しいです。そのため、歯科用のレントゲン検査がとても重要です。 

 

レントゲンで病変がある歯を見ると… 

  • 歯の根が薄くなっているように見える 
  • 歯と骨のあいだの「歯根膜」が見えなくなっている 
  • 進行すると歯の根が完全に消えたように見える 

こうした変化が見られた場合、この病気が疑われます。 

 

他の病気とどう違うの?

2型歯牙吸収は、ほかの歯の病気と似たように見えることがあるため、しっかり区別する必要があります。 

 

【似た症状の病気】  

  • 歯周病や歯肉炎 
  • 歯の破折(折れた歯) 
  • 歯肉の腫瘤や過形成 
  • 1型歯牙吸収(炎症が原因) 

それぞれ治療法が異なるため、動物病院での正しい診断がとても大切です。 

 

治療法:抜歯か、歯冠切断という方法

2型歯牙吸収の歯は自然に元に戻ることはないため、悪くなっている歯を処置することが必要です。 

大きく分けて、以下の2つの治療法があります。 

 

抜歯(ばっし) 

歯を根元から完全に取り除く方法です。

進行している場合や感染のおそれがある場合に行います。 

 

歯冠切断(しかんせつだん) 

歯の頭の部分(見えている部分)だけを切り取る方法です。

歯の根がすでに骨に置き換わっている場合は、この方法が有効です。 

 

【歯冠切断ができる条件】 

  • レントゲンで歯根がすでに骨と同化している 
  • 歯の周りに感染や炎症がない 
  • 1型の吸収病変ではないこと 

歯冠切断は、手術時間も短く、猫の負担も少ないのがメリットですが、すべてのケースに適応できるわけではないので、獣医師とよく相談することが大切です。 

 

飼い主さんにできること:小さな変化を見逃さないで

この病気は、猫がほとんど症状を見せないまま進行することが多いです。

そのため、飼い主さんが猫のちょっとした変化に気づくことがとても重要です。 

 

【気をつけたいサイン】 

  • 食べ方が変わった 
  • 口元をよく触る 
  • 歯肉のあたりが赤い、ふくらんでいる 
  • ごはんを残すようになった 

 

こういったサインが見られたら、早めに動物病院で歯のチェックをしてもらいましょう。 

 

まとめ:猫の口の中にも目を向けて

猫の2型歯牙吸収は、見えにくく、気づきにくい病気ですが、放っておくと歯が完全になくなってしまうこともある怖い病気です。 

治療には正確な診断と適切な処置が必要ですが、早めに気づけば猫への負担も減らせます。 

猫ちゃんの健康のために、ぜひ定期的な口腔チェックと歯科検診を受けてください。 

 

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