2025/06/23
こんにちは!
世田谷区等々力のけいこくの森動物病院です🌳
ある日、ふと愛犬や愛猫の首にぷにぷにしたやわらかいふくらみを見つけたら――
それは唾液腺嚢胞(だえきせんのうほう)という病気かもしれません。
「痛がってないし、元気そうだから大丈夫かな」と様子を見てしまうこともあるかもしれません。
しかし、放っておくと食事や呼吸がしづらくなるおそれもあり、手術が必要になるケースもあります。
唾液腺嚢胞とはどんな病気?
唾液腺嚢胞とは、唾液の通り道に異常が起き、唾液が皮下にたまってしまう病気です。
犬や猫には、口の中を潤すための「唾液腺」がいくつもあります。
そこから分泌された唾液は、「導管」という細い管を通って口の中へ流れます。
しかし、この導管が傷ついたり詰まったりすると、唾液が本来の道を進めず、周囲の組織内に漏れ出してしまいます。
漏れた唾液は時間とともに袋状の構造=嚢胞(のうほう)を形成し、やわらかく膨らんだしこりとなって現れます。
この嚢胞には内側の粘膜がないため「偽性嚢胞」と呼ばれます。
自然には治りにくく、外科的な処置が必要となるケースが多いです。
なぜ起こるの?主な原因
唾液腺嚢胞は、以下のような理由で発生します。
外傷
遊んでいるときのケガや、他の動物とのケンカ、首輪の圧迫などで唾液腺や導管が傷つき、唾液が漏れ出してしまうことがあります。
導管の閉塞(へいそく)
導管の中に小さな石(唾石)や炎症による腫れ、腫瘍などができて通り道がふさがれると、唾液が流れずにたまり、嚢胞が形成されます。
先天的な異常
一部の犬種や個体では、生まれつき唾液腺の構造に異常があり、唾液の流れがうまくいかないことがあります。
不明(特発性)
はっきりとした原因が見つからないケースも少なくありません。
慢性的な炎症や体質が関与している可能性があります。
よく見られる場所とタイプ
唾液腺嚢胞は、発生する部位によっていくつかのタイプに分かれます。
頸部型(けいぶがた)
もっとも一般的なタイプで、あごの内側や首の横にやわらかいしこりができます。
左右どちらかに偏って膨らみ、痛みは少ないことが特徴です。
舌下型(ぜっかがた)
舌の下が腫れて、食べにくくなったり、舌が浮き上がって口が閉じにくくなることがあります。
よだれが増える、食欲が落ちるといった症状も見られます。
眼窩型・頬型など
まれに目の奥に唾液がたまり、目が突出したように見えたり、まぶたが腫れて見えるケースもあります。
どんな症状が見られる?
唾液腺嚢胞の症状は、場所や大きさによって異なりますが、以下のような変化がよく見られます。
- 首の下や横にふくらみがある
- 左右非対称の腫れ
- 触っても痛がらないやわらかいしこり
- 舌の下の膨らみ
- よだれが多い
- 食べるのを嫌がる、食べにくそう
- 呼吸が苦しそうに見える(重度の場合)
元気や食欲があるうちは見過ごされがちですが、嚢胞が大きくなると圧迫による症状が現れやすくなります。
「見た目だけで安心しないこと」が大切です。
どうやって診断するの?
視診・触診
しこりの位置や大きさ、質感、痛みの有無などを確認します。
超音波検査(エコー)
皮下にどのような構造の嚢胞があるか、どの唾液腺が関与しているかを視覚的に確認します。
穿刺検査(せんしけんさ)
しこりに細い針を刺して、中の液体を採取します。
唾液腺嚢胞では、粘り気のある透明〜黄色の液体が出てくることが多いです。
※場合によっては、CT検査や造影検査を行うこともありますが、多くはエコーと穿刺で診断可能です。
治療法:根本的には手術が必要です
唾液腺嚢胞の根本治療には、原因となっている唾液腺の摘出手術が必要です。
唾液腺摘出術
多くの場合、唾液腺の摘出を行います。唾液腺は複数あるため、片側を摘出しても日常生活には影響ありません。
手術は全身麻酔下で行い、嚢胞の原因となっている唾液腺を取り除くことで再発を防ぎます。
穿刺による液体の除去(応急処置)
嚢胞の中の液体を抜くことで一時的にしこりは小さくなりますが、再発することがあります。
手術までの間の対症療法として行うことはありますが、抜くだけでは治りません。
手術後の経過と予後
唾液腺嚢胞は、手術を受ければ再発の可能性が低く、予後も比較的良好です。
術後の注意点は以下の通りです。
- 術後はエリザベスカラーを装着して舐めないようにする
- 抗生剤や消炎鎮痛剤を内服
- 1週間後の再診で抜糸と経過チェック
食事や行動が元通りに戻るまでの時間も短く、多くの子がストレスなく回復します。
放置するとどうなるの?
唾液腺嚢胞を放置しておくと、次のようなリスクがあります。
- 嚢胞がどんどん大きくなり、気道や食道を圧迫する
- 嚢胞が破れて炎症や感染を起こす
- 食べにくさや痛みが出る
- 麻酔リスクが高くなって手術が困難になる
「そのうち治るだろう」と思っていると、状態が悪化し、治療が難しくなってしまうこともあるため注意が必要です。
気になるしこりは早めに受診を
首や口元のしこりに気づいたとき、「痛がっていないから大丈夫」と様子を見る方もいらっしゃいます。
ですが、唾液腺嚢胞は見た目以上に進行していることがある病気です。
早めに診断し、適切な治療を行うことで、わんちゃん・ねこちゃんの生活の質を保つことができます。
「もしかして…」と思ったときは、いつでも当院にご相談ください。
大切な家族が毎日快適に過ごせるよう、全力でサポートいたします。
東京都世田谷区、等々力、玉川、上野毛、尾山台、自由が丘、田園調布で、歯でお困りの方は、いつでもお気軽にご相談ください。
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けいこくの森動物病院 世田谷犬猫歯科
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