2025/05/03
こんにちは。世田谷区等々力のけいこくの森動物病院です。
今回は中高齢のワンちゃんによく見られる「副腎皮質機能亢進症(ふくじんひしつきのうこうしんしょう)」、通称「クッシング症候群」についてご紹介します。
「最近やたら水を飲むなぁ…」
「お腹だけ出てきた気がする」
そんな症状、実は病気のサインかもしれません。
副腎皮質機能亢進症ってどんな病気?
副腎(ふくじん)とは、腎臓の上にある小さな臓器です。ここでは「コルチゾール」というホルモンが作られており、体にとって必要不可欠な存在です。
しかし、何らかの原因でこのコルチゾールが過剰に分泌されてしまうと、さまざまな不調が体に現れます。さまざまな症状を総称して「副腎皮質機能亢進症(クッシング症候群)」と呼びます。
主な症状
副腎皮質機能亢進症はゆっくり進行する慢性の病気です。そのため、飼い主さんが見落としやすいことも。以下のような症状が見られたら注意しましょう。
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異常なほど水を飲む(多飲)・おしっこが多い(多尿)
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お腹がポッコリしてくる(腹囲膨満)
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毛が薄くなる、左右対称に脱毛する
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皮膚が薄くなり傷つきやすい
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筋肉が落ちて足が細くなる
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呼吸が荒くなる
これらの症状が複数当てはまる場合、クッシング症候群の可能性があります。
原因は?
原因には主に3つのタイプがあります。
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下垂体性(かすいたいせい):
脳の下垂体からの指令が異常になり、副腎がコルチゾールを出しすぎてしまうタイプ。
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副腎性:
副腎そのものに腫瘍などができて、勝手にコルチゾールを出しすぎてしまうタイプ。
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医原性(いげんせい):
治療のためにステロイド薬(コルチゾンなど)を長期間使用した結果、体内のコルチゾール量が異常に増えるタイプ。
どうやって診断する?
副腎皮質機能亢進症の診断は、血液検査やホルモン検査、超音波検査などを組み合わせて行います。
特に使われるのは:
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ACTH刺激試験
これらは少し専門的ですが、体の反応を見てコルチゾールが正常かどうかを確認する方法です。副腎の腫瘍がないか腹部エコー検査やCT検査を行うこともあります。
治療法について
原因やワンちゃんの年齢、健康状態に応じて治療法は異なります。
① お薬による治療(内科療法)
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主にお薬を使って、コルチゾールの分泌を抑えます。
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生涯投薬が必要になりますが、定期的な血液検査でのモニタリングを行いながら、症状の改善を目指します。
② 手術による治療(外科療法)
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副腎性タイプで、腫瘍が良性かつ摘出可能な場合は、外科手術を検討することがあります。
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高齢犬にはリスクがあるため、慎重な判断が必要です。
③ 医原性の場合
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可能であれば、ステロイド薬の使用量を減らす、または中止することで改善が期待できます。
放っておくとどうなるの?
副腎皮質機能亢進症はすぐに命に関わる病気ではありませんが、放置すると合併症(糖尿病、高血圧、感染症、血栓など)を引き起こしやすくなります。また、ワンちゃんの生活の質(QOL)が低下してしまいます。
早期に発見して適切な治療を行えば、日常生活を快適に過ごせる可能性は十分にあります。
気になる症状があれば、まずはご相談を
「うちの子もよく水を飲むなぁ…」
「年のせいかな、と思っていたけど…」
そんな不安がある方は、ぜひ一度ご相談ください。
副腎皮質機能亢進症は早期発見・早期治療がカギです。
シニア犬に多く見られる病気だからこそ、定期的な健康チェックが大切です。
東京都世田谷区、等々力、玉川、上野毛、尾山台、自由が丘、田園調布でお困りの方は、いつでもお気軽にご相談ください。
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けいこくの森動物病院 世田谷犬猫歯科
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