歯の内因性色素沈着(内部着色)について

  • HOME
  • ブログ
  • 歯の内因性色素沈着(内部着色)について

こんにちは!

世田谷区等々力のけいこくの森動物病院です。

「うちの子の歯が黒っぽくなってきた…」
「ちゃんと歯磨きしているのに、色が変わっている気がする」

そんなお悩みを抱える飼い主さんも少なくありません。
歯の変色にはさまざまな原因がありますが、その中でも見落とされやすいのが「内因性色素沈着(ないいんせいしきそちんちゃく)」です。

今回は、犬や猫の歯の内因性色素沈着について、原因・見分け方・治療法・予防法までをご紹介します。

そもそも「内因性色素沈着」ってなに?

まず、「内因性」とは体の内側から起こる変化のことを指します。つまり、「内因性色素沈着」とは、歯の外側からではなく、内側から歯の色が変わってしまう状態です。

歯の表面に汚れや着色がつく「外因性の着色」とは異なり、歯の内側の神経や血管のトラブルが関係していることが多く、見た目以上に深刻な問題が隠れていることがあります。

内因性色素沈着の原因は?

犬や猫の内因性色素沈着は、以下のような原因で起こることが多いです:

外傷(歯の打撲)

歯をぶつけた・硬いものを噛んでしまうなどにより、歯髄(歯の中の血管・神経)からの出血を起こすことがあります。血液成分や壊れた細胞が歯の内側に沈着し、茶色やグレー、時には黒っぽい色に変化します。

→ 特におもちゃや骨、ケージなどを噛む癖がある子に起こりやすいです。

幼少期の感染症や薬の影響

子犬・子猫の時期に、全身感染症(ウイルスなど)や薬剤(ある種の抗生物質など)の影響を受けると、発育中の歯に色素が沈着してしまうことがあります。

→ 子犬・子猫の時期の健康状態が、永久歯の色に影響することがあります。

どんな見た目になるの?

内因性色素沈着がある歯は、以下のような色になります:

  • 受傷直後はピンク色

  • 時間が経つと紫がかったグレー色

  • 茶色

特に注意したいのが、「1本だけ明らかに色が違う歯」。これは典型的な歯髄壊死のサインです。
見た目ではわかりづらいこともありますが、飼い主さんが歯の色の違いに気づくことが早期発見の第一歩になります。

内因性色素沈着のリスクとは?

歯の変色そのものは見た目の問題と思われがちですが、実は放っておくと以下のようなリスクが生じます:

● 歯根膿瘍(しこんのうよう)

神経が壊死した歯は、内部で細菌感染が進行しやすく、歯の根元に膿がたまって腫れることがあります。目の下が腫れる、顔がゆがむなどの症状を引き起こします。

● 慢性的な痛みや不快感

ペットは痛みを我慢する生き物です。明らかに痛そうにしていなくても、違和感や鈍い痛みを長期間感じている可能性があります。性格が変わったり、食欲が落ちたりするケースも。

診断方法は?

内因性色素沈着の診断には、以下のような方法が使われます:

  • 視診(見た目のチェック)
     → 色の違いや形の変化、腫れなどを観察します

  • 歯科レントゲン検査
     → 歯の根や骨の状態を確認し、歯髄壊死や膿瘍の有無を確認。麻酔が必要な検査です。

治療法は?

内因性色素沈着は、単なる見た目の問題ではなく、歯髄の炎症や壊死を起こしている際は以下のような治療が必要になります。

● 抜歯

感染や痛みの原因になっている場合、その歯を抜く(抜歯)ことで症状を取り除くのが最も確実な方法です。特に重度の壊死や膿瘍がある場合は、積極的に勧められます。

● 根管治療(歯の神経治療)

人間のように、歯を残す治療(根管治療)も行われています。特殊な器具を使って歯の中を洗浄し、薬剤で封鎖します。
ただし、高度な技術と機材が必要なため、専門の施設でのみ実施される場合が多いです。

予防法はあるの?

完全に防ぐことは難しいですが、以下の点に注意することでリスクを減らせます:

  • 硬すぎるものを噛ませない(鹿の角・ヒヅメ・石など)

  • 定期的な歯のチェックをする(歯の色・形の変化に注目)

  • 子犬・子猫期の感染症や薬に注意する

  • 年1〜2回の口腔検診を受ける(レントゲンも含めた精密検査が理想)

まとめ:歯の色がおかしいと思ったら病院へ

内因性色素沈着は、見た目以上に深刻なトラブルが隠れているサインかもしれません。
特に、「1本だけ黒い・茶色い」「歯の根元が腫れている」「食べづらそうにしている」などが見られた場合は、早めに動物病院で相談しましょう。

当院では、歯科診療・レントゲン検査・抜歯手術・根管治療まで対応可能です。

東京都世田谷区、等々力、玉川、上野毛、尾山台、自由が丘、田園調布で、歯でお困りの方は、いつでもお気軽にご相談ください。


。・゚・。。・゚・。。・゚・。。・゚・。・゚・。

けいこくの森動物病院  世田谷犬猫歯科

〒158-0082

東京都世田谷区等々力1-34-18

シュロス等々力1F

TEL:03-3704-1014

。・゚・。。・゚・。。・゚・。。・゚・。・゚・。