2025/05/02
こんにちは。世田谷区等々力のけいこくの森動物病院です。
「かゆがってるけど、季節の変わり目かな…」「シャンプーを変えたせいかも」そうやって様子を見ていたら、どんどん毛が抜けて、赤くただれてきた——。
そんな症状、もしかしたら“疥癬(かいせん)”という皮膚病かもしれません。
小さなダニが原因で起こる感染症で、強烈なかゆみと脱毛が一気に広がるこの病気は、実は人や他の動物にもうつる可能性がある、とても注意が必要な皮膚疾患です。
【体験談】最初は乾燥肌かと思ったら…
「お散歩のあとにやけに体を掻いていて、最初は乾燥かアレルギーかと思ってました。でも、顔の毛が抜け始めて、赤くなって…。気づいたときにはお腹や脚にも広がっていて…。受診したら“疥癬”と診断されました。」
実際に多いのがこのようなケース。
初期は本当に「ちょっとしたかゆみ」に見えるのが疥癬のこわいところです。
疥癬ってどんな病気?
疥癬(かいせん)は、「ヒゼンダニ(Sarcoptes scabiei)」という目に見えないほど小さなダニが、皮膚に寄生することで発症します。
ダニは皮膚の中にトンネルを掘って卵を産み、体内で増殖。
これにより激しいアレルギー反応が起こり、かゆみや皮膚炎が現れます。
犬では「イヌセンコウヒゼンダニ」猫では「耳ダニ」や「ネコショウセンコウヒゼンダニ」
など、動物種によって違いもあります。
疥癬の主な症状|見逃してほしくない変化
・1日中かゆがる(夜中も掻く・舐める)
・耳のふち・肘・お腹などに脱毛、赤み、かさぶた
・フケが増える、皮膚がざらつく
・掻いたところがジュクジュクしてくる
・飼い主さんの手足にもかゆみが出てくることがあります
かゆみの強さは、ノミやアレルギーの比じゃないと言われるほどです。
感染経路は?どこからうつる?
ヒゼンダニは感染力が非常に強く、直接接触でうつります。
・保護犬・保護猫を新しく迎えたあと
・ペットホテル、ドッグランのあと
・野良猫との接触
・兄弟や親子での接触
潜伏期間が2〜3週間と長く、気づいたときには他の家族や動物にうつっていたということも。
動物病院での診断方法
皮膚スクレーピング検査
皮膚表面を少し削って顕微鏡で確認。
ただし、ダニが見つからないこともあります。
問診+視診
症状や生活環境から総合的に判断します。
治療法|“かゆみ”を止めるだけでは不十分!
① ダニを確実に駆除
・スポットタイプ(首に垂らす)
・飲み薬
最近は安全性が高く、長期間効く薬も登場しています。
② 皮膚ケア・炎症の管理
・抗炎症薬(かゆみ・赤みの抑制)
・二次感染予防の抗生物質
・保湿剤や薬用シャンプー
症状が改善しても油断は禁物。再発を防ぐために、治療は最後まできっちり行いましょう。
ご自宅でできる予防と対策
・お薬は指示どおり最後まで使用する
・他のペットも検査・治療を受ける
・タオル・毛布は熱湯で消毒
・部屋の掃除を徹底する
・飼い主さんにもかゆみが出た場合は皮膚科受診を
よくあるご質問(Q&A)
Q1.人にも感染しますか?
A.一時的にかゆみが出ることはありますが、人間の体内ではダニは繁殖できないため、治療で自然におさまることがほとんどです。
Q2.予防薬を使っていたのに感染したのはなぜ?
A.ノミ・マダニ用の薬でも、疥癬ダニには効かない製品があります。
必要に応じて、より広く効果のある薬剤への変更をご提案することがあります。
まとめ
・疥癬はかゆみの陰に潜む、見逃しやすい皮膚感染症
・強いかゆみ、脱毛が特徴、放置すると感染拡大の恐れもあります
・駆虫薬と皮膚ケアで完治可能
東京都世田谷区、等々力、玉川、上野毛、尾山台、自由が丘、田園調布でお困りの方は、いつでもお気軽にご相談ください。
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けいこくの森動物病院 世田谷犬猫歯科
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