わんちゃんの殺鼠剤中毒とは?~知らないうちに命の危険が迫ることも~

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こんにちは!

世田谷区等々力にあります、けいこくの森動物病院です🌳

今回はわんちゃん🐶の【 殺鼠剤(さっそざい)中毒 】についてご説明いたします。

わんちゃんの健康を脅かす中毒のひとつに、「殺鼠剤中毒」があります。殺鼠剤とは、ネズミを駆除するために使われる薬剤で、人間の生活環境や農業施設、工場などさまざまな場所で使用されています。

誤って口にしてしまったわんちゃんが重篤な中毒症状を起こす危険性があるため、飼い主として知っておきたい知識のひとつです。

殺鼠剤ってどんなもの?

殺鼠剤にはいくつかのタイプがありますが、特にわんちゃんに中毒を起こす危険性があるのは以下のような成分を含むものです。

主な有害成分と中毒の特徴

成分 中毒の仕組み 主な症状
ワルファリン系(抗凝固剤) 血液が固まらなくなる 内出血、吐血、血便、あざ
ブロムジオロン、ジフェチアロール 強力な抗凝固作用(1回の摂取でも危険) 出血傾向、虚脱、呼吸困難
α-ナフチルチオ尿素(ANU) 呼吸不全を引き起こす 呼吸困難、チアノーゼ
リン化亜鉛、亜ヒ酸 胃酸と反応して毒ガス発生 嘔吐、けいれん、昏睡

殺鼠剤の多くは、ネズミをおびき寄せるために甘い香りや味付けがされており、わんちゃんが興味を持って食べてしまうことが多いのが問題です。

こんなときは要注意!

  • 庭やガレージ、納屋などに殺鼠剤を設置している

  • 工場、倉庫、畑、公園など殺鼠剤が使われそうな場所に散歩に行った

  • ネズミの死骸を口にしてしまった(※「二次中毒」の可能性)

わんちゃんがいつもと違う場所でクンクンしていた、何かを食べたようだったといった時には、念のため注意して観察することが大切です。

どんな症状が出るの?

殺鼠剤中毒の症状は摂取した成分によって異なりますが、共通して言えるのは命に関わる重篤な症状が現れる可能性があるということです。

よく見られる症状

  • 元気がない、ぐったりしている

  • 歯茎が白い、出血している

  • 吐血や血便

  • お腹が膨れて苦しそう

  • 呼吸が荒い

  • けいれんやふるえ

  • 意識障害

特にワルファリン系の中毒では、摂取後1~3日経ってから症状が出てくるため、早期発見が遅れやすい点にも注意が必要です。

 

どうやって診断・治療するの?

診断方法

  • 飼い主からの聞き取り(何を食べたか、いつから具合が悪いか)

  • 血液検査(凝固系、貧血の有無など)

  • レントゲン検査(胃に異物が残っている場合)

ただし、目の前で誤食したことがはっきりしている場合は、時間との勝負です。迷わずすぐに動物病院を受診しましょう。

治療法

  • 催吐処置(胃の中にある場合、早急に吐かせる)

  • 活性炭の投与(毒素の吸収を抑える)

  • ビタミンK1の投与(抗凝固剤中毒の特効薬)

  • 輸血(重度の貧血や出血がある場合)

  • 点滴、酸素投与、対症療法

早期に治療を開始できれば、多くのわんちゃんが回復可能です。しかし、治療が遅れると命を落とす危険もあるため、「早めの受診」が最も重要です。

予防のためにできること

  1. 自宅で殺鼠剤を使わない

  2. 散歩中は拾い食いをさせない

  3. 屋外や公園に放置された食品に注意

  4. ペットが届く場所に危険物を置かない

  5. 周囲の環境(近所・公園など)での薬剤使用状況を把握する

また、ネズミ駆除業者や近隣施設で殺鼠剤を使用している場合は、わんちゃんの散歩ルートを見直すことも一つの方法です。

まとめ

わんちゃんの殺鼠剤中毒は、身近にある危険でありながら、意外と見過ごされやすい中毒のひとつです。殺鼠剤の誤食は、「少しなら大丈夫」と思わず、どんな量でもすぐに動物病院へ相談しましょう。

特に、「数日後に症状が出るタイプの中毒」があるため、元気そうに見えても油断は禁物。飼い主さんの冷静な判断と、早期対応がわんちゃんの命を救います。

 

 

東京都世田谷区、等々力、玉川、上野毛、尾山台、自由が丘、田園調布でお困りの方は、いつでもお気軽にご相談ください。


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けいこくの森動物病院  世田谷犬猫歯科

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