「健康診断で肝臓の数値が高いといわれたら…原発性門脈低形成かもしれません

こんにちは!世田谷区等々力にありますけいこくの森動物病院です🌳

今回は「原発性門脈低形成(PHPV)」についてご紹介します。難しそうな名前ですが、健康診断で偶然見つかることが多く、知っておくと安心できる病気です。

 

どんな病気?

体の中では、腸で吸収された栄養や老廃物を「門脈」という血管が肝臓へ運び、肝臓で解毒・処理を行っています。

PHPVは、生まれつき肝臓の中の「細い血管の発育が十分でない」状態です。つまり、門脈から流れてきた血液が肝臓にしっかり届かないのです。

小さな血管レベルでの異常なので、画像検査で直接確認することはできません。

 

どんな症状が出るの?

実は、多くの場合は「無症状」です。

症状が出ないまま寿命を全うする子も少なくありません。

ただし、中には以下のようなサインが見られることもあります。

  • 健康診断の血液検査で肝酵素(特にALP)の上昇が見つかる
  • 胆汁酸(TBA)が軽度に高い
  • ごくまれに、フラフラしたりボーっとする「神経症状(肝性脳症)」や下痢・嘔吐などの消化器症状が出る

重度でなければ症状が出ることは少なく、見つかったきっかけが「健康診断の血液検査」というケースがとても多いです。

 

どうやって診断するの?

  • 血液検査で胆汁酸やアンモニアの上昇を確認
  • 画像検査(エコーやCT)で大きな門脈シャント(cPSS)がないことを確認

この2つで「強く疑う」ことができます。

ただし確定には「肝臓の病理組織検査」が必要です。

病理検査でも、肝臓全体に均一に異常が出るわけではなく、部分的に正常な部分が混じるため、見逃されることもあります

 

治療は必要?

大きな特徴として「手術ができない」ことが挙げられます。

微小血管レベルの異常なので外科的に治すことはできません。

では治療は必要なのでしょうか?

答えは「ほとんどの場合は不要」です。

  • 無症状のまま寿命をまっとうするケースが多い
  • 定期的に健康診断を受け、肝臓の数値をチェックしていれば安心

ただし、もし神経症状(ふらつき、けいれん、ぼんやりするなど)が出た場合には「肝性脳症の管理」が必要になります。その際には、

  • 低タンパクの食事
  • ラクツロースの投与

といった治療を行います。

 

飼い主さんへ

原発性門脈低形成と診断されると驚いてしまうかもしれませんが、多くの子は無症状のまま、普通に生活できます。

大切なのは、

  • 定期的に血液検査を受けること
  • 他の病気で薬を使うときに肝臓への影響を考慮すること

です。

もし症状が出ても、食事やお薬で管理できる場合が多いので、ご安心ください。

 

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