ある日突然ふらつきが…?/犬と猫の特発性前庭疾患について

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ある日突然、愛犬や愛猫がふらついて歩けなくなったり、ぐるぐる回ってしまったり…。そんな症状に驚いて病院へ駆け込んで来られる飼い主さまがいます。

これは「前庭疾患(ぜんていしっかん)」と呼ばれる病気の可能性があり、その中でも「特発性(とくはつせい)」といって原因がはっきりしないタイプが犬や猫でよく見られます。

今回は、特発性前庭疾患について、症状・原因・治療法などをわかりやすく解説していきます。

前庭疾患とは?

「前庭」とは、内耳にある平衡感覚を司る器官のことです。人間にも同じように存在し、姿勢を保ったり、頭の動きと目の動きを連動させる働きをしています。
この前庭の働きに異常が起きると、以下のような症状が出てきます。

特発性前庭疾患の主な症状

  • 突然のふらつきや転倒

  • 頭を傾ける(斜頸)

  • 眼球が左右や上下に素早く動く(眼振)

  • 円を描くようにぐるぐると回る(旋回運動)

  • 食欲低下や吐き気(めまいによる)

こうした症状は、突然発症するのが特徴です。寝ていて起きたら急にふらついていた…というようなケースも多くあります。

「特発性」ってどういう意味?

「特発性」というのは、「はっきりとした原因がわからない」という意味です。
つまり、腫瘍や中耳炎、外傷など明らかな病気が原因ではなく、高齢の犬や猫に突然現れる前庭症状を、総称して「特発性前庭疾患」と呼びます。

犬と猫で違う?発症の傾向

犬の場合:

  • 主に中高齢〜高齢の犬に発症

  • シニア犬の突然のふらつきでよく見られる

  • 小型犬でも大型犬でも発症する

猫の場合:

  • 若齢〜高齢まで幅広く発症

  • 特に明らかな病気がなくても起こる

  • 発症頻度は犬よりやや少ない印象

 

診断方法

特発性前庭疾患の診断は、除外診断といって、他の病気の可能性を排除することで下されます。
例えば次のような病気が似たような症状を出すため、それらを丁寧に検査して否定していきます。

  • 中耳炎・内耳炎

  • 脳腫瘍

  • 甲状腺機能低下症(犬)

  • 感染症(猫伝染性腹膜炎など)

  • 脳梗塞や脳出血

必要に応じて血液検査、耳のレントゲンやCT/MRI検査、神経学的検査などを行い、他の疾患が否定された場合に、「特発性」と診断されます。

治療と経過

特発性前庭疾患は、すぐに命に関わる病気ではありません
症状が強くても、適切なケアにより数日〜数週間ほどで改善することが多いです。

治療の中心は次の通りです:

  • 吐き気止め、めまい止めの投薬

  • 点滴などの支持療法(食事・水分が取れない場合)

  • 安静・快適な環境の提供(暗く静かな場所で休ませる)

一部のケースでは、完全に元通りにはならず、軽度の頭の傾きが残ることもありますが、日常生活には支障のない程度に落ち着くことがほとんどです。

飼い主さんに気をつけてほしいこと

  1. 突然のふらつき=脳の病気とは限らない!
    特発性前庭疾患は見た目が重篤なので、脳の病気や中毒を心配される方も多いですが、冷静な診察が大切です。

  2. 無理に歩かせない・移動させない
    ふらついて転倒したり怪我する恐れがあります。症状が落ち着くまでは、クッションやタオルで囲って安全を確保しましょう。

  3. 目の動き(眼振)や首の傾きは大事なサイン
    写真や動画を撮っておくと、診察時にとても参考になります。

  4. 早めの受診が大切
    前庭疾患とよく似た症状の中には命に関わる病気もあるため、必ず病院で診てもらいましょう。

 

まとめ:突然の症状でも慌てず、まずはご相談ください

犬や猫の特発性前庭疾患は、見た目にびっくりする症状が出ますが、ほとんどの場合は数日〜数週間で改善が期待できる病気です。
高齢のワンちゃん・ネコちゃんに起こりやすいので、「年のせいかな」と放置せず、まずは獣医師にご相談ください

東京都世田谷区、等々力、玉川、上野毛、尾山台、自由が丘、田園調布でお困りの方は、いつでもお気軽にご相談ください。

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けいこくの森動物病院  世田谷犬猫歯科

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