【犬の口のがん】悪性黒色腫(あくせいこくしょくしゅ)とは?早期発見のために知っておきたい症状と治療法

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こんにちは!世田谷区等々力にありますけいこくの森動物病院です🌳

愛犬の口の中に「黒いできもの」ができた…そんな時に疑われる病気の一つが「悪性黒色腫(あくせいこくしょくしゅ)」です。 

特に高齢の犬で見られやすく、進行が早いため、早期発見と迅速な治療が非常に重要となります。 

 

口腔内悪性黒色腫とは? 

口腔内悪性黒色腫は、犬に最も多く見られる口の中の悪性腫瘍です。

特に11歳前後の高齢犬で発症が多く、コッカー・スパニエルやジャーマン・シェパードなどの犬種でよく見られます。

口腔内の粘膜が黒く色素沈着している犬では、発生リスクが高い傾向があります。 

皮膚にできるタイプの黒色腫と違い、口の中のような日光に当たらない場所にできる黒色腫は、生物学的にも性質が異なり、高い悪性度を持ちます。 

  • 周囲の組織への浸潤 
  • 再発 
  • リンパ節や肺などへの転移 

といった特徴をもち、ほぼすべてが悪性腫瘍と見なされます。 

 

 

 

🧪 発症のメカニズムと予後に関わる要因 

この腫瘍ができる詳しい仕組みは完全には解明されていませんが、皮膚と異なる腫瘍化の経路を持ち、非常に積極的に周囲に広がる性質があります。 

特に以下の要素が、予後(治りやすさ)に大きく関係します。 

🔹 予後に影響する主な因子 

  • 腫瘍の大きさステージ 
  • 細胞分裂の活発さ 
  • 初回治療後の再発の有無 

 

🔹 予後が良いとされる条件

  • 腫瘍が口の前方(吻側)にある 
  • 骨への浸潤がない 
  • 顕微鏡レベルの早期病変である 

 

⚠️ 症状とできやすい場所 

悪性黒色腫は口の中のどの部位にも発生しますが、特に歯肉にできやすく、その他にも以下の場所で確認されます。 

  • 頬の粘膜 
  • 唇の内側 
  • 舌の背側(上面) 
  • 口蓋(こうがい) 

多くの場合、黒い色素を帯びた腫瘍として現れますが、無色素性(ピンク〜赤色)のタイプもあるため、見た目だけでは判断できないことがあります。 

また、歯肉の腫瘍では

  • 歯の並びが乱れる 
  • 骨まで腫瘍が入り込む 

といった症状が出ることも多く、短期間で急激に大きくなるケースも少なくありません。 

 

🔍 診断方法と必要な検査 

悪性黒色腫は、他の腫瘍と似たような外観や細胞の形態をしているため、診断が難しい腫瘍です。 

以下のような腫瘍との鑑別診断が必要です。 

  • リンパ腫 
  • 肥満細胞腫 
  • 組織球腫 
  • 形質細胞腫 
  • 癌腫、肉腫、骨原性腫瘍など 

 

🧪 診断のための主な検査

  • 細胞診・生検(組織を取って調べる) 
  • 免疫組織学的検査(黒色腫かどうかを抗体で判定) 
  • 歯科用レントゲン(骨の浸潤の有無) 
  • リンパ節の針吸引検査 
  • CTや胸部レントゲン(転移チェック) 
  • 血液検査・尿検査・腹部超音波検査 

※どんなに小さな病変でも、悪性黒色腫の疑いがあれば必ず生検による確認が必要です。 

 

🩺 治療方法 

 

悪性黒色腫は進行が早く、再発や転移のリスクが高いため、複数の治療法を組み合わせた総合的な治療が重要です。 

外科的切除 

腫瘍とその周囲の健康な組織を含めて切除するのが理想です。 

特に、口の前方(吻側)の腫瘍であれば手術が第一選択となります。 

 

化学療法(抗がん剤) 

  • 複数の抗がん剤が使用されます。 
  • 放射線と併用することで生存期間が約1年(平均363日)まで延長したという報告もあります。 

 

放射線療法 (専門病院をご紹介いたします)

  • 手術が難しい場合(口の奥にある、切除が不完全な場合など)に有効。 
  • 特に週い数回低分割照射が用いられます。 
  • 放射線によって局所の再発を抑制する効果が期待できます。 

 

📌 知っておきたいポイント(まとめ) 

犬の口腔内悪性黒色腫は、高齢犬によく見られる非常に悪性度の高いがんです。 

黒色だけでなく、赤やピンク色の「無色素性腫瘍」もあるため、見た目での判断は危険です。 

骨への浸潤、再発、転移が早期に起こることが多いため、小さなできものでもすぐに病院へ。 

治療は、外科・放射線・化学療法・免疫療法を組み合わせて行うのが効果的です。 

一部の症例では、高カルシウム血症などの腫瘍随伴症候群が出ることもあります。 

 

🐾 さいごに 

口の中は見えにくい場所ですが、愛犬の食べ方が変わった、口臭が強くなった、口の中にできものがあるといった変化に気づいたら、なるべく早く動物病院を受診してください。 

悪性黒色腫は早期発見と早期治療が予後を左右する病気です。 

近年は治療法も進化しており、ワンちゃんのQOL(生活の質)を保ちながら治療を進めることができるケースも増えています。 

心配な症状がある方は、ぜひ一度ご相談ください。 

 

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