犬の水頭症について

こんにちは!世田谷区等々力のけいこくの森動物病院です。

愛犬がなんだか様子がおかしい…。頭を壁に押しつけるような仕草をしたり、ふらふら歩いたり、突然けいれんを起こしたり…。このような症状が現れた場合、「水頭症(すいとうしょう)」という脳の病気の可能性があります。
今回は、犬の水頭症について、飼い主さんに知っておいてほしい基礎知識を解説します。

水頭症ってどんな病気?

水頭症とは、脳内に「脳脊髄液(のうせきずいえき)」という液体が過剰にたまってしまう病気です。脳脊髄液は、脳と脊髄を保護したり、老廃物を排出したりする大切な働きを持っています。しかし、何らかの原因でこの液体の流れが悪くなったり、吸収されずに溜まり続けると、脳に圧力がかかり、さまざまな神経症状が出てきます。

水頭症のタイプ

犬の水頭症は、大きく分けて次の2つのタイプがあります。

1. 先天性水頭症(生まれつき)

生まれつき脳や脳脊髄液の流れに異常があり、子犬のうちから症状が出るタイプです。以下のような犬種に多く見られます:

  • チワワ

  • ヨークシャー・テリア

  • マルチーズ

  • ポメラニアン

  • パグ

  • ペキニーズ

  • フレンチ・ブルドッグ

これらは頭が丸く、ドーム型の頭蓋骨を持っていることが多く、水頭症を発症しやすいと言われています。

2. 後天性水頭症(後から起こる)

こちらは、外傷・脳炎・脳腫瘍などが原因で脳内に液体がたまってしまうタイプです。成犬や老犬に多く、突然症状が出ることがあります。

こんな症状が見られたら注意

水頭症の症状は犬によってさまざまですが、以下のような変化が見られたら注意が必要です。

  • まっすぐ歩けず、ふらつく

  • 壁に頭を押しつけるような行動

  • 意識がぼんやりしている

  • 頭が大きい、もしくは柔らかい部分(大泉門)がある

  • 目が斜めを向いている、視線が合わない

  • 痙攣発作(けいれん)

  • 呼びかけに反応しない

特に子犬で成長が遅い・学習できないなどの症状がある場合は、早めの受診が大切です。

診断方法

水頭症を診断するには、以下のような検査が行われます:

  • 神経学的検査:歩き方や反応などから、脳の異常をチェックします

  • 頭部の超音波検査:頭蓋骨の隙間(大泉門)から脳を観察します(子犬の場合)

  • MRI検査:脳内にどれくらいの液体がたまっているかを詳しく見ることができます

診断にはMRIが非常に有効で、治療法を決める上でも重要です。

治療法

水頭症の治療には、「内科的治療」と「外科的治療」があります。

内科的治療(お薬による治療)

  • 脳圧を下げる薬(利尿薬やステロイドなど)

  • けいれんを抑える薬(抗てんかん薬など)

  • 炎症を抑える薬

内科治療は、症状が軽い場合や手術が難しい場合に選ばれます。ただし、根本的に治すのは難しいため、症状の進行を遅らせたり、苦痛を軽減することが主な目的となります。

外科的治療(シャント手術)

重症の場合や内科治療が効かない場合は、「脳室腹腔シャント術(しゃんとじゅつ)」という手術を行うことがあります。これは、脳内の余分な脳脊髄液をお腹に流す管を入れて、脳圧を下げる治療法です。

水頭症の予後は?

水頭症の予後(病気の経過)は、原因や症状の重さ、治療のタイミングによって大きく異なります。

  • 軽度で早期に治療を始めた場合 → 普通の生活を送れることもあります

  • 重度や進行性の場合 → 発作が繰り返され、生活の質が低下することもあります

早期発見・早期治療がカギになる病気です。

まとめ:早めの気づきと動物病院での相談が大切

水頭症は、進行すると脳に大きなダメージを与える可能性のある病気です。しかし、早期に気づき、適切な治療を受けることで、症状のコントロールが可能な場合も多くあります。

もし愛犬の様子が「なんとなく変だな」と感じたら、ご相談ください。
MRI検査が必要な場合には提携医療機関と連携して対応いたします。

東京都世田谷区、等々力、玉川、上野毛、尾山台、自由が丘、田園調布でお困りの方は、いつでもお気軽にご相談ください。

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